画家フィンセット・ファン・ゴッホが自殺であったことは世界でよく知られていることです。
原田マハさんはその「ゴッホの死」をこの小説の中でミステリアスに描いています。
事実とフィクションを微妙に織り交ぜて。
誰が引き金を引いたのか?ゴッホは自殺ではなく殺されたのではないか?
パリ大学で美術史を学び、オークション会社CDCでキュレーターとして勤務する高遠冴。
彼女の前に、ある日突然、ゴッホが自殺に使用した銃であると言い、
さび付いた1丁のピストル「リボルバー」をひとりの初老の女性サラが持ち込みます。
それはオークション会社CDCにとっては衝撃的な出来事でした。
早速時間をかけ鑑定、調査をしていくうちにゴッホが自殺に使った銃とは違うことが判明します。
が、サラの告白から実はそれは画家仲間ゴーギャンの・・・・・・・・・・。
ゴッホとゴーギャン!かってアルルで生活を共にし、最後は仲たがいをし。
それが原因でゴッホの耳切事件が起こったことはあまりに有名です。
ゴーギャンはタヒチ、ゴッホはオーヴェールという片田舎で作品を描き続けますが、
ゴッホの自殺にゴーギャンが関わっているというのがこの小説の度肝を抜かれるところです。
どこまでが史実なのかは分かりませんが、以前読んだ「たゆたえども沈まず」では、
ゴッホの生涯を、この「リボルバー」ではゴーギャンの生涯を知ることができ、
時折ネットで彼らの絵を検索、鑑賞しながら一気に読み進みました(Kindle 版)。
ゴッホのゴーギャンに対する純粋なリスペクとする思いに比べ、ゴーギャンのゴッホへの思いはやや打算的。
二人の微妙な距離感に、奥深い心の闇を垣間見る想いで、読んでいて時折胸が苦しくなります。
私はゴッホが好き!子供のような清いピュアーな心の持ち主だと思いました。
ちなみにゴッホが自殺に使用したとみられる銃は、1960年代に農家の土の中から発見され、
実際に2019年6月、パリで競売にかけられました。
13万ユーロ、日本円にして約1579万円で落札されたそうです。
<ネットから拝借>
そのあたりの事情も知りながら原田マハさんの「リボルバー」を読んでいくと面白いかもしれませんね。