
イスラエル イラン 軍事衝突1週間 さらに激化の懸念 NHK 2025年6月20日 22時07分
アメリカのトランプ大統領がイランへの軍事介入をめぐり2週間以内に判断する姿勢を示す中、ネタニヤフ首相はイスラエル単独でもイランの重要な核関連施設を攻撃できると強調しました。開始から1週間となったイスラエルとイランの軍事衝突は、さらに激しくなることが懸念されます。
イスラエル軍は20日、イランの首都テヘラン中心部で核兵器の開発を目的とした研究拠点やミサイル工場など、あわせて数十か所を空爆したと発表しました。
イラン各地の核関連施設への空爆も行っていて、IAEA=国際原子力機関の20日の発表によりますと、西部ホンダブにある原子炉の関連施設が被害を受けたもようです。
これに対しイランはイスラエルへのミサイル攻撃を断続的に行い、20日、南部ベエルシェバでは住宅街にミサイルが着弾し、イスラエルメディアによりますと7人が軽いけがをしました。
イランのペゼシュキアン大統領は20日、SNSへの投稿で「この押しつけられた戦争を終わらせる唯一の道は、イスラエルの侵略を無条件に停止することだ。さもなければわれわれの報復はより激しくなるだろう」として、イスラエルが攻撃を続けるかぎり、徹底抗戦する姿勢を強調しました。
アメリカの軍事介入が焦点
こうした中、アメリカのトランプ政権が、イラン中部フォルドゥの地下80メートルほどの深さにある核関連施設に対して、特殊な爆弾「バンカーバスター」で攻撃するかが焦点の一つとなっています。
イランへの軍事介入をめぐりトランプ大統領は19日の声明で、「近くイランとの交渉が行われる可能性があることを踏まえて、2週間以内に行動するかどうか決断する」と述べました。
アメリカのウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相はこの1週間で数回、電話で協議を行っていると、ロイター通信が外交筋の話として伝えています。
イスラエル首相 “単独でもイラン核施設 攻撃可能”
イスラエルのネタニヤフ首相は19日、地元テレビ局のインタビューでアメリカからの支援の有無にかかわらず、フォルドゥの核施設を攻撃できるか問われたのに対し、「われわれにはイランのすべての核施設を排除する能力がある」と述べ、イスラエル単独でもフォルドゥなどの核施設を攻撃することが可能だという考えを強調しました。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」は18日、イスラエルの政府関係者の話として、イスラエルが単独でもフォルドゥの核施設に大きな損害を与える可能性があると伝えています。
具体的には去年9月、シリアの地下にあるミサイル工場に対し、イスラエルは特殊部隊を派遣し、爆発物を仕掛けて破壊する奇襲作戦を行ったとして、アメリカの「バンカーバスター」に頼らない手段もあるとしています。
開始から1週間となったイスラエルとイランの軍事衝突は、さらに激しくなることが懸念されます。
トランプ大統領 “2週間以内に決断”
アメリカのトランプ大統領はこれまでイランへの対応について聞かれ、「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と述べるなど、軍事介入の選択肢を排除しない姿勢を示しています。
ホワイトハウスのレビット報道官は19日の会見で、「アメリカがイランに軍事介入するかどうか臆測が飛び交っていることは承知している」と述べた上で、トランプ大統領の声明を読み上げました。
声明では「近くイランとの交渉が行われる可能性があることを踏まえて、2週間以内に行動するかどうか決断する」としています。
レビット報道官は記者からの質問に対し、トランプ政権とイラン政府の間でやりとりが続いていることを認めた上で「トランプ大統領は外交による解決のチャンスを常につかみに行くが、同時に力を行使することもおそれない」と強調しました。
一方で、イランとのやりとりの方法など詳細については回答を控えるとしています。
ホワイトハウスは、トランプ大統領が週末にかけて連日、NSC=国家安全保障会議の会合を開くとしていて、イラン側とのやりとりと並行して軍事介入を含め、今後の対応を慎重に検討するものとみられます。
“アメリカ特使とイラン外相が協議” 報道
ロイター通信は19日、外交筋の話として、イスラエルが今月13日にイランへの先制攻撃を行って以降、アメリカのウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が数回、電話で協議を行っていたと伝えました。
アラグチ外相は「イスラエルが攻撃をやめないかぎり、イランは交渉の場には戻らない」と述べたということです。
また、アメリカが戦闘終結に向けてイスラエルに圧力をかけるのであれば「イランは核開発問題で柔軟に対応することができる」と伝えたとしています。
専門家 “イランがホルムズ海峡封鎖する可能性”
アメリカ軍の戦闘機の元パイロットで、国務省の副次官補も務めたスティーブ・ガニャード氏が19日、NHKの取材にオンラインで応じました。
