ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

あなたの大切な人

2018-08-11 07:56:43 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「大事な人」8月3日
 『第14回水害サミット』に関する特集記事が掲載されました。大きな見出しは『自助育む防災教育を』でしたが、防災教育の具体像については余り明確に語られていませんでした。そんな中で、東京大学大学院特任教授片田敏孝氏の話が印象に残りました。
 片田氏は、『釜石の子どもたちは、君たちがちゃんと命を守ることができる子であれば、お父さんやお母さんも命を守れると教えた時に、懸命に逃げた。その人にとって大事な人のことを想起させる。逃げることがいかに合理的で正しい判断なのかを説得するのではなく、納得させなければならない』と語っていらっしゃいました。
 防災教育に限らず、生活指導全般に於いて重要な指摘だと感じました。私は以前からこのブログで、子供の問題行動の予防策として、「大切な人」をキーワードに挙げてきました。万引きをする、喫煙をする、ケンカをして人を傷つける、援助交際をする、様々な問題行動があります。
 なぜ万引きをしてはいけないか、その理由を説いて聞かせることは難しいことではありません。社会を構成する約束事である所有権の話をするのもありですし、自分の経歴に傷が付き将来に不利という説得もあるかもしれません。お店の人の立場になって困るだろうと話すやり方もあるでしょうし、万引きくらいという軽い気持ちで始めても段々と悪質な犯罪に巻き込まれて抜け出せなくなるという脅しも使われるかもしれません。
 しかし、そうしたお説教はあまり効果がありません。私は、「君がそんなことをしたと分かったら、お父さんやお母さんはどう感じるだろうか。悲しまないかな。自分の育て方が悪かったと自分を責めて涙を流しているんじゃないかな」と大切な人を想起させるのが効果的だと考えています。
 ただし、条件があります。それは子供が本心から「この人は私にとって大切な人だ」と思える存在の人がいるということです。子供にとって、両親が「大切な人」であるという保証はありません。もし、両親が「大切な人」ではなく、「憎い人」「邪魔な人」「抑圧者」である場合には、かえって「困らせてやろう」ということになりかねません。
 私は特に倫理観の強い人間ではありません。私が犯罪を犯さずに生きてこられたのは、子供時代は両親や姉、成人してからは妻などに迷惑をかけたくないという思いが自分を律してきたからでした。もし自分がこんなことをしたら~、父が会社をクビになってしまうかもしれない、母が地域で白い目で見られるかもしれない、姉が結婚できなくなるかもしれない、そんな思いがブレーキになっていた面は否定できません。私はそのことを感謝しています。家族が大切な人であってくれたことに。
 私が考える問題行動対策は、家庭の協力が必要です。子供にとって大切な人になってください、という意味で。これ以上の防止策はないと考えています。

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