趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『警官の血』 佐々木譲

2010年09月10日 | 
以前から読みたいと思っていた本です。
偶然図書館の書棚で上・下巻見つけ借りてきました~

2007年日本冒険小説協会大賞を受賞、第138回直木賞候補となり、
2008年版の「このミステリーがすごい!」では第1位になったそうです。



親子、またその子と三代に渡って警察官となった3人の男の人生を、
昭和に起こった2件の未解決事件と
戦後の昭和から平成の時代を背景に描いています。
長い小説でしたが、とてもとても読み応えがあり、
一気に読んでしまいました。

昭和23年に警察官となった安城清二。
戦後の混乱期の東京で、家族を持ち懸命に働いていく。
その真面目で実直な姿は、警察官としての誇りに満ちている。
そんな父の後ろ姿を見ながら育った息子・民雄も警察官に。
父が密かに調べていた、未解決事件の真相に迫りながら
それはまた民雄の息子・和也へと引き継がれていくのです。

それぞれの時代背景や生活の違い、本人の性格や能力の違いなど
三者三様それぞれが丁寧に描き出されています。
加えて心の描写が素晴らしいと思いました。
真面目で誠実であるが故、苦しむ様は同じなのです。
いつの間にか、三人を切り離して考えることができなくなりました。
それこそが‘警官の血’そのものなのかもしれません。

未解決事件の真相が明らかになる時、うすうす犯人は分かっていましたが
こういう展開を予想していませんでした。
でも、だからこそ犯罪は起きたのだし
安城家の男達は、心底警察官なのだと拍手を送りたくなりました。

胸に迫る大河な小説だと思いました。。