ガニャード氏は、アメリカ軍がイラン中部フォルドゥの地下にあるウラン濃縮施設への攻撃を決めた場合、GBU-57と呼ばれる大型のバンカーバスターが使われるだろうとしたうえで、「地図から推測される地下の広大な施設を考えるとすべてを破壊するにはおそらく2発、4発、6発、あるいはそれ以上の爆弾が必要になるかもしれない」と述べました。
また、そのバンカーバスターを運ぶことができるアメリカ軍のB2ステルス戦略爆撃機の運用について、インド洋のディエゴガルシア島のアメリカ軍基地から向かう場合は、島がイギリス領のため、攻撃の際はイギリスの了解が必要になる可能性があるとして、アメリカ中西部のミズーリ州の空軍基地から直接イランに向かうのが「最善だ」と指摘しました。
そして「複数のB2爆撃機が必要とされ、一日ではなく一連の攻撃になるだろう」という見方を示しました。
一方、外交交渉については、「トランプ大統領が『無条件降伏』を求めたことで交渉のハードルが大幅に引き上げられた」として、交渉による解決の余地は少ないと分析しています。
また、アメリカが軍事介入した場合に考えられるイラン側からの反撃については「サウジアラビアやカタールなどにあるアメリカ軍の基地はほとんどが飛行場で、大きく、ねらうのが簡単な標的だ。イランは中距離や短距離のミサイルを多数持っており、こうした国に向け発射可能だ」と指摘しました。
さらにイランは、自国の経済に打撃となることも覚悟のうえで、原油の海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖に踏み切る可能性があるという見方を示しました。
具体的には、イランには海峡に機雷を設置する能力があり、イランの革命防衛隊が運用する小型の高速艇は、アメリカ軍の艦船にとっても対処が難しいとしたうえで「海峡の封鎖は保険会社が海峡を通過する船舶の保険を引き受けないよう不安にさせればそれで十分だ」としています。
そして、アメリカがすでに中東からの石油に依存していないことに留意すべきだとして、ホルムズ海峡が封鎖されてもトランプ大統領が「これは私の問題ではないヨーロッパやアジアが対処すべき問題だ」という対応をとる事態も、日本は想定すべきだと警鐘を鳴らしました。
攻撃受けたイラン国営放送 内部を公開
イランの首都テヘランでは16日夜、生放送中に国営放送局がイスラエル軍の攻撃を受け、職員3人が死亡しました。
被害を受けた国営放送局の建物の内部が19日、メディアに公開され、このうちAFP通信が撮影した映像からは、焼け焦げたテレビや撮影機材とみられるものが散乱している様子が確認できます。
また、建物の窓の大部分が割れているほか、柱やはりなどがむき出しになった様子が写っていて、攻撃の激しさがうかがえます。
イランにある大使館の業務 一時停止する国も
一部の国で、イランにある大使館の業務を一時的に停止する動きが出ています。
オーストラリアのウォン外相は20日声明を発表し、イランの治安環境が悪化しているとして、テヘランにある大使館の業務を一時停止し、大使館員とその家族に退避を指示したと発表しました。
一方、大使は現地に残ってオーストラリア政府の対応を支援するとしています。
ウォン外相は声明のなかで、「イランから出国可能なオーストラリア国民は、安全が確保できれば、今すぐ出国してほしい」としています。
このほか、ニュージーランドが19日、イランにある大使館の業務を一時停止したと発表したほか、スイスも業務を一時停止しています。
また、ロイター通信によりますと、ポルトガルは大使館を一時的に閉鎖し、ブルガリアは隣国アゼルバイジャンの首都バクーに大使館の機能を一時的に移したということです。
一方、外務省によりますと日本の大使館はテヘランでの業務を継続しているということです。
イスラエル 観光や留学などにも影響
双方の攻撃の応酬が続く中、イスラエルでは全土に非常事態宣言が出されたままとなっています。
ふだんは多くの観光客などでにぎわうエルサレム市内の繁華街に観光客の姿はほとんど見られません。
エルサレムにある旧市街への入り口の1つ「ダマスカス門」ではイスラエルの治安部隊がバリケードを設置して往来を制限していて、観光客などはイスラム教の聖地にある名所の「アルアクサ・モスク」や、「岩のドーム」へ行くことができなくなっています。
空港の閉鎖が続く中、外国人の間では、陸路での出国を急いだり、帰国を早めたりする動きが出ています。
イスラエル北部で遺跡などの研究を行っていたというアメリカ人男性は「イランとの戦闘が激化したことで、航空機での出国ができなくなってしまった。すでに仲間の一部は陸路でエジプトに出国したので、私もそのルートで出国する予定だ」と話していました。
また、エルサレムに留学中だという別のアメリカ人男性は、「来月末まで留学の予定だったが、情勢を受けて留学期間が短くなってしまった。いろいろと混乱している状況だが、来週末には帰国する。人々のためにも早く平和になってほしい」と話していました。
岩屋外相 イスラエル外相と電話会談
岩屋外務大臣はイスラエルのサール外相と午後7時すぎからおよそ25分間、電話で会談しました。
この中で、岩屋外務大臣は「報復の応酬と甚大な被害を深く懸念している」と述べたうえで、イランの核開発は許されず、協議を通じた解決の努力が重要だという考えを示しました。
そのうえで「これ以上、事態をエスカレートさせるいかなる行動も慎むべきで、事態の沈静化が何よりも重要だ」と伝えました。
