あの日
機軸通貨の発行国であるアメリカが
金本位制
から一方体に離脱することを公表し
即日実施へと踏み切った
1071年八月十五日
を起点として
後に
ドル余り現象
と呼ばれることになる
世界規模の壮大な変化
引き起こす事態を
この時点で
予測することができた人は
誰一人いなかった
金本位制は
その脆弱性
つまり
通貨価値と同一の重さの金
とを
要求に応じて兌換しなければならない
とする義務に縛られていたことから
機軸通貨の発行権を手に入れたい国の指導者は
アメリカとの貿易で生じた
代金を決済するための通貨交換を
ドルではなく
汎用性の高い貴金属
即ち金塊で行うことにより
金の保有率を貿易量が高める
という効果がすぐに得られる
ことに気づかせた
金の保有高が減れば
金本位制で基軸通貨の位置を
安定的に確保する
ことは不可能となる
そこで
金に代わり得る何か
要するに
価値を代表する能力を有する
新たな何か
をアメリカは
当時
切実に探し求めていた
そこで目を付けたのが
地下資源
石油代金の決済を
ドルに一般化することができるなら
石油消費国の総てと
産油国のそれぞれ
が
ドルの需要を引き揚げる
その役割を果たすようになることから
広大な裾野を持つ資源需要が
ドルの流通量を世界規模で拡大し
金が負っていた絶対量
と呼ばれる制限
を撤廃することが可能となり
資源に備わる信用力が
トルの通貨価値を裏付け
特段の担保を求めることなく
ドルを基軸とする信用経済で
世界市場を統一する時代を引き寄せた
金に代わる通貨価値を裏付けるものの代表
として
地下資源を決済する能力を
ドルに付与した
ということになる経過が
そこで生じた
ということになる展開だった
これにより金の絶対量が天井となっていた
国際経済の大枠を撤廃し
経済基盤となる価値の移動
を青天井状態へと開放し
急激な経済成長を生み出す素地
を作り上げ
ブレトンウッズ体制に代わる
石油・ドル本位制
と呼ばれる過去にない枠組みを登場させ
国際経済を統一するための枠組み
の構築に成功させた
資本の移動から
こうして
物理的制約の一切が消え
デリバティブと総称される
様々な金融派生商品が世界中の市場へと浸透し
国際的な資本移動が
一瞬で
いとも容易にできる時勢となった
ドルの発行国であるアメリカは
世界中の石油消費国から
地下資源の輸入代金を清算するために
通貨交換を公平に行う
ための第三者機関
となる為替相場を通じて
ドルの供給を安定的に行いつつ
買い取った
その国以外では
使うことのできないローカル通貨で
投資する行為を通じて
多くの利益を得る体制を
世界中で構築した
当初はドルを買うために売り渡した自国通貨で
海外からの投資が増加するようになったため
ローカル市場は俄かに活気づき
旺盛な取引を
世界中の市場で成立させ
資本効果を高めながら
利益水準を篤くしていった
だが海外からの流入資本の上陸が一巡すると
収益の回収が直ちに始まり
ローカル市場が生み出した収益の総て
を
ドルを供給した組織
即ちドル資本と呼ばれる一群が
悉く
速やかに国外へと持ち去り
再投資を生み出す循環を
断ち切ってしまう結果となった
ドル資本と呼ばれる一大勢力が
借入金で資本調達していたことから
借入金利を上回る収益を捻出する義務を負っていた
ということが利潤の回収を急がせた
ドルと交換で得た外貨を投資活動に転用し
ローカル市場が生み出した収益をため込んで
ドルが安くなっているタイミングで
高くなっている外貨がもつ優位性を利用して
効率よくドルを買い戻す
というプロセスを
目立たせずに繰り返す
通貨交換の往復の過程で
二重の為替差益が得られただけでなく
ローカル市場で獲得した収益も加わって
資本提供者
へと還元する能力を
時の経過に伴って
洗練させてきた
このため
利益を提供した国への再投資は行われず
循環を一旦断ち切って
利益を確定させることで
投資家の関心を高めて
再投資の波を改めて繰り出す
というサイクルが
金融資本とファンドによって
世界市場で成り立つようになったのだった
投資効率を向上させる目的で
獲得した収益の総てが
こうして投資家への配当
として還元されるシステムが
世界中に
定着した
経済を発展させるためには
