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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

オニグモの知恵 ー失敗から学ぶー

2014年05月08日 | 生き物

昨年、小石を道具に使って網を張るオニグモを紹介しました。http://blog.goo.ne.jp/yukitixyann/d/20131007

今回は、失敗から学んで工夫を凝らすオニグモです。

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子どもの日の朝、長屋の屋根にクモの網が張り巡れされているのが目にとまりました。

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クモの糸をたどっていくと、軒下を通って地上に向かっている糸がありました。

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糸の先には、土くれがぶら下がっていました。

三角点法の重石替わりに使ったようで、発見した時には地上から50cmほどの位置でしたが、時間の経過とともに上の方に持ち上げられていきました。

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夜、網を覗きに行くと、オニグモが暗いところで活動していました。

この日の夜は、雨で風も吹いていました。

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翌朝、覗いてみると、ぶら下がっていた土くれはなく、代わりにホタテ貝の殻片がぶら下がっていました。

土くれは、夜の風雨にうたれ、崩れてしまったのでしょう。


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もう一つ、クモの網に変化がありました。

Y字型に作った糸の間に、新たに小さな網(中心の白い点)が張り巡らされていました。

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拡大して見ると、小さな網で右の糸と左の糸がしっかりと固定されていました。

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クモの網のバランスをとるために、重しにしたホタテ貝の殻片。

クモの糸は見えませんが、地上20cm位の位置にぶら下がっていました。

雨にあたってダメになった土くれの重しに変えて、雨にも強い貝殻を使い、風による揺れを少なくするために糸の間に小さな網を張って巣を安定させるオニグモの知恵に驚きました。

しばらく観察を続けたいと思っておりましたが、長屋を行き来して遊ぶ子どもたちにぶつかり、クモの巣は崩れてしまいました。

次に、オニグモはどんな知恵を働かせるのでしょうか?


アズマヒキガエルの卵

2014年05月06日 | 生き物

4月は雨の降らないカラカラ天気で、、芽吹きもゆっくりでしたが、5月に降った雨が大地を潤し、山の春が駆け足でやってきました。いま里山では、モミジガサを始めウドやワラビなどの山菜がむくむくと動き出し、山の恵みが旬の季節を迎えました。

昨日は、地域のご高齢の方々はつむぎの家の裏山で山菜採りを、とりわけ元気なケイコおばさんとチュウコさんと私の3人は、奥入りの山に入りました。新緑の中、足元に咲くヒトリシズカやハルリンドウの花を愛でながらの山菜採りは、心が踊り、クマも寄せ付けないほど賑やかにおしゃべりしながらの山歩きです。

山菜採りの合間に、例年ほぼ同じところに産み付けるヒキガエルの産卵場所を覗くと、たくさんの卵が見られました。

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ヒキガエルの卵。

ひも状の卵に混じって真ん中へんには、トウホクサンショウウオの卵があり、卵から幼生に変わっていました。

ここは沢筋に近い、窪地の湿地ですが、沢に目を転じる、落ち葉でせき止められた川の中にも卵が産み付けられていました。

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大小迫川の上流部。

水量が少なく、流れは緩やかです。


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清冽な水の中に、木の枝や岩場に絡まってとどまるヒキガエルの卵。

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手ですくい上げてみると、あまりにもたくさんの卵に驚かされました。


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この写真は、昨年の夏に中流部の川淵にいたアズマヒキガエルです。

大きなカエルですが、夜行性で日中は石の間や岩に隠れてじっとしているため、なかなか見つけられません。


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ちょっと棒キレでつつくと、ようやく動き出したアズマヒキガエル。

動きが緩慢で、「僕に何の御用、今は休息の時間だから邪魔しないでおくれ!」と言わんばかりにのっそりとおもむろに動き始めましたが、この地から離れようとはしませんでした。

運命を天に任せているような身の処し方に威厳を感じました。

山菜を採りに奥入り山に入り、自然の恵みを頂く喜びとともに、これまでにないたくさんのヒキガエルの卵と出会い、ルンルン気分で山を降りました。


水ぬるむ春ートノサマガエルの卵塊とサンショウウオー

2014年04月09日 | 生き物

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裏山の砂防ダムにできた止水域に、水ぬるむ春がやってきました。

浅い湿地ですが、この時期は最も水量が多く、鏡のように周りの風景を映し出しています。

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湿地の中に目を移すと、落葉落枝に隠れるようにへばりついたトウホクサンショウウオの卵がありました。

毎年、確認はしていたのですが、これまでにない多くの卵塊を見ることができました。


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卵が産み付けられていたスギ枝を持ち上げて見ると、半透明のゼラチン質に包まれたトウホクサンショウウオの卵が芋ズルのように連なっていました。


