「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

浅井長政さんが織田信長さんに謀反した本当の理由!(これぞ、日本文化!)

2014年06月19日 | 夜の日本学


一人の髪の毛の長い背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。

彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。

「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「戦国武将考察編」・・・お願いします。今日は誰について語ってくれるんですか?」

と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。

「うん。そうだな・・・今回も前回同様「織田信長さん」を考察しよう」

と、タケルは話し始めます・・・。


さて、今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。


「さて、前回、「日本の変革期は政権側の「人材払底」から始まる!」という話をまとめることが出来ましたが・・・要は日本の変革期の戦いはすべからく」

「「知識者」の「俺偉い病」に率いられた「守旧派」VS「絶対の知恵者」の「変革者」に率いられた「変革派」という戦いになるんだね」

と、タケルは言葉にする。

「そして、その典型的な「変革者」である織田信長さんが、多くの裏切りを受けた・・・そのそれぞれのエピについて、今回も検証を与えたいんだ」

と、タケル。

「「裏切り」の裏には、日本文化独特の事情があると・・・前回も言っていましたね、タケルさん」

と、レイカ。

「そういうこと!」

と、タケルは機嫌良さそうに言葉にする。


「前回は弟であった織田信行の謀反・・・守旧派が与し易しと見たいい子「織田信行」VS信長派というカタチで戦いが起こり、結局、家中結束の為の」

「人身御供として使われたのが「織田信行」だった・・・そういう結論でしたね」

と、レイカが言葉にする。

「そういうことだったね。そして、その謀反劇のシナリオを書いたのは、信長だった・・・信長にいいように使われてしまった織田信行さん」

「まあ・・・不運だったとしかいいようが無いよね。戦国の世に生き残れない、単なる「いい子」に生まれてしまった織田信行さんの悲劇とでも言うべきだろうね」

と、タケル。

「で、だ・・・次はやはり、元亀元年(1570年)織田信長が37歳の時にその織田家との同盟関係から離反した浅井長政・・・この時、長政はまだ25歳なんだね」

と、タケル。

「若いですね。イメージではもう少し大人かと思っていました・・・」

と、レイカ。

「浅井長政の肖像画がそう思わせるんだろうね。30歳を越えている人物に見えるけど、実際、1545年生まれの彼は1573年に死ぬから28歳で亡くなった事になる」

と、タケル。

「しかし、わたしはこの浅井長政の動きがどうも理解出来ません。元亀元年に織田信長さんが将軍の命令に背き上洛をしなかった朝倉義景討伐の為、越前入りをする直前」

「突然信長を裏切ったんですから・・・元々信長と朝倉家が不仲だったのは浅井長政も家中も承知のはずだったのでは?」

と、レイカ。

「そうだね。実際、浅井家家中で何が起こっていたのか?浅井長政の本心は?そのあたりを探ってみることにしよう。ま、面白くなりそうだ、今日も・・・」

と、タケルは笑顔になった。


「まず、織田家浅井家同盟の経緯を見てみよう。元々浅井家は、北近江の守護、京極氏の家来だったんだね。それを下克上で追い落としたモノの南近江の守護である」

「六角氏との戦いに浅井久政の代で破れている。元々この浅井久政という人物は弱腰外交が批判されたりして、まあ、中途半端な人物だったんだろうね」

「要は「血」ぐらいしか誇ることの出来ない守旧派そのもの・・・」

と、タケル。

「六角氏はそれをいいコトに浅井家の主筋として振る舞ったようですね。15歳で、元服した浅井新九郎(のちの長政)に六角義賢の賢の入った名前を名乗らせようとしたり」

「六角家の家臣の娘を嫁にしようとしたりしています。それにキレた家来達が浅井久政を強引に隠居させていますから」

「・・・それが浅井久政の弱腰政策だったと見ることが出来ますね・・・」

と、レイカ。

「六角氏程度に臣従する意識だったのか・・・浅井久政は・・・それは弱腰すぎるというか、志の無い武将だったんだろうね。その日さえ無事に過ぎればいい的な・・・」

と、タケル。

「なんか、現代のダメサラリーマンオヤジ的なイメージが被ります。中途半端な人物・・・重大な決断の出来ない人間ですね。人の上に立つべき人間じゃないわ・・・」