地下資源をエネルギーに替える必要があり
経済成長を急ぐ国は
おしなべて
石油の消費を急がざるを得なかった
ドル・ショックの直後
1973年十月に第一次石油ショックが発生し
石油価格の暴騰が起き
ドルの需要水準はその時一気に高った
その五年後の1979年二月にイラン革命が勃発し
石油輸出国機構が原油価格の値上げを決めて
第二次石油ショックを引き起こす事態を生んだ
70年代という時代が
現在の国際経済にドル余り現象を齎し
2003年春のイラク戦争が
原油相場をその後五年以上に亘って高騰させ
ドルをアメリカに過剰供給させることとなり
市場にダブついているドルを回収する目的で
FRBに政策金利の引き上げを頻繁に行わせ
過剰流動性となっている大量の余ったドルを
北米大陸へと呼び込んだ
世界市場には既に
過剰供給されたドルが余っており
それを国内市場へと合理的に呼び込もうとして
サブプライムローンを導入して
過剰流動性の回収を急ぎ
通貨インフレとなるリスクを未然に防除した
低利の不動産融資を活発化させる
ことに成功はしたものの
三年後から始まった償還の集中的到来で
優遇金利の恩恵を受けられなくなった階層が
一斉に債務不履行へと陥った
これがリーマンショックへと繋がって
IMFの心胆を寒からしめることとなり
G7をG20へと拡大させ
古今未曽有の経済危機を
かろうじて回避した
という経緯が経済史へと残された
この直後
FRBは量的緩和を
段階的に三度実施することとなり
昨年漸く出口戦略に辿りつきはしたものの
その後の追加利上げを
繰り返し見送る経過を
今も尚続けている
という現状を出現させた
世界規模の貧困の原因は
ドルの過剰流動性の放置促進にあり
それが80年代から
温室効果ガスの濃度を一際高め
温暖化防止対策としてCO2の排出量削減を
国際的な問題へと押し上げて
97年暮れの京都議定書(COP3)へと繋がった
だが
温暖化現象の原因である温室効果ガスの最大成分
であるところの二酸化炭素濃度は
減るどころか却って着実に増加する一方
となったまま
現在も尚濃度上昇を続けながら
有害な方向へと
安定的に推移しているというのが
現実の相
国連の環境部会で様々な取り決めを行っていても
それらの一切は
実効性を完璧に失っていた
その事実にも誰一人気づかない
問題の本質が指導者に見えていないとき
無効な対策に資本が大量に注ぎ込まれ
経済成長を経済退潮へと反転させる
だけとなる
交流送電を世界中で行っている限り
温暖化は絶対に止まらない
交流電源というものは
回転数を常時安定的に保っていなければ
有効な電力を生み出せない
発電機の回転数が乱れると
それはとりもなおさず
周波数の乱れ
となって顕在化する
不安定化した周波数を持つ交流電流は
役に立たない無効なエネルギー
損失だけを積み増して
環境投資の総てを無駄にする
誤った認識がドルの過剰流動性を放置させ
地下資源の需要拡大を急がせて温暖化を生み
経済危機を導いてあらゆる国家に負圧をかけ
国民を貧困へと導き
1%対99%とを乖離させ
テロで多くの生命と資産とを
同時に失わせるようになっただけでなく
健全なインフレ経済を
世界規模のデフレ化の波
に洗わせている
というまことに愚かな経過を
地表へと導いた
有効な対策があるのだとすれば
それは
地下資源を必要としないエネルギー創出法
の早期開発と
機軸通貨の公平性を維持するための
どの国家にも属さない
中立で中性の人工通貨の創設
ということになるだろう
アメリカのローカル通貨であると同時に
機軸通貨でもある
というドルの不公平性を見失ってきた国際経済が
政治の場でテロと難民問題を生み出し
環境を劣悪化させながら
異常気象を地球全域へと拡大させている
これらのすべては
思考力が健全に保たれていたのであれば
普通に理解することは
容易にできていた程度の
単純な
課題
に過ぎない
指導階級に共通してみられる
問題認識能力の欠如
という状況が
不具合を生みだす共通集合のその母体
知育偏重の教育制度が行き着いた場所
が
他ならぬ
ここ
同時代人を一様に覆っている
知識の量的拡大に特化した教育の
それは欠陥
愚かなる病の原因は
ヒト
それ自体の裡にこそあったのだった
蒙昧な意識は
文明を圧迫し
最終的に淘汰する
