こ と の 端

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愚 か な 病

2016-06-19 09:25:36 | Weblog
あの日

機軸通貨の発行国であるアメリカが

金本位制

から一方体に離脱することを公表し

即日実施へと踏み切った

1071年八月十五日

を起点として

後に

ドル余り現象

と呼ばれることになる

世界規模の壮大な変化

引き起こす事態を

この時点で

予測することができた人は

誰一人いなかった


金本位制は

その脆弱性

つまり

通貨価値と同一の重さの金

とを

要求に応じて兌換しなければならない

とする義務に縛られていたことから

機軸通貨の発行権を手に入れたい国の指導者は

アメリカとの貿易で生じた

代金を決済するための通貨交換を

ドルではなく

汎用性の高い貴金属

即ち金塊で行うことにより

金の保有率を貿易量が高める

という効果がすぐに得られる

ことに気づかせた


金の保有高が減れば

金本位制で基軸通貨の位置を

安定的に確保する

ことは不可能となる

そこで

金に代わり得る何か

要するに

価値を代表する能力を有する

新たな何か

をアメリカは

当時

切実に探し求めていた


そこで目を付けたのが

地下資源

石油代金の決済を

ドルに一般化することができるなら

石油消費国の総てと

産油国のそれぞれ



ドルの需要を引き揚げる

その役割を果たすようになることから

広大な裾野を持つ資源需要が

ドルの流通量を世界規模で拡大し

金が負っていた絶対量

と呼ばれる制限

を撤廃することが可能となり

資源に備わる信用力が

トルの通貨価値を裏付け

特段の担保を求めることなく

ドルを基軸とする信用経済で

世界市場を統一する時代を引き寄せた


金に代わる通貨価値を裏付けるものの代表

として

地下資源を決済する能力を

ドルに付与した

ということになる経過が

そこで生じた

ということになる展開だった


これにより金の絶対量が天井となっていた

国際経済の大枠を撤廃し

経済基盤となる価値の移動

を青天井状態へと開放し

急激な経済成長を生み出す素地

を作り上げ

ブレトンウッズ体制に代わる

石油・ドル本位制

と呼ばれる過去にない枠組みを登場させ

国際経済を統一するための枠組み

の構築に成功させた


資本の移動から

こうして

物理的制約の一切が消え

デリバティブと総称される

様々な金融派生商品が世界中の市場へと浸透し

国際的な資本移動が

一瞬で

いとも容易にできる時勢となった


ドルの発行国であるアメリカは

世界中の石油消費国から

地下資源の輸入代金を清算するために

通貨交換を公平に行う

ための第三者機関

となる為替相場を通じて

ドルの供給を安定的に行いつつ

買い取った

その国以外では

使うことのできないローカル通貨で

投資する行為を通じて

多くの利益を得る体制を

世界中で構築した


当初はドルを買うために売り渡した自国通貨で

海外からの投資が増加するようになったため

ローカル市場は俄かに活気づき

旺盛な取引を

世界中の市場で成立させ

資本効果を高めながら

利益水準を篤くしていった

だが海外からの流入資本の上陸が一巡すると

収益の回収が直ちに始まり

ローカル市場が生み出した収益の総て



ドルを供給した組織

即ちドル資本と呼ばれる一群が

悉く

速やかに国外へと持ち去り

再投資を生み出す循環を

断ち切ってしまう結果となった


ドル資本と呼ばれる一大勢力が

借入金で資本調達していたことから

借入金利を上回る収益を捻出する義務を負っていた

ということが利潤の回収を急がせた


ドルと交換で得た外貨を投資活動に転用し

ローカル市場が生み出した収益をため込んで

ドルが安くなっているタイミングで

高くなっている外貨がもつ優位性を利用して

効率よくドルを買い戻す

というプロセスを

目立たせずに繰り返す


通貨交換の往復の過程で

二重の為替差益が得られただけでなく

ローカル市場で獲得した収益も加わって

資本提供者

へと還元する能力を

時の経過に伴って

洗練させてきた

このため

利益を提供した国への再投資は行われず

循環を一旦断ち切って

利益を確定させることで

投資家の関心を高めて

再投資の波を改めて繰り出す

というサイクルが

金融資本とファンドによって

世界市場で成り立つようになったのだった


投資効率を向上させる目的で

獲得した収益の総てが

こうして投資家への配当

として還元されるシステムが

世界中に

