ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

受験勉強、いいね!

2024-08-19 07:20:30 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「受験勉強への誤解?」8月12日
 連載企画『田原総一朗の日本の教育問題は何だ!?』は、前回に引き続き宇宙ベンチャー「ALE」社長岡島礼奈氏へのインタビューでした。『「グレー」の答えを導き出す』という見出しが付けられたインタビューの中で、岡島氏は次のような発言をなさっています。
 『日本の教育も変わってきたとは思います。最近、私立中学の入試問題を見たのですが、いろんな学校が答えのない問題を解かせています。ただ、教育格差の一つでもある。こうした私立中に進む選択肢があり、そこに行ける人は充実した教育を受ける一方、正解のある問題だけ解かせる教育はまだまだあります』。
 つまり、正解のない問題を解かせる教育=創造力を育む質の高い教育を行う名門私立中学校、正解が決まっている問題を解かせる教育=自ら考える力が育たない質の低い教育を行う公立中学校という教育格差が存在するという指摘です。
 善悪は別にして、教育格差は自明のことです。私が注目したのは、受験勉強というものについてのイメージの問題です。従来、私立中学校受験のための勉強というと、親に無理強いされ、大晦日も元日も塾に通い、絶対合格などと書かれた鉢巻をした子供たちが勉強している姿に象徴されるように、合格のためのテクニックを身につけ、過去問を解いてとにかく必要なことを全て丸暗記していく、というようなイメージでした。
 悪名高い、知識注入なる暗記型の教育の典型というイメージです。今もそうしたイメージをもっている人は少なくないように思います。そして、そうした人たちが受験勉強を批判し、受験勉強を強いる親を批判し、子供たちが可哀想だと主張するのです。
 しかし、岡島氏は、知識注入型の授業は一般の公立学校で行われ、名門私立中学校では、子供が自ら考えて問題を解決する子供が主役の創造力を育む教育が行われているというのですから、全く逆のことを言っているのです。
 どちらが正しいのか、間違いなく岡島氏です。知的レベルが高く、思考の基盤となる豊富な知識をもっている子供たちだけが集まれば、創造力を培う授業は容易です。少し考えれば、誰でも分かることです。
 昔、「腕白でもいい逞しく育ってほしい」というナレーションが印象的なCMがありました。子供は体を動かして遊ぶのが好きで本来の姿、という前提に基に作られたものだと思います。私は、そうした子供観に違和感を覚えてきました。じっと本を読んでいたり、何時間も蟻の生態を観察していたり、そんな静的な子供もいると知っていたからです。健康への影響は心配されますが、現代では、パソコンの検索で疑問を掘り下げ自分なりの問題意識でとことん追求する子供もいます。
 画一的な子供像を当てはめて、良かれと思って子供に苦痛を押し付ける、そんな愚は避けたいものです。受験は子供が真に望むのであれば、単なる「苦」ではありません。

 

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