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持ち上げた杉枝の下には、息をのむほど美しい色合いのトウホクサンショウウオが、姿を見せてくれました。


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一方、水辺の片隅には、ヤマアカガエルとは違った雰囲気の卵塊を見つけました。

手にとってみると真っ黒だった卵が白く見えるではありませんか。なんとトノサマガエルの卵塊でした。

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トノサマガエルの卵は、外見はヤマアカガエルの卵と変わりませんが、卵の裏側の半分は白い色をしています。ツートンカラーの神秘的な色合いです。

トノサマガエルは、日本の伝統的稲作文化とともに繁栄してきたなじみの深いカエルですが、農薬や水田の乾田化、用水路のコンクリート化など、米作り環境の変化が大きく影響し、今では全国的に減少し、環境省の準絶滅危惧種に指定されています。

トノサマガエルの卵塊は、里山暮らし5年目にして初めて出会いました。

多種多様な生き物たちで賑わう里山環境は、昔ながらの伝統的米作りや森林整備の大切さを実感させてくれました。


厳寒期の水生昆虫

2014年02月20日 | 生き物

鳥類のモニタリング調査は、約1kmの調査ルートを往復しますが、重複を避けるためにすぐに引き返さずに、約15分ほど休憩をしてから復路の調査に入ります。往路の調査が終わり、寒い中、15分をどう過ごすか悩むところですが、川のせせらぎが目に入りました。

厳寒期、水辺の生き物たちは、どうしているのだろうか。そっと川の中の小石をひっくり返して覗いてみました。水は外気温に比べて暖かく、生き物たちの動きは鈍いものの、思いがけずたくさんの水生昆虫に出会いました。

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カワゲラの幼虫


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ルリボシヤンマのヤゴ

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ヨコエビ

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ヘビトンボの幼虫

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サワガニ


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カゲロウの幼虫

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最後に、石をひっくり返すと、水の中ではひときわ目立つ1cmほどの小石を見つけました。手にとってみると小さい割にずっしり感があり、石のような固い感触はなく、何か生き物のようです。

家に帰って調べましたが同定できず、自然保護協会に問い合わせてみました。

その結果、種名までは分からないがダニの仲間ではないかということでした。「水の中には”ミズダニ”というのがいますが、血を吸ってパンパンになったマダニにも似てますね。噛まれると大変ですので気をつけてください。」とのことでした。ミズダニは”水中の宝石”とも称され、美しい色のダニが多いそうです。これは、水の中に棲むマダニ?ということでしょうか。

仮説「増えすぎたシカについたマダニが、シカの血を吸ってパンパンになり、離れ落ちたところが水の中だった?水の中でも生きていけるマダニということでしょうか。」

「嫌われ者のダニといえども、この地球上には無駄な生き物はなく、物質循環の一端をになっている」と言われますが、自然界の生態系のバランスが崩れてきている証なのでしょうか?

厳寒期の、水生昆虫との思いがけない出会いの喜びと、不可解な生き物に悩まされた出会いでした。


ザトウムシ

2013年12月10日 | 生き物

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先日陽だまりで、小豆の選別作業をしていると、豆粒のような小さな体に糸のように細くて長い脚をしたザトウムシが、体を揺らしながら竹かごに上ってきました。

ザトウムシ(座頭虫)は、盲目に近く、明暗しか認識できないために長い脚で探りながら歩く様子から、この名があり、メクラグモの仲間だそうです。

4対の脚のうち第2節が最も長くその先端は触覚のような働きがあり、しきりに長い脚を左右に動かしていました。この脚は、音や味、匂いも感知できるそうです。


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体を拡大して見ると、頭胸部と腹部の境がはっきりせず全体的には楕円形をしていて、頭胸部の真ん中に左右一対の目があります。雑食性で、通常は昆虫やミミズなどの小動物を食べているようです。

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これまでも、野山を歩いていてよく見かけたのですが、素早い歩きでじっくり観察できませんでしたが、この時期は動きが鈍く、手のひらに乗ってくれました。歩き回る姿は、少々不気味な感じでしたが目線を変えると、しなやかで美しい脚線美に感動。

どうして、体に似合わずこんなにも長い脚を備えているのか疑問に思いますが、外敵より高い位置から獲物を捕ることができる利点や足はとれやすく、敵に捕まえられた時には足を離し、その足がしばらく動いていて、その間に逃げるという作戦のようで、とれた足は、その後再生するそうです。

一見クモのようでクモではない、小さな体にしなやかな長い脚をしたザトウムシの知られざる世界を覗くことができました。