定着した


経済を発展させるためには

地下資源をエネルギーに替える必要があり

経済成長を急ぐ国は

おしなべて

石油の消費を急がざるを得なかった


ドル・ショックの直後

1973年十月に第一次石油ショックが発生し

石油価格の暴騰が起き

ドルの需要水準はその時一気に高った

その五年後の1979年二月にイラン革命が勃発し

石油輸出国機構が原油価格の値上げを決めて

第二次石油ショックを引き起こす事態を生んだ


70年代という時代が

現在の国際経済にドル余り現象を齎し

2003年春のイラク戦争が

原油相場をその後五年以上に亘って高騰させ

ドルをアメリカに過剰供給させることとなり

市場にダブついているドルを回収する目的で

FRBに政策金利の引き上げを頻繁に行わせ

過剰流動性となっている大量の余ったドルを

北米大陸へと呼び込んだ


世界市場には既に

過剰供給されたドルが余っており

それを国内市場へと合理的に呼び込もうとして

サブプライムローンを導入して

過剰流動性の回収を急ぎ

通貨インフレとなるリスクを未然に防除した


低利の不動産融資を活発化させる

ことに成功はしたものの

三年後から始まった償還の集中的到来で

優遇金利の恩恵を受けられなくなった階層が

一斉に債務不履行へと陥った

これがリーマンショックへと繋がって

IMFの心胆を寒からしめることとなり

G7をG20へと拡大させ

古今未曽有の経済危機を

かろうじて回避した

という経緯が経済史へと残された


この直後

FRBは量的緩和を

段階的に三度実施することとなり

昨年漸く出口戦略に辿りつきはしたものの

その後の追加利上げを

繰り返し見送る経過を

今も尚続けている

という現状を出現させた


世界規模の貧困の原因は

ドルの過剰流動性の放置促進にあり

それが80年代から

温室効果ガスの濃度を一際高め

温暖化防止対策としてCO2の排出量削減を

国際的な問題へと押し上げて

97年暮れの京都議定書(COP3)へと繋がった


だが

温暖化現象の原因である温室効果ガスの最大成分

であるところの二酸化炭素濃度は

減るどころか却って着実に増加する一方

となったまま

現在も尚濃度上昇を続けながら

有害な方向へと

安定的に推移しているというのが

現実の相


国連の環境部会で様々な取り決めを行っていても

それらの一切は

実効性を完璧に失っていた

その事実にも誰一人気づかない


問題の本質が指導者に見えていないとき

無効な対策に資本が大量に注ぎ込まれ

経済成長を経済退潮へと反転させる

だけとなる


交流送電を世界中で行っている限り

温暖化は絶対に止まらない

交流電源というものは

回転数を常時安定的に保っていなければ

有効な電力を生み出せない

発電機の回転数が乱れると

それはとりもなおさず

周波数の乱れ

となって顕在化する

不安定化した周波数を持つ交流電流は

役に立たない無効なエネルギー

損失だけを積み増して

環境投資の総てを無駄にする


誤った認識がドルの過剰流動性を放置させ

地下資源の需要拡大を急がせて温暖化を生み

経済危機を導いてあらゆる国家に負圧をかけ

国民を貧困へと導き

1%対99%とを乖離させ

テロで多くの生命と資産とを

同時に失わせるようになっただけでなく

健全なインフレ経済を

世界規模のデフレ化の波

に洗わせている

というまことに愚かな経過を

地表へと導いた


有効な対策があるのだとすれば

それは

地下資源を必要としないエネルギー創出法

の早期開発と

機軸通貨の公平性を維持するための

どの国家にも属さない

中立で中性の人工通貨の創設

ということになるだろう


アメリカのローカル通貨であると同時に

機軸通貨でもある

というドルの不公平性を見失ってきた国際経済が

政治の場でテロと難民問題を生み出し

環境を劣悪化させながら

異常気象を地球全域へと拡大させている


これらのすべては

思考力が健全に保たれていたのであれば

普通に理解することは

容易にできていた程度の

単純な

課題

に過ぎない


指導階級に共通してみられる

問題認識能力の欠如

という状況が

不具合を生みだす共通集合のその母体


知育偏重の教育制度が行き着いた場所



他ならぬ

ここ

同時代人を一様に覆っている

知識の量的拡大に特化した教育の

それは欠陥

愚かなる病の原因は

ヒト

それ自体の裡にこそあったのだった

蒙昧な意識は

文明を圧迫し

最終的に淘汰する
コメント
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