ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

失業対策としての英語教育

2013-06-12 07:33:26 | Weblog
「失業対策」6月6日
 安倍首相が、経済成長素案を発表しました。その概要を報じる記事の中の「雇用」の項目に、『教育分野では、小学校で英語教育を拡充するのが目玉。国際化が進む社会で、早くから英語を身に着け海外留学を増やそうとの狙いがある』という記述がありました。
 私だけがバカだから分からなかったのかもしれませんが、「そうだったのか」という思いです。私は、小学校英語教育の拡充は経済面における我が国の競争力のアップをねらった施策だと思っていました。世界を舞台に外国のエリートと互角に渡り合うことができる人材の育成というイメージでした。今までこのブログでも、繰り返し小学校における英語学習に言及してきましたが、それらは全てそうした認識に基づいたものでした。でも、そうではなかったのです。
 雇用対策という位置付けは、今以上の成長が難しい我が国の企業では抱え込むことができない若者たちを、国内に展開する外国企業に押し込む、もしくは海外に出て現地の企業に就職してもらうことにより失業率を低下させるというねらいをもっているということです。若者が海外に出て行きっぱなしでは、我が国の経済は空洞化してしまいます。それを防ぐためには、海外で働く若者が日本に送金する、出稼ぎという形で富を持ち帰るという形が必要です。分かりやすい例でいえば、出稼ぎ大国のフィリピンのようなイメージです。
 国内の外国企業に就職する若者と海外に出稼ぎに行く若者、前者は高度な英語力が必要ですが、後者は日常会話レベルで済むでしょう。日本や中東などに出稼ぎに行くフィリピンの若者の多くは、それほど現地の言葉に通暁してはいないようですから。
 また、行き先の外国としては、我が国と同じように失業率の高さに悩む先進国ではなく、これから経済発展が見込まれる中南米、アフリカ、東南アジアということになるでしょう。その場合、現地の人は、英語を母語とはしておらず、スペイン語を話すブラジル人と日本語を話す日本人が意思疎通の手段として用いる英語ということになりますから、英語力自体はそれほど高いレベルは必要ないのです。
 そう考えれば、現在の小学校における英語教育拡充論も理解できます。文法なんか分からず、スラングと身振り手振りでなんとなく意思疎通ができるレベルが目標であり、英語で契約書や学術書を読みこなすエリート養成が目標ではないのですから、お遊びのような英語学習でよいのです。恥ずかしがらず外国人に話しかける度胸が身につきさえすればよいのです。
 雇用対策としての英語教育を受ける子供たちの前途は明るいか否か、それは別問題ですが。

 
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