昨日、カタクリ山の西側斜面の笹刈りをしていると、綾里っ子たちの姿が見えました。
「こんにちはー いらっしゃい!」と山から叫ぶと、始めは何処から声がするのか分からず戸惑っていたようですが、姿を見つけたようで急斜面を登ってきました。6年生のユウカちゃんとマホちやん、リファちゃんの3人です。
作業の手を休めて、一緒にカタクリ山の頂に上り、綾里の街を一望。
綾里小学校を始め南リアス線の線路や綾里の駅舎、綾姫ホールなどが見え、眺めの良さに綾里っ子たちから笑みがこぼれていました。
それから綾里っ子たちは、整備されたカタクリ山を散策、芽の出かけたコナラのどんぐりやツバキの実を見つけ「これなんですか?」と種の説明をし「植えると芽を出すかもしれないよ!」と言うと種を土の中に埋め込んでいました。その他松ぼっくりやカバノキの雄花などいろんなものを見つけては観察していました。
鹿に樹皮をはがされたモミの木から白っぽい脂(ヤニ)が出ていました。「これなんですか?」と「これは木が傷を負ったときに、傷を直そうとして出したヤニだよ」と言うと手で触り「べとべとして糸が出る」「いい匂いがする」「味がない」と五感を使って確かめていました。
今度はユウカちゃんがホオノキの冬芽を拾いました。「これなんですか?」と丁度手の届くところにホオノキがあり「この木の芽が落ちていたのね。まだ厚いコートを着ているけど、そのコートを剥いでごらん」と言うと皆でむきはじめました。
「緑の葉っぱが出てきた!」「白っぽい柔らかい葉っぱもある!」「ウワーなんか柔らかくて気持ちがいい!」などの声が飛び交い「暖かくなるまでホオノキの芽は、たくさんの洋服を着て寒さから身をまもっているのよ」と言うとうなづいていました。コナラの堅い冬芽の中ものぞいていました。
木の切り株に出たキノコにも興味を示し、年輪模様のフリルのような美しさに見入っていました。
ユウカちゃんが「これなんですか?」と見つけてくれたのはカタクリの芽、「ここを整備していたのは、このカタクリの花が咲くのを楽しみに笹刈りしていたのよ。よく見つけてくれたね。ありがとう。」と言うと「ここにもある! ここにもある!」とみんなでたくさんのカタクリの芽を探し当てました。
赤っぽい新芽や緑色の葉も顔をのぞかせていましたが、葉の先端は草刈り機で刈ってしまったようです。
私は毎日のようにここを通ってもカタクリの芽に気づきませんでしたが、綾里っ子たちの観察眼に感心させられました。なんと!春は、もうやってきていたようです。あと二週間もすると、この斜面にカタクリの花が咲き乱れると思うと、子どもたちだけではなく、私たちもワクワクしてきました。
一足早く里に下りた綾里っ子たちは、今度は柿の木の根を手に、夫と何やら話こんでいました。
周りは泥がついて黒いのですが芯はオレンジがかった色に独特の匂い、形といい色といい不思議に思ったようです。
最後は、田んぼの中でボール遊びをして楽しんでいました。
明日は卒業式「卒業するって寂しいでしょ!」と言うと「いや! 変わらない!」とマホちゃん。「そんな強がり言っている子に限って泣くんだよね・・」と言うと「泣きません!」と返ってきました。小規模校で中学は持ち上がり、クラス替えもなく引き続き同じメンバーで学べる安心感があるのでしょうか。
現6年生は、つむぎの家の田んぼで米作りをした最初の子どもたちですが、これまで山の中で触れ合う機会はほとんどありませんでした。森の中での綾里っ子たちの ”気づきの感性” に感心するとともに、自然への興味・関心を大切に育んであげたいなあと感じた一日でした。