「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「月夜野純愛物語」(ラブ・クリスマス2)(13)

2013年12月11日 | 今の物語
月曜日の朝、ミウは6時過ぎに自然と目が覚めた。

昨日は、テルコとヨウコとの飲み会が盛り上がり・・・それでも8時前には自宅アパートに帰ってきたミウだった。

ニコラのブログを見たが・・・日曜日の分は更新されていなかったので、ミウはそのまま寝たのだった。


「エマさんは、夜の月が綺麗な街に住んでいるんですか?その月も見てみたいものですね。また、今度機会があったら、湘南の美しい月を撮ることにします//ニコラ」


金曜日に貰ったニコラのコメントに対して、土曜日の夜、ミウはコメントを返していた。


「湘南の美しい月ですか・・・楽しみにしていますね。わたし、夜の月を見るのが好きだから、今住んでる街に引っ越したんです//エマ」


ミウは思ったことをそのまま言葉にしていた。ミウが月夜野の街に引っ越し来たのも・・・月夜野から見る月はとてもきれいだと噂を聞いたからだった。


「ま、実際、綺麗だけどね・・・月の綺麗な街・・・月夜野・・・それはひとつ、良いことよね」


と、つぶやきながら、ミウはパソコンを立ち上げ、ニコラのブログを見に行く。


「うーん、更新はなしか・・・きっと忙しい人なんだろうな・・・ニコラ・・・」


と、少し寂しく感じながら、ミウはシャワーを浴び、朝食を済ませ、朝日ヘルパーの制服に着替え、部屋を出て行く。



同じ月曜日の朝・・・サトルは8時頃、起床した。


「今日は午前半休・・・会社も鎌倉の工場に出ればいいし・・・ま、たまにはこういうのんびりとした朝もいいよ」


と、サトルは朝食を済ませるために二階にある、食堂へ急いだ。


「そうだ・・・昨日は飲んで帰ってきて、そのまま寝ちゃったんだっけ・・・ブログの更新もしなくっちゃ・・・飯済ませたら、それやろう」


と、食堂で朝食を摂りながらサトルはボーっとそんなことを考えていた。


「よし、こんなもんでいいかな」


と、朝食を済ませ部屋に戻ったサトルは昨日撮った月の写真をブログにアップした。


「ん?ああ・・・エマさんから、コメントが届いていたのか・・・」


と、エマのコメントに見入るサトル・・・。


「湘南の美しい月ですか・・・楽しみにしていますね。わたし、夜の月を見るのが好きだから、今住んでる街に引っ越したんです//エマ」


サトルは早速、エマのコメントにコメントを返した。


「やっと今、その月の写真をアップしました。その月を見ながら缶ビールを飲んでいたら、酔っ払ってしまって、だから、アップが今日になったんです(笑)//ニコラ」


サトルはコメントを書き終えると、音楽をかける・・・スムース・ジャズのコンピレーションアルバムだ。


「どんな女性なんだろう。エマさんって・・・」


と、サトルはふと思う。


「なんとなくだけど、年上の女性のような気がする・・・」


と、サトルは言葉にした。


「ま、ミクの代わりになれる女性なんて、早々いないか」


と、サトルは言葉にした。


「さて、少し早いけど・・・江ノ電に乗って海でも眺めて・・・それから出社しよ」


と、サトルは普段着に着替えると、白いデッキシューズを履いて、バックを背負って部屋を出ていく。


サトルは笑顔だった。



月曜日の午前10時・・・朝日ヘルパーの軽トラに乗るミウは所長に頼まれて、ある所まで荷物を届ける仕事をしていた。


「荷物は口を聞かないから、この仕事は楽だわ・・・」


とミウはつぶやきながら、昨日のテルコとヨウコの事を思い出していた・・・。


「ミウ、おまえ、最近、笑顔で会社に来てるみてえだけど、なにか良いことあったのかよ」


と、ヨウコはミウに聞いてきた。少し酔っ払っているヨウコだった。


「ある写真ブログを見つけて・・・素敵だなあって思ったから、そこにコメントをするようになったの・・・」


とミウは正直に話す。


「へー、写真ブログって、こう写真がたくさん載ってる奴だが?」


と、テルコも興味深そうに聞いてくる。


「そうです。そのひと自転車をやっている人みたいなんですけど、肩甲骨のカタチが美しくて・・・」


と、ミウは言葉にする。


「へー、その写真、携帯で見れねえのかよ」


と、ヨウコも乗り気。


「あ、出来ます出来ます」


と、ミウは自分の携帯を出すと、ニコラのブログに飛ぶ・・・。


「ここです・・・ここの・・・・ちょっと待って下さいね・・・」


と、ミウは携帯を操りながら・・・ニコラの背中を撮った写真を探す。


