ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

『ラ・ロシュフコー箴言集』から 老いらくの恋

2023-12-01 10:35:41 | 日記
きのうはデイサに出かけた。
毎度のことだが、リハビリまでの待ち時間に『ラ・ロシュフコー箴言集』を読んでいると、スタッフのおばさんたちが何人か、私に声を掛けてくる。
「何を読んでいるのですか?」とか、
「難しそうな本ですね」とか。
老人の扱いに慣れているおばさんでも、「デイサで岩波文庫を読む爺さん」という存在は、(ロダンの「考える人」みたいで)物珍しいのだろう。とかくちょっかいを出したがるのである。


そんなとき、私はでたらめに頁をめくって、「ほら、おもしろいでしょ」と答えることにしている。
でも、たいていは不発に終わる。
でたらめに指差した箴言は、一見しただけではちっともおもしろそうではないし、何がどうおもしろいのか、私自身、説明に窮することがしばしばなのである。


そこできょうは、スタッフのおばさんたちに対して、「ほら、おもしろいでしょ」と言えそうなものを探してみた。こんなのはどうだろうか。


「188 心の健康も、当てにならないことにかけては 体の健康と変わらない。 だから人は、たとえ 情熱から およそ 縁遠いように見えても 、元気な時に 病気になるのと同じに、いつ 情熱にとりつかれるかわからないのである。


ほらね、おもしろいでしょ?
ここにある「情熱」という言葉を、「恋心」という言葉におき換えてみてください。ボクみたいなジジイは恋心なんかには縁遠いと、あなたはそう思っているでしょう?でもね、そうではないのです。このデイサの利用者の爺さん、婆さんを注意深く観察してみればわかりますが、いくつになっても、ニンゲンは恋をするものなのです。老若男女、ニンゲンは病気に罹ることから逃れられない。その体と同じで、心も病気からは逃れられないのです。恋愛感情は、心の病気のようなものだということです。


え、老いらくの恋なんて気持ち悪い、ですって?
な〜に、あなただってあと30年も経てばわかりますよ。80の婆さんになっても、あなたはきっと、どこかの爺さんに恋心を懐いているはずですから。


あ、それから念のために言っておきますけど、ボクが恋心を懐いているのは、あなたに対してじゃありませんよ。あなたじゃありませんから、ご心配なく。
それはだれか、ですって?ふふふ、それは言わないでおきましょう。秘すれば花、ということもありますからね。


コメント
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