今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

海上保安の日

2007-05-12 | 記念日
5月12日「海上保安の日」
海上保安庁は、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする行政機関であり、芦田内閣の下、1948(昭和23)年5月1日設立された。 これは、第二次世界大戦後、それまで日本周辺海域における法秩序の維持にあたってきた日本海軍が掃海部隊を除いて解体され、その後、日本の海上における法秩序の維持および掃海などを担当する機関として運輸省(現・国土交通省)の外局として設立されたものであり、初代長官(大久保武雄)の手により庁舎屋上に庁旗が掲揚された。これを記念して、以後この日を「開庁記念日」として位置づけてきたが、2000(平成12)年より海上保安庁が地域の人々に広く親しまれ、その役割、活動をより一層理解してもらうために「海上保安の日」に改称したというもの。(掃海部隊については、以下参考の「海上自衛隊掃海隊群」参照)
設立にあたってはアメリカ沿岸警備隊(コーストガード)の助言があったというが、アメリカ沿岸警備隊はアメリカ海軍の一機関としての任務を担当することもあり、そのための装備も充実しているが、海上保安庁は、海上自衛隊からは完全に独立しており、装備面での共通性も少ない。
1952(昭和27)年には第3次吉田内閣の下、より軍事組織に近い海上警備隊が海上保安庁附属機関として組織されたが、これはまもなく警備隊として分離され、後の海上自衛隊となった。保安庁創設(1952年)に際して、治安組織の一元化の見地から、海上保安庁も海上公安局に改組されて、保安庁の下に置かれることになっていた(保安庁法及び海上公安局法)。ところが、海上保安庁側の猛反発により結局、保安庁法の海上公安局に関する規定及び海上公安局法は施行されないまま、それに代わる自衛隊法の制定によって廃止となる。そのため、海上保安庁は改組を免れてそのまま存続することとなった。
我が国は国の周りを海に囲まれており、周辺海域における海上テロの未然防止、また、国際組織犯罪の摘発など治安を維持し、海上交通の安全を確保することが我が国の安定した経済活動を支える上でも極めて重要なことであり、その意味で、我国周辺海域での不法行為や、日本の領海侵犯予防などをきっちりとやって欲しいものだ。
因みに2000年以降を見ても、
・2001年(平成13年)12月22日 - 九州南西海域工作船事件発生。威嚇射撃したのち不審船の反撃を受ける。銃撃戦の末、北朝鮮工作船は自爆し沈没。
・2004年(平成16年)11月10日 - 漢級原子力潜水艦領海侵犯事件発生。対軍艦ゆえに海上保安庁の能力では必要な対策が出来ず、海上警備行動の発令となった。
・2005年(平成17年)5月31日 - 対馬沖の日本の排他的経済水域 (EEZ) を韓国の漁船「502シンプン」が侵犯。第七管区海上保安本部所属の巡視艇2隻が、臨検の為「502シンプン」を停船させたが、当該船は、臨検のために乗り移った保安官2名を乗せたまま韓国側EEZへ逃走。追跡した巡視艇7隻が、韓国蔚山沖で漁船員の引渡しを求めて韓国海洋警察庁の巡視艇6隻と39時間に渉って海上で対峙。結局、漁船のEEZ侵犯を認める代わりに身柄を韓国側に引き渡されるという灰色決着になった。
・2005年(平成17年)12月6日 - 韓国海洋警察庁が海上保安庁に対し、日本領海における捜査権の譲渡を要求したが、海上保安庁は「捜査権の譲渡は主権侵害にあたる」として拒否した。
・2006年(平成18年)4月14日 - 海上保安庁は、韓国の竹島周辺の排他的経済水域での海洋調査を、国際水路機関 (IHO) に通報。
といった領海侵犯や周辺海域でのトラブルのほか、日本の領海内での不法な漁獲などといった不法行為が頻繁に行われているが、そのようなことに対しての、海上保安庁の対応は必ずしも十分とはいえない。
海上保安庁の年度ごとの活動等については「年度報告(海上保安レポート)(元海上保安庁白書)」として、「海上保安の日」(5月12日)に毎年公表されている。
海上保安レポート2006(海上保安庁)↓
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2006/index.html
上記報告によると、「我が国の海洋権益の保全のために 」として、第二次世界大戦末期や戦後の混乱期に生じた北方領土、竹島に係る領土問題、石油埋蔵の可能性から生じた尖閣諸島領有権主張問題、また、最近では、中国が我が国の領土である沖ノ鳥島を岩であると主張する問題など、我が国の海洋権益を脅かす問題が山積しており、周辺諸国とも国際的に協調していかなくてはならないが、近年、中国は我が国周辺海域における海洋調査や東シナ海におけるエネルギー開発などを活発に行い、東シナ海の日中地理的中間線付近には、石油・天然ガス採掘用の海洋構築物を既に複数設置するなどわが国の権益を侵害し始めている。このようなことを防止するためにも航空機、通信器材、高性能な巡洋艦を配備して警戒態勢を強化する必要性を示している。