と、レイカ。

「その後、長政は隠居した久政の代わりに浅井家を率いるわけだ・・・もちろん、名前も新九郎に戻したし、嫁も突っ返した・・・そういう伏線があったんだね」

と、タケル。

「長政の元服は15歳・・・1560年ですから信長が今川義元を討ち果たした桶狭間の戦いの年、永禄3年です。その年、長政は六角軍と戦い、その戦いに勝利しています」

「そして、その勝利を契機に、長政は、浅井久政を中心とした朝倉心酔派との距離を置き、朝倉家の影響を極力排除したカタチの政治を指導しているようです」

と、レイカ。

「なるほど・・・長政の頭の中には、仕事の出来ない志の低い、中途半端な人物としての浅井久政=朝倉心酔派がいたのか・・・。強引な六角との外交関係の中で」

「朝倉家は唯一久政にいい顔をしてくれたんだろう。ま、それでも、お約束程度にだろうけどね。朝倉家としても、浅井家が六角の手下になってしまえば」

「強力になった六角家に越前侵攻をされる恐れもあったから・・・それは極当たり前の外交だったんだよ・・・ちょっとわかりそうなもんだけどね・・・」

と、タケル。

「なるほど・・・OLさんが、軽い気持ちで、バレンタインデーに義理チョコあげたら、本気な恋と勘違いしちゃった」

「恋愛経験が極度に少ないダメサラリーマンオヤジみたいなものですか!浅井久政って・・・」

と、レイカ。

「そういうことになるね・・・いずれにしろ、ケツの穴が小さい・・・まともな判断力も無い、何の価値も無いダメオヤジさ・・・」

と、タケル。

「南近江には宿敵とも言える強引無礼な六角氏・・・そして、判断力の無い勘違いオヤジ浅井久政とその一派・・・守旧派そのものは、朝倉家に恋してる」

「・・・それを笑止としながらも、長政は、次の一手を考えていたんですね」

と、レイカ。

「ここでわかってくるのは、守旧派は、判断力も無く、むしろ、勘違いしやすいダメオヤジ連中だって事だ。バレンタインデーの義理チョコ程度で一喜一憂しちゃう」

「恋愛経験の極度に少ないオヤジ達・・・だから、判断力も無いし、勘違いしやすいのか・・・守旧派は」

と、タケル。

「あと、もうひとつ・・・現実が見えず、妄想に逃げがち・・・要は何でも自分のいいようにストーリーを作り、現実的にはまったく使えないオヤジ達」

「・・・そういう一面も見えてきました。つまり、頭の中がファンタジーなファンタジー一派とも言えるようです」

と、レイカ。

「それいいな。ファンタジー一派・・・その実、勘違いオヤジなんだから・・・素敵な命名だね。レイカちゃん」

と、タケル。


「その長政は次の一手として、1568年永禄11年・・・長政23歳の時に信長の妹お市を嫁にするんだね。六角を正面の敵とし、朝倉を恋ふる守旧派に対抗するには」

「これ以上の手は無かっただろう。長政がリアリストであれば、織田信長率いる織田家こそが六角家を挟撃するには、最も適したパートナーであると」

「理解出来たはずだからね・・・」

と、タケル。

「なるほど・・・それでわかりました。長政は朝倉家に恋する妄想ニストの浅井久政一派を馬鹿にしていたんですね。「これからの時代は織田家だ・・・」と理解していた」

「だから、織田家と朝倉家が仲が悪かろうと、目先の敵、六角家を打倒してから、対策を打てばいい・・・長政はそう考えていたんでしょうね」

と、レイカ。

「その可能性が高いね・・・幼少の頃から、浅井久政の憔悴しきった顔を見せられてきたんだろう。それだけ、六角家への恨みは強い」

「だから、「六角家を打倒できるなら「毒を食らわば皿まで」の所存!」となっていたのが、長政だったんだ・・・」

「そして、その思いは妄想ニスト以外の家臣達も同じ思いだったはずだ・・・」

と、タケル。


「さて、そこでだ・・・同じ永禄11年、信長は足利義昭を奉じて京へ向かうことになるんだけど、出来れば戦いなしで京に登りたかった信長は」

「南近江に盤踞している長政の宿敵、六角承禎になんと所司代職を用意して懐柔しているんだね。この報を聞いた浅井家の家臣や長政の思いはどうだったと思う?」

と、タケル。

「それって、足利義輝を殺した松永久秀を殺さず、使い続けた信長に対する足利義昭の不快な思いと同じですね」

と、レイカ。

「そういう事だ。浅井家の家臣及び長政は、六角承禎を打倒するために、織田家と同盟した・・・それなのにのっけからこれでは・・・」

「「信長は浅井家及び長政の気持ちなど、ひとつも考えていないではないか!」という声が日に日に高くなるのも、無理はないところだね・・・」

と、タケル。

「ここで、信長さんの致命的な弱点が露呈したね・・・人は理性で生きているのではない、ということだ。人は本能で生きている・・・確かに信長さんからすれば」

