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YUKI

言語、言語で表現できることすべて

私の本棚…日本編

2024-01-05 13:30:49 | Weblog

折に触れて思い出す本がある。

そんな本のtop5

1.三島由紀夫「豊穣の海 第4巻 天人五衰」

三島由紀夫の年齢は昭和と同じである。

45歳、昭和45年に自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺。

「天人五衰」は、自衛隊駐屯地乱入の数日前に書き上げられたもの。

ライフワークと自ら喧伝していたが、輪廻転生をモチーフとする第3巻までの絢爛たる物語は失われ、輪廻転生の証人だった者が、失われた物語を求めて廃墟をさ迷うような無残さがある。

肩透かしを食らった評論家の群れは、こぞって失敗作と断じ、画竜点睛を欠くと論じたように思う。

三島は、なぜ詩的物語を、散文的に過剰な自意識に充たされた、

ストーリー性のない作品をもって敢えて、自らのライフワークを閉じたのか?

理由として考えられるのは、三島の実質的処女作「花ざかりの森」とのパラレルな関係性。

「豊穣の海」は、作家人生の終わりに、作品の「円環」を閉じる作品として書かれたものなのであろう。

また、「天人五衰」が示す空間には、極めて現代的な虚無が充ちており、良く出来た物語で終わらない、同時代性が伺える。

 

 

2.三島由紀夫「仮面の告白」

いわゆる文壇デビュー作なんだが…

大嘘をつくぞ!と宣言して本当のことを書いたのだと思う。

三島が男色家なのは、事実である。

劇作家三島は職権乱用で、

美輪明宏と舞台上でディープキス!

美輪は、三島とのキスは嫌だったと告白しているw

3.川端康成「眠れる美女」

添い寝を、老人に斡旋する宿屋がある。

相手は、強い睡眠薬で眠らされた美女である。

猟奇的一歩手前のエロス?

川端の「伊豆の踊り子」でさえ、

踊り子は、夜には娼婦となる定め。

川端康成の本質がよく顕れた作品である。

 

 

4.なかにし礼「血の歌」

森田童子とは、誰なのか?

それを暗示する作品…森田童子に心臓を射ぬかれた者にとって最重要作に他なりません。

 

 

5.筒井康隆「時をかける少女」

ラノベの原点にして、頂点!

 

 


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私の本棚…外国編

2024-01-04 18:34:00 | Weblog
私の支えとなった本、top5を挙げてみよう。

1 ウイトゲンシュタイン「論理哲学論考」

普通名詞ではない、世界で唯一の「私」が
この世界で生きるということ
そういう在り方を説き明かしてくれた本です。
わかる人には、直感的にわかりますw






2 ウイトゲンシュタイン「哲学探究」

「在り方」が分かっても、
生きる事のめんどくささは、変わりません。
その「めんどくささ」こそが
「生の形式」であり、生きる事なのです…




3 ノーマン・マルコム「回想のウイトゲンシュタイン」

ウイトゲンシュタインの人となりが、
教え子により生き生きと描かれています。



※ウイトゲンシュタイン型の「知の系譜」は、
厳然と存在するのに、日本では、その存在すら認識されていない。
日本に居ながら、その「知の系譜」につながる者の
生きる不安を和らげてくれるのが、この3冊!


4 ロートレアモン「マルドロールの歌」

文学的な認識を生得的に持っていても
その表現…文学的表現は、
多量の文学作品を読みこなすことでのみ洗練されるんだが
衒学趣味のイヤラシサに愛想が尽きていた時に
「出逢って」しまった♪
わかる人には直感的にわかりますw





5 マルキ・ド・サド「美徳の不幸」

汚辱にまみれたこの浮世・憂き世で
やり手の姉ジュリエットに対して
やられ役の妹ジュスティーヌ…
ジュスティーヌこそが、サドの真ヒロイン。





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大塚博堂について知っている二三の事柄…三十代の焦燥

2024-01-02 19:57:56 | Weblog

CDの棚から、大塚博堂「もう少しの居眠りを」が出てきた。

 

彼は1981年に37歳で亡くなっている。

早くから音楽活動をしながらも、

売れたのは32歳で出した「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」

イケメンボイスの部類なんだが…

別れた相手への恨み節が、基底音に響いている。

20~30代女性による熱烈な支持があり

「21世紀に歌い継ぐ」プロジェクトもある。

 

あっけらかんとした「少年ナイフ」の後に聞くと

ちょっと辛い。

「若さを失い」「大人にもなれない」

これって、まさに「三十代の焦燥」ではなかろうか?

 

しかし、「大人」は

「大人のフリが上手い人」でしかないのだから

徒に歳を重ねる中で、

この「焦燥」は死ぬまで続きますw

 

博堂では

「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」が

やはり、一番好きです。

 

21世紀の今、ダスティン・ホフマンや

映画「ジョンとメリー」を知らない人は、多いだろうなぁ~

 

 

 


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