機軸通貨の発行国であるアメリカが
金本位制
から一方体に離脱することを公表し
即日実施へと踏み切った
1071年八月十五日
を起点として
後に
ドル余り現象
と呼ばれることになる
世界規模の壮大な変化
引き起こす事態を
この時点で
予測することができた人は
誰一人いなかった
金本位制は
その脆弱性
つまり
通貨価値と同一の重さの金
とを
要求に応じて兌換しなければならない
とする義務に縛られていたことから
機軸通貨の発行権を手に入れたい国の指導者は
アメリカとの貿易で生じた
代金を決済するための通貨交換を
ドルではなく
汎用性の高い貴金属
即ち金塊で行うことにより
金の保有率を貿易量が高める
という効果がすぐに得られる
ことに気づかせた
金の保有高が減れば
金本位制で基軸通貨の位置を
安定的に確保する
ことは不可能となる
そこで
金に代わり得る何か
要するに
価値を代表する能力を有する
新たな何か
をアメリカは
当時
切実に探し求めていた
そこで目を付けたのが
地下資源
石油代金の決済を
ドルに一般化することができるなら
石油消費国の総てと
産油国のそれぞれ
が
ドルの需要を引き揚げる
その役割を果たすようになることから
広大な裾野を持つ資源需要が
ドルの流通量を世界規模で拡大し
金が負っていた絶対量
と呼ばれる制限
を撤廃することが可能となり
資源に備わる信用力が
トルの通貨価値を裏付け
特段の担保を求めることなく
ドルを基軸とする信用経済で
世界市場を統一する時代を引き寄せた
金に代わる通貨価値を裏付けるものの代表
として
地下資源を決済する能力を
ドルに付与した
ということになる経過が
そこで生じた
ということになる展開だった
これにより金の絶対量が天井となっていた
国際経済の大枠を撤廃し
経済基盤となる価値の移動
を青天井状態へと開放し
急激な経済成長を生み出す素地
を作り上げ
ブレトンウッズ体制に代わる
石油・ドル本位制
と呼ばれる過去にない枠組みを登場させ
国際経済を統一するための枠組み
の構築に成功させた
資本の移動から
こうして
物理的制約の一切が消え
デリバティブと総称される
様々な金融派生商品が世界中の市場へと浸透し
国際的な資本移動が
一瞬で
いとも容易にできる時勢となった
ドルの発行国であるアメリカは
世界中の石油消費国から
地下資源の輸入代金を清算するために
通貨交換を公平に行う
ための第三者機関
となる為替相場を通じて
ドルの供給を安定的に行いつつ
買い取った
その国以外では
使うことのできないローカル通貨で
投資する行為を通じて
多くの利益を得る体制を
世界中で構築した
当初はドルを買うために売り渡した自国通貨で
海外からの投資が増加するようになったため
ローカル市場は俄かに活気づき
旺盛な取引を
世界中の市場で成立させ
資本効果を高めながら
利益水準を篤くしていった
だが海外からの流入資本の上陸が一巡すると
収益の回収が直ちに始まり
ローカル市場が生み出した収益の総て
を
ドルを供給した組織
即ちドル資本と呼ばれる一群が
悉く
速やかに国外へと持ち去り
再投資を生み出す循環を
断ち切ってしまう結果となった
ドル資本と呼ばれる一大勢力が
借入金で資本調達していたことから
借入金利を上回る収益を捻出する義務を負っていた
ということが利潤の回収を急がせた
ドルと交換で得た外貨を投資活動に転用し
ローカル市場が生み出した収益をため込んで
ドルが安くなっているタイミングで
高くなっている外貨がもつ優位性を利用して
効率よくドルを買い戻す
というプロセスを
目立たせずに繰り返す
通貨交換の往復の過程で
二重の為替差益が得られただけでなく
ローカル市場で獲得した収益も加わって
資本提供者
へと還元する能力を
時の経過に伴って
洗練させてきた
このため
利益を提供した国への再投資は行われず
循環を一旦断ち切って
利益を確定させることで
投資家の関心を高めて
再投資の波を改めて繰り出す
というサイクルが
金融資本とファンドによって
世界市場で成り立つようになったのだった
投資効率を向上させる目的で
獲得した収益の総てが
こうして投資家への配当
として還元されるシステムが
世界中に
定着した
経済を発展させるためには
