ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

二流官庁

2013-12-21 07:31:07 | Weblog
「良い縦割り」12月17日
 政府の安保戦略が公表されました。そのことを報じる記事の中に『安保政策への国民の理解を広げるため「我が国と郷土を愛する心を養う」施策を進める』という文言がありました。要するに、安保戦略への理解を広めるために学校において愛国心を涵養する教育を強化するということです。
 安保戦略は、基本的には官邸と外務省、防衛省で作成されるものです。我が国では、従来、縦割り行政の弊害が指摘されてきました。しかし、この安保戦略については、外務省や防衛省といった省庁が、文部行政の内容や執行について「指示」しているわけで、縦割り行政が解消されていることになります。
 しかし私は、このケースについては縦割り解消を歓迎できません。実態としては、文部科学省が他の省庁よりも格下の官庁として位置付けられたということだからです。もっとも昔から文部科学省は二流官庁という位置付けでした。将来の首相候補や派閥の領袖が就くポストではありませんでしたし、国家公務員試験を合格したエリート官僚の卵は財務省や経済官庁を目指し、文部科学省を希望する人はごく希で、変わり者扱いでした。
 こうした構図は地方自治体でも同じでした。同じ部長や課長というポストでも、教委の部課長は傍流ポストであり、早く教委から首長部局に戻りたいという意識をもっている職員が多いのです。
 つまり、「教育」というのは軽い扱いだったのです。それでも、教育への政治介入を自制すべきという暗黙の了解や世間の雰囲気が、教育行政の独立を確保していたのです。しかい、今、教委制度は、首長への権限集中を求める声の前に風前の灯火です。そして、こうした流れの中で、今回の安保戦略のように、他の省庁からの「介入」が公式に始まったのです。
 一つ一つの事象を切り離して捉えるのではなく、教育と政治という大きな枠で見ることが大切です。良い縦割り行政もある、ということを再確認したい思いです。

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