観客もいないのに演奏を続けるストリートミュージシャンを見て、「最後まで聞いてあげましょう!」と言い、音楽に合わせて楽しそうに踊る彼女を微笑みながら見つめるムハン・・・
一緒に過ごす時間に限りあると分かってはいても、楽しく過ごそうという気持ちがかみ合った瞬間かと思ったのだが、残り時間が少なくとも、二人の間に起こる出来事はあまりにも濃厚で切ないことが多い。。。ムハンの持っていた万年筆のイニシャルから、彼が8年前、自分の願いを聞き入れてくれなかったCM製作者だったということに気づいてしまうのだ。(図書館でこっそりと彼の著書を探し出し、お菓子のCM作成秘話を確認して涙するスンジン・・・)
悔しい自分の気持ちを理解しようとしてくれなかった彼と結婚し、余命宣告をされている彼の横に最後までいると決めた自分の決断と行動に涙するスンジン。急に様子がおかしくなった彼女の事を気遣いながらも、「出張だから・・・」と一人スイスに向かうムハン。
ムハンは嘘をついて向かったスイスで尊厳死を受け入れてくる病院を探し、スンジンは何としても裁判で彼に証言をしてほしいと、彼がそれまで生き延びてくれることだけを考えればいいんだと思い込もうとし・・・・一瞬だけでも一緒の方向を向いたはずの二人の気持ちはあっという間にすれ違ってしまうのだ。
ムハンは罪悪感から彼女と結婚して遺産を残すことを選択するも、結局本気で彼女を愛してしまって悩み、スンジンは娘を亡くすきっかけとなったお菓子CMを作り、更には娘のために証言をすることを拒んだ彼と結婚してしまったことを悩む。
更に、彼女は、自分が彼を助けたくて最後まで一緒にいることを望んでいるのか、それとも復讐するために、裁判の為に彼と最後まで一緒にいることを望んでいるのか、自分自身でもわからないような状況だ。
ムハンは、彼女が裁判のために自分と最後まで一緒にいることを選んだと誤解しており、かなり悩んでいる様子。
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ムハン本人も辛いが、廻りの人間も、彼に何もしてあげられない思いを抱えて悩んでいる。
あり得ない設定と思いながらも、ついつい見入ってしまうのは、やっぱり主演二人の演技力によるところが大きいと思う。