ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

中国史と韓国史

2018-08-19 08:17:55 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「これだ!」8月13日
 特集ワイド欄は、国際日本文化研究センター教授倉本一宏氏へのインタビューでした。そのタイトルは『歴史学び戦争回避を』です。このタイトルを見た瞬間、思わず「これだ!」と手を打っていました。私がこのブログで、情緒的な反戦平和教育を批判し、戦争に至る道を歴史に学び、戦争発生のメカニズムを知って戦争を防ぐ能力の育成を目指す、科学的な反戦教育に転換するべきだと主張してきました。しかし、私の表現力不足、知的洞察力不足により、上手く書き表すことができずにもどかしい思いを重ねていたのです。
 さすがに歴史の専門家で、戦争についての著作もある倉本氏の語りは、簡潔で分かりやすく、しかも的を射た達意の表現でした。一部を引用させていただきます。『この73年間、日本人は平和を望み、日常を送ってきました。でも万一、有事になれば、あっという間に世論は沸騰し、報復すべきだ、先制攻撃だと極端な議論が起きかねません』『普段から戦争についてちゃんと冷静に考えておくべきです』『よく考えずに(戦争に)反対する人は、よく考えずに賛成するかもしれません』。
 最初の発言は、先日も私がこのブログで書いた「(情緒的)平和教育は、何かのきっかけで、意図とは別に復讐や軍備増強に結びついていく可能性がある」という指摘とぴったりと重なります。2番目の「冷静に考えて~」も、「よく考えずに~」も。感情ではなく、知的な思索を通して戦争というものを理解する大切さを訴えています。
 また、倉本氏は、近現代史だけでなく古代史にまで視野を広げ、『明治維新以前の日本(略)戦争は下手でした。戦争を論理的に分析することもありませんでした』と語っていらっしゃいます。これも我田引水のようですが、私が先日のブログで述べた、「過去の戦争の歴史を冷静に分析し、科学的に戦争を考察して、戦争防止の方策を現実的に考えるという平和教育」の必要性を裏付けているものと考えます。
 倉本氏のお言葉で、自分の年来の主張が間違ってはいなかったという思いを強くした私ですが、それとは別に新たに気付かされた点もありました。『戦争を喜ぶ人間はかなりいるんです。もうかるとか、出世できるとか』『自国の歴史をきちんと学び、相手国の歴史を知る』です。私は今まで、「戦争を望む人間はいないが、大衆心理の恐ろしさで、国民全体が一種のヒステリー状態になり、戦争への道を後押ししてしまう」というイメージで、戦争を捉え、その阻止を考える平和教育を考えてきました。しかし、倉本氏は、歴史上の戦争を見つめてきた結果として、戦争を喜ぶ人がいるという冷厳な現実を見つめ直すことの必要性を説いていらっしゃるのです。
 さらに、相手国に歴史を知るという視点も、我が国の反戦・平和教育には欠けていたものでした。例えば、北朝鮮、中国の歴史について「知っている」人がどれだけいるでしょうか。日韓中北の4カ国が、かつてどういう関係であって、国民感情、相手国への複雑な意識はどのようなものか、説明できる人は1/100の割合ではないでしょうか。20年前、総合的な学習の時間が創設され、その中に「国際理解」という内容が例示されたときが、この課題に取り組むチャンスでした。しかし、国際社会で戦うことができる人材育成という短期的な視野で英語教育にすり替わってしまったことが悔やまれます。
 情緒的な反戦・平和教育からの脱却と同時に、近隣国の歴史を、世界史や日本史とは別に学ぶ場を創設することを真剣に考える必要があります。

 

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