「これ・・・このショット・・・セクシーじゃないですか?この肩甲骨のカタチ・・・」


と、ミウは携帯電話を二人の方に差し出す。


「うん綺麗だ」「綺麗だが・・・」


と、ヨウコもテルコも納得する。


「この男とよろしくやろうってか・・・こいつ、相当年下なんじゃね?」


と、ヨウコは言葉にする。


「わかっただ・・・姫ちゃん、この男で、死んだ弟さんの事忘れようとしてるべ?違うか?」


と、テルコが言葉にする。


その言葉に「はっ」となるミウ。


「考えてなかっただか?」


と、テルコは言葉にする。


「考えてなかったけど・・・言葉にはしてなかったけど・・・無意識にそうしようとしているのかもしれません」


と、ミウは言う。


「だったら、ゲットしろよ」


と、ヨウコが静かに言ってくれる。


「悲しい過去がそれで消せるのなら、それで消しちまえ」


と、ヨウコは言葉にする。


「それで消せるのならな」


と、ヨウコは言葉にする。


と、ミウは少し悲しそうな表情になる。


「どうした、姫ちゃん?」


と、テルコが聞く。


「いえ、なんでもないんです・・・なんでも・・・」


その言葉にテルコは不思議そうな顔になったが・・・ヨウコは真面目な顔で、ミウを見ていた。


そんな昨日の出来事を思い出していたミウだった。


「ヨウコは・・・ヨウコは何かを見抜いている・・・わたしの事・・・消せやしない過去の過ちを・・・」


と、車を走らせながら、ミウは言葉にする。


「こんな若い男が全然居ないような、こんな街に流れてくるような女が・・・希望を語れるのかよ」


ヨウコがかつて口にした言葉を思い出すミウだった。


「好きな男の前で、本気で、希望なんか語れるのかよ」


ヨウコの言葉はミウの胸に重くのしかかった。と、その時、ミウはある思いに辿り着き、ブレーキを踏んだ。


「でも、それって・・・ヨウコもわたしと同じ境遇だから?」


と、ミウはある確信に辿り着いていた。



サトルは会社に出社し、自席のパソコンを立ち上げた。


と、コーヒーサーバーを持って、給湯室に向かう・・・昼休みの給湯室では、知り合いの女性達が仕事をしていた。


「こんにちわ」


と、サトルが笑顔で挨拶すると、


「鈴木さん、こんにちわ」「こんにちわ、鈴木さん」「こんにちわー」「こんにちわー」


と、皆笑顔で返してくれる。


「サトルくん、このところ、ずーっと出張がちね」


と、同じ課に派遣で来ている梅林さん(32)がしゃべりかけてくれる。


「まあ、主任システムエンジニアのサポートですからね。週末は取れているんで、まあ、なんとか、って感じですよ」


と、サトルはしゃべる。


「主任なんかになったら、大変ですよ・・・「主任になる前に女性を捕まえておけ、でないと結婚出来なくなる」あの法則は絶対ですからね」


と、サトルはしゃべる。


「関空の主任は、多岐川さんよね?多岐川さんは結婚しているからいいけど・・・サトルくんも早く女性を捕まえておかないと、すぐに主任になっちゃうわよ」


と、梅林さんが言ってくれる。


「僕はまだまだ・・・会社入って6年目ですよ。10年位は修行しないと・・・それに僕は課の中でも上から3,4番手ですから、まだまだですよ」


と、サトルは平和な顔している。


「それでも・・・女性を早めに確保しておいても・・・楽しいんじゃない?週末遊べるうちに、彼女作っておいた方が何かと得なんじゃない?」


と、梅林さんは言ってくれる。


「ま、それはそうなんですけどね・・・でも、梅林さんみたいな美貌の人を知ってると・・・普通の女性じゃ、二の足を踏んじゃうんですよ。この責任どうとってくれます?」


と、笑うサトル。


「いいわよ、週末、どっかでデートつきあおうか?飲みでもいいわよ?」


と、梅林さんは言葉にする。


「いいですよ。梅林さんのかっこいい旦那さんに僕が殺されちゃいますよ。いいです、いいです、責任とってくれなくて」


と、サトルは言いながら、コーヒーサーバーにお湯を満たし、笑顔で、給湯室を出て行く。


サトルは自席に戻り・・・メールをチェックすると、沢島カズキからメールが来ている。


「今晩飲みたし、急用あり。連絡乞う」


と、書いてあった。


「ん、何だろう。ま、いいか。今日は早く帰れるし」


と、サトルは返信のメールを書いて沢島に送った。


「なんだろう、沢島さん・・・女性でも紹介してくれるのかな」


と、笑顔になるサトルは、平和そのものの風情だった。


つづく


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