日本は、領海侵犯に対しては、基本的に海上保安庁が対応しているが、海上保安庁の船舶・航空機だけでは広い日本の海域をカバーできないため、自衛隊との協力は欠かせないし、実際に、海上自衛隊のP-3C・対潜哨戒機からもたらされることも多い。海上保安庁では、これら通報に基づき現場海域に急行し、まずは国際的に定められた手順に則り、停船命令を出し、停船した場合、船舶に乗り移って臨検を行い、事情聴取等、調査し、場合によっては逮捕するが、船舶が停船に従わない場合は、警告弾の投擲を行うほか、強行接舷により要員の移乗を行い臨検するが、該当船舶に武装の可能性など、強行接舷などに危険がある場合は、「警察官職務執行法」に基づき、まずは攻撃の意思を表す射撃警告、次に上空や海面に向けて威嚇射撃を行う。それでも停船に従わない場合は船体射撃を行い、状況を見て強行接舷を行う必要のある場合がある。そして、実際に実施されてもいる。しかし、強力な武器を携行している・高速で逃亡する・潜水艦であるなど海上保安庁の能力を超えていると判断されたときは、現行では、国土交通省から防衛省に連絡があり防衛大臣によって海上警備行動が命ぜられる。発令には閣議による合意に基づく内閣総理大臣による承認が必要である。・・・・なんと、まどろっこしいことか・・・。
日本の国土は約38万km2で、世界第60位だが、領海、EEZの広さでは世界6位である。水域面積は広大で、領海(含:内水)とEEZを合わせて約447万km2となる。[日本の領海等概念図]。日本は漁業や海運などが盛んな海洋国家でもあり、その領海を守る事は日本の国益と言うよりも領土を守る事と同様に重要な事である。もう少し、諸外国の沿岸警備隊(コーストガード)、国境警備隊等と呼ばれる機関(準軍事組織)同様の装備の充実が必要であろう。ここのところ、特に中国の日本に対する強硬な対応は、日本の中国脅威論にもつながっており、この中国の動きに対しては、ジャーナリスト桜井よしこも指摘している。
桜井よしこブログ:特集 「 緊迫の海域『尖閣諸島』を視た! 」
(前編)→http://blog.yoshiko-sakurai.jp/2004/12/post_320.html
(後編)→http://blog.yoshiko-sakurai.jp/2005/01/post_319.html
(画像は、「海上保安レポート2006」海上保安庁 HPより)

ブログの字数制限により、参考のリンク集は以下に記載しています。

参考
この下に表示されます。

海上保安の日(参考)

2007-05-12 | 記念日
参考:
海上保安庁
http://www.kaiho.mlit.go.jp/
海上保安庁 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E4%B8%8A%E4%BF%9D%E5%AE%89%E5%BA%81
領海侵犯 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E6%B5%B7%E4%BE%B5%E7%8A%AF
海域 - Wikipedi
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E5%9F%9F
北方領土 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%96%B9%E9%A0%98%E5%9C%9F
尖閣諸島 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%96%E9%96%A3%E8%AB%B8%E5%B3%B6
[PDF] 年表HTMLバージョン
http://www.kaiho.mlit.go.jp/06kanku/tokei/nenpyo.pdf
海上自衛隊掃海隊群
http://www.mod.go.jp/msdf/mf/index.htm
電子政府の総合窓口 - 白書、年次報告書等
http://www.e-gov.go.jp/link/white_papers.html
海賊問題の現状と我が国の取り組み平成17年12月(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/index.html
櫻井よしこ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AB%BB%E4%BA%95%E3%82%88%E3%81%97%E3%81%93
警察官職務執行法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E5%AE%98%E8%81%B7%E5%8B%99%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E6%B3%95