ヒマローグ

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秘密研究

2024-08-12 08:08:54 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「どうすればいいのか」8月4日
 『17~19歳の55.7% 皇室「関心ない」』という見出しの記事が掲載されました。『日本財団が17~19歳を対象に皇室に関する意識調査をした』結果について報じる記事です。
 記事によると、『日本財団は選挙権年齢の引き下げをきっかけに、2018年から18歳前後の若者の意識調査をしている。安定的な皇位継承に向けた皇族数確保に関する与野党協議が始まったため、初めて皇室をテーマにした』ということです。
 つまり、憲法改正や地球温暖化、基地問題や社会保障などの問題と同様、政治の大きなテーマについての意識を訊ねたということです。憲法改正以下の問題については、主権者として問題の重大さを理解し、自分なりの考えをもつために学校教育での取り組みが期待され、実際に様々な取り組みが行われ、報告・発表されています。
 そう考えると、皇室の問題、安定的な皇位継承問題についても、この問題の重要性を理解させ、自分なりの見解をもたせるべく、学校での指導が求められるという流れになるはずです。
 そうなったとき、学校は、個々の教員はどう対応するのでしょうか。憲法改正について言えば、教員の中ではまだ改正反対派の方がやや優勢かもしれません。地球温暖化については、多くの教員がco2の削減を支持していると思われます。基地問題でも、沖縄の負担軽減という大枠ではほとんどの教員が一致しているはずです。社会保障についても、年金、医療費など個々の政策課題についてはともかく、社会的弱者に対する補償の必要性という点では異論は少ないでしょう。
 これは、教員レベルだけでなく、学校、教委レベルでも概ね同じ傾向にあると思われます。つまり、指導がしやすいのです。しかし、皇室についてはどうでしょうか。先に上げた課題については、教育現場で、実践が積み重ねられ、議論があり、保護者までも含めたある種のイメージ共有がなされているのに対し、皇室については、実践はほとんどなく、議論すらもタブー視されてきた状況があり、教育現場に何ら蓄積がないというのが現状なのではないでしょうか。
 天皇制廃止から天皇元首化まで、旧皇族男子の復活から女系天皇容認まで、立場の相違は著しく、少しでも踏み込んだ指導をすれば、すぐに政治問題化してしまうのではないかという危惧を抱かざるを得ない状況です。かつての「性教育」をめぐる都議会での追及を思い出すと、誰もが手を出したくない課題だと考えることでしょう。
 私自身、社会科を生涯の研究分野としてきながら、自分自身が皇室を主題にした授業実践は皆無です。意図的に避けてきたというよりも、それが当たり前、そんな厄介毎に首を突っ込むバカはいない、という認識だったように思います。
 今後も学校教育側が皇室の教材化に積極的に取り組むことはないでしょう。でも、政治が、あるいは民意が、学校における皇室教育を求めるようになったとき、どのように対応すべきなのか、秘かに研究、シミュレーションしておく必要はあるのではないでしょうか。

 

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