大雪後の冬晴れの日に、越冬期の鳥類の調査に出かけました。
ルートは多様な環境からなる里地から森林帯の林内、林縁、休耕田などさまざまな景観タイプの約1kmほどの調査ルート上を歩き、野鳥の生息を確認し、カウントしていく調査です。
里地では、ジョウビタキやモズ、カシラダカやツグミなど、少ないながらも数種の鳥を確認できましたが、森林帯に入った途端に、雪解け水が流れる音だけの静かな世界、前回の調査でもミソザザイの地鳴きを聞いただけでしたので、半ば諦めながら進むと、雪を踏むザクザクという音にまぎれて「チッチッ」と鋭い声が耳に入りました。
音をたどると、藪の中に草の種をついばんでいるアオジ(ホオジロ科)がいました。
時には、草木を止まり木に、周りを警戒しながらの採餌。
アオジは番のようです。
ときどき、言葉を交わし合っているような姿が、藪に見え隠れしていました。
お腹いっぱいになったのでしょうか。林道脇を流れる小川に降りていきました。
川底の、石の上を歩きながら沢の水で喉を潤し、ほっとした表情。
こちらは、予期せぬ大雪を案じ、不安げに空を見上げている様子。
この日、森林帯の野鳥は、2羽のアオジだけでした。
越冬期の野鳥のモニタリング調査に取り組んで感じたことは、今冬は、鳥の種類も数も例年に比べて非常に少ないことです。
原発事故からまもなく3年を迎えます。身近に、種牛を育てている生産者が、放射能の汚染でこれまで与えてきた牧草は、牛に食べさせられずに輸入牧草に頼っていることや、狩猟のニホンシカの肉は、未だに口にできない現状を考えると、原発で降り注いだ放射能汚染による体の小さな鳥たちへの影響はいかばかりかと、不安が募ります。
レイチェル・カーソン氏の「沈黙の春」を思い起こすほど、今冬の自然の中は黙りこくっています。
野原いっぱいに花が咲き、鳥たちのさえずりで賑わう春が必ずやってくることを、心より願っていますが・・・・?。