ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

禍々しさの効果

2024-08-13 08:10:55 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「新語」8月4日
 心療内科医海原純子氏が、『精神的ヤングケアラー』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、『母親は感情的で気分に波があり気に入らないと子どもに当たったり家事をしなくなったりする。急に泣き出したりすることもあり子どもは母親をなだめたり機嫌をとったりするそうだ。世話で精神的に疲れて勉強が手につかない。父親に相談していたが、話を聞いている父親が披露しているのを見て子どもは父親が気の毒になり自分で抱え込んでしまう』という例を挙げ、この子供について『「精神的ヤングケアラー」とでもいうようなケース』と書かれています。
 「精神的ヤングケアラー」は海原氏の造語なのでしょうか。私は目にした記憶がありません。私には母親のネグレクトという感じがしたのですが。
 それはともかく、新しい概念が注目され、新しいネーミングが行われることで、世間の注目を集め、理解が深まるということがあります。児童虐待もそうですし、ヤングケアラーもそうです。登校拒否が不登校という表現に変わったことが、学校や教員、教育行政の意識を変えさせました。そうした意味で、精神的ヤングケアラーも、新しい課題に目を向けさせる効果があるのかもしれません。
 しかし一方で、不適切なネーミングが、その課題への理解を妨げ、適切な対応を遅らせてしまうこともあります。援助交際というネーミングが、何か軽い印象を与え、売春というおぞましさを覆い隠し、一部の少女や助平爺に、ある種の流行のような受け取られ方をしてしまったのはその一例です。
 トー横キッズ、何だか軽すぎませんか。パパ活、パパという言葉が問題の本質を隠している。深夜徘徊、家出、不純異性交遊、売春、飲酒・喫煙、婦女暴行、薬物中毒、そうした禍々しい言葉の方が本質を伝えていると思います。
 新語については、その利点と問題点を慎重に検討し、使用の是非を判断していく姿勢が求められると考えます。

 

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