「「使える人間は使えばいいんだよ。何も殺すことはない」という合理的な理由があるんだろうけど、ひとは感情の生き物だ。本能を大事にしながら、生きているんだ」

「だから、この件で、浅井家の家臣及び、長政には致命的な不信感を植え付けてしまったのが、信長さんということになるんだなあ・・・」

と、タケル。

「その後、六角承禎は所司代職を承諾せず、信長は結局、大軍を率いての実力による上洛作戦に移り・・・六角承禎はその信長軍に蹴散らされる結果になります」

と、レイカ。

「結果的には六角家は消えるわけだが・・・そうなると、今度は浅井家家臣及び長政は織田家に同盟する理由が無くなってしまった事になるんだね」

と、タケル。

「六角承禎の籠もった本城、観音寺城はその戦いの後、廃城となります。しかし、蒲生賢秀を始めとして六角家の家臣達の多くが織田家に臣従したから」

「浅井家とすれば・・・進出先も無くなった事になるわけですね・・・となれば、織田家と同盟しているメリットも無い・・・後は信長に顎で使われるだけ・・・」

「浅井家の家臣達や長政に、そういう未来が見えてくるのは当然です・・・」

と、レイカ。

「そういう鬱屈した状況で、浅井家との盟約・・・浅井家の合意ないままに朝倉領に攻めこまないという約束を信長が破れば・・・」

と、タケル。

「信長との同盟が浅井にとって何のメリットも生まなかった現状から、長政の決断は浅井家の家臣達にこころの中で批判されていたんでしょう」

「それは長政もよくわかっていた・・・さらに長政が信長に蔑ろにされているとも、家臣たちには見えていた・・・」

「その中で、信長の越前攻略作戦は・・・長政の顔に泥を塗ったも同じ事・・・」

と、レイカ。

「なるほどね・・・そりゃあ、25歳の若武者からすれば・・・当然、激昂もするだろうね・・・自分の決断が浅井家及び家臣達に暗い影を落としていた事に」

「気づいていたリアリストの長政だ・・・これは配慮の足りない信長さんに大きな原因があるなあ・・・」

と、タケル。

「長政はそれでも我慢していたと思うんですよ。今、織田家に謀反すれば、どういう将来が待ち受けているか、わからない長政ではないはずです」

「でも、我慢にも限界がある・・・家臣の前で面子を潰された長政は、堪忍袋の緒が切れて、挙兵に至ったんですね」

と、レイカ。

「なるほどね・・・結局は面子を潰されたら、日本人は激怒して、堪忍袋の緒が切れちゃうんだね。どんな将来が待っていようとそんなモノはどうでもいい」

「つまり、日本人は納得できる人生であれば、それでいいんだよ。悔いのある人生を送りたくないからこそ、将来死が待っている決断でも」

「してしまう・・・勇気の有り余った民族なんだね・・・」

と、タケル。

「なるほど・・・わたしは、長政は浅井久政以下の妄想ニストの部下達に引きずられたのかと思っていたんですが、違ったんですね」

「長政が主体的に・・・自分の立場や家臣の思いに応えたからこそ、朝倉家との信長挟撃策を決断したんですね」

と、レイカ。

「常に合理的に決断を繰り返してきた信長さんには、理解出来なかったろう・・・日本人は納得する人生の為には死すら、厭わないことを・・・」

と、タケル。

「そうですね。それも大事な日本文化なんですね・・・」

と、レイカは言葉にした。


「「日本人は納得する人生の為には死すら、厭わない」・・・これって、第二次大戦に参戦した日本人の直接的な理由とダブル気がするな・・・」

と、タケル。

「合理的な勝利しか考えない・・・日本人以外の人間には、理解出来ないところでしょう・・・でも、それが日本文化です・・・」

と、レイカ。

「面白いな。だから、日本文化は面白いんだ。言葉にしていて・・・」

と、タケルは大きく納得した。

「ええ。わたしもこの仕事、刺激的で好きです。毎日新しい発見があって・・・」

と、レイカも納得しながら、言葉にした。



「しかし、浅井長政さんの謀反の理由が・・・そんなだったとは・・・さ、お酒飲みにいきましょう。今日も楽しめましたから、タケルさん」

と、レイカは赤縁のメガネを外し、髪を解いた。

「レイカちゃん、本気だね。じゃ、気合いれて飲もうか!」

と、笑顔のタケルは机を片付けだすのでした。


(おしまい)

なるほど・・・信長さんはどこまでも合理的に生きたから、

浅井長政さんの謀反の理由がわからなかったでしょうね。

「なに、それ?よくわからん!」

って、思っていたでしょうね。


「絶対の知恵者」信長さんにも、致命的な弱点があったんですね・・・。


いやあ、歴史は面白い。

また、来週も楽しんでいきましょう。


さ、酒が美味しく感じられるぞー。


ではでは。


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