地下資源をエネルギーに替える必要があり
経済成長を急ぐ国は
おしなべて
石油の消費を急がざるを得なかった
ドル・ショックの直後
1973年十月に第一次石油ショックが発生し
石油価格の暴騰が起き
ドルの需要水準はその時一気に高った
その五年後の1979年二月にイラン革命が勃発し
石油輸出国機構が原油価格の値上げを決めて
第二次石油ショックを引き起こす事態を生んだ
70年代という時代が
現在の国際経済にドル余り現象を齎し
2003年春のイラク戦争が
原油相場をその後五年以上に亘って高騰させ
ドルをアメリカに過剰供給させることとなり
市場にダブついているドルを回収する目的で
FRBに政策金利の引き上げを頻繁に行わせ
過剰流動性となっている大量の余ったドルを
北米大陸へと呼び込んだ
世界市場には既に
過剰供給されたドルが余っており
それを国内市場へと合理的に呼び込もうとして
サブプライムローンを導入して
過剰流動性の回収を急ぎ
通貨インフレとなるリスクを未然に防除した
低利の不動産融資を活発化させる
ことに成功はしたものの
三年後から始まった償還の集中的到来で
優遇金利の恩恵を受けられなくなった階層が
一斉に債務不履行へと陥った
これがリーマンショックへと繋がって
IMFの心胆を寒からしめることとなり
G7をG20へと拡大させ
古今未曽有の経済危機を
かろうじて回避した
という経緯が経済史へと残された
この直後
FRBは量的緩和を
段階的に三度実施することとなり
昨年漸く出口戦略に辿りつきはしたものの
その後の追加利上げを
繰り返し見送る経過を
今も尚続けている
という現状を出現させた
世界規模の貧困の原因は
ドルの過剰流動性の放置促進にあり
それが80年代から
温室効果ガスの濃度を一際高め
温暖化防止対策としてCO2の排出量削減を
国際的な問題へと押し上げて
97年暮れの京都議定書(COP3)へと繋がった
だが
温暖化現象の原因である温室効果ガスの最大成分
であるところの二酸化炭素濃度は
減るどころか却って着実に増加する一方
となったまま
現在も尚濃度上昇を続けながら
有害な方向へと
安定的に推移しているというのが
現実の相
国連の環境部会で様々な取り決めを行っていても
それらの一切は
実効性を完璧に失っていた
その事実にも誰一人気づかない
問題の本質が指導者に見えていないとき
無効な対策に資本が大量に注ぎ込まれ
経済成長を経済退潮へと反転させる
だけとなる
交流送電を世界中で行っている限り
温暖化は絶対に止まらない
交流電源というものは
回転数を常時安定的に保っていなければ
有効な電力を生み出せない
発電機の回転数が乱れると
それはとりもなおさず
周波数の乱れ
となって顕在化する
不安定化した周波数を持つ交流電流は
役に立たない無効なエネルギー
損失だけを積み増して
環境投資の総てを無駄にする
誤った認識がドルの過剰流動性を放置させ
地下資源の需要拡大を急がせて温暖化を生み
経済危機を導いてあらゆる国家に負圧をかけ
国民を貧困へと導き
1%対99%とを乖離させ
テロで多くの生命と資産とを
同時に失わせるようになっただけでなく
健全なインフレ経済を
世界規模のデフレ化の波
に洗わせている
というまことに愚かな経過を
地表へと導いた
有効な対策があるのだとすれば
それは
地下資源を必要としないエネルギー創出法
の早期開発と
機軸通貨の公平性を維持するための
どの国家にも属さない
中立で中性の人工通貨の創設
ということになるだろう
アメリカのローカル通貨であると同時に
機軸通貨でもある
というドルの不公平性を見失ってきた国際経済が
政治の場でテロと難民問題を生み出し
環境を劣悪化させながら
異常気象を地球全域へと拡大させている
これらのすべては
思考力が健全に保たれていたのであれば
普通に理解することは
容易にできていた程度の
単純な
課題
に過ぎない
指導階級に共通してみられる
問題認識能力の欠如
という状況が
不具合を生みだす共通集合のその母体
知育偏重の教育制度が行き着いた場所
が
他ならぬ
ここ
同時代人を一様に覆っている
知識の量的拡大に特化した教育の
それは欠陥
愚かなる病の原因は
ヒト
それ自体の裡にこそあったのだった
蒙昧な意識は
文明を圧迫し
最終的に淘汰する