また、岩屋大臣がイスラエル国内にいる、およそ1000人の日本人の保護に協力を要請したのに対し、サール外相は「協力する」と応じました。
そして、両外相は今後も意思疎通を継続していくことで一致しました。
アメリカのトランプ大統領がイランへの軍事介入をめぐり2週間以内に判断する姿勢を示す中、ネタニヤフ首相はイスラエル単独でもイランの重要な核関連施設を攻撃できると強調しました。開始から1週間となったイスラエルとイランの軍事衝突は、さらに激しくなることが懸念されます。
イスラエル軍は20日、イランの首都テヘラン中心部で核兵器の開発を目的とした研究拠点やミサイル工場など、あわせて数十か所を空爆したと発表しました。
イラン各地の核関連施設への空爆も行っていて、IAEA=国際原子力機関の20日の発表によりますと、西部ホンダブにある原子炉の関連施設が被害を受けたもようです。
これに対しイランはイスラエルへのミサイル攻撃を断続的に行い、20日、南部ベエルシェバでは住宅街にミサイルが着弾し、イスラエルメディアによりますと7人が軽いけがをしました。
イランのペゼシュキアン大統領は20日、SNSへの投稿で「この押しつけられた戦争を終わらせる唯一の道は、イスラエルの侵略を無条件に停止することだ。さもなければわれわれの報復はより激しくなるだろう」として、イスラエルが攻撃を続けるかぎり、徹底抗戦する姿勢を強調しました。
アメリカの軍事介入が焦点
こうした中、アメリカのトランプ政権が、イラン中部フォルドゥの地下80メートルほどの深さにある核関連施設に対して、特殊な爆弾「バンカーバスター」で攻撃するかが焦点の一つとなっています。
イランへの軍事介入をめぐりトランプ大統領は19日の声明で、「近くイランとの交渉が行われる可能性があることを踏まえて、2週間以内に行動するかどうか決断する」と述べました。
アメリカのウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相はこの1週間で数回、電話で協議を行っていると、ロイター通信が外交筋の話として伝えています。
イスラエル首相 “単独でもイラン核施設 攻撃可能”
イスラエルのネタニヤフ首相は19日、地元テレビ局のインタビューでアメリカからの支援の有無にかかわらず、フォルドゥの核施設を攻撃できるか問われたのに対し、「われわれにはイランのすべての核施設を排除する能力がある」と述べ、イスラエル単独でもフォルドゥなどの核施設を攻撃することが可能だという考えを強調しました。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」は18日、イスラエルの政府関係者の話として、イスラエルが単独でもフォルドゥの核施設に大きな損害を与える可能性があると伝えています。
具体的には去年9月、シリアの地下にあるミサイル工場に対し、イスラエルは特殊部隊を派遣し、爆発物を仕掛けて破壊する奇襲作戦を行ったとして、アメリカの「バンカーバスター」に頼らない手段もあるとしています。
開始から1週間となったイスラエルとイランの軍事衝突は、さらに激しくなることが懸念されます。
トランプ大統領 “2週間以内に決断”
アメリカのトランプ大統領はこれまでイランへの対応について聞かれ、「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と述べるなど、軍事介入の選択肢を排除しない姿勢を示しています。
ホワイトハウスのレビット報道官は19日の会見で、「アメリカがイランに軍事介入するかどうか臆測が飛び交っていることは承知している」と述べた上で、トランプ大統領の声明を読み上げました。
声明では「近くイランとの交渉が行われる可能性があることを踏まえて、2週間以内に行動するかどうか決断する」としています。
レビット報道官は記者からの質問に対し、トランプ政権とイラン政府の間でやりとりが続いていることを認めた上で「トランプ大統領は外交による解決のチャンスを常につかみに行くが、同時に力を行使することもおそれない」と強調しました。
一方で、イランとのやりとりの方法など詳細については回答を控えるとしています。
ホワイトハウスは、トランプ大統領が週末にかけて連日、NSC=国家安全保障会議の会合を開くとしていて、イラン側とのやりとりと並行して軍事介入を含め、今後の対応を慎重に検討するものとみられます。
“アメリカ特使とイラン外相が協議” 報道
ロイター通信は19日、外交筋の話として、イスラエルが今月13日にイランへの先制攻撃を行って以降、アメリカのウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が数回、電話で協議を行っていたと伝えました。
アラグチ外相は「イスラエルが攻撃をやめないかぎり、イランは交渉の場には戻らない」と述べたということです。
また、アメリカが戦闘終結に向けてイスラエルに圧力をかけるのであれば「イランは核開発問題で柔軟に対応することができる」と伝えたとしています。
専門家 “イランがホルムズ海峡封鎖する可能性”
アメリカ軍の戦闘機の元パイロットで、国務省の副次官補も務めたスティーブ・ガニャード氏が19日、NHKの取材にオンラインで応じました。
ガニャード氏は、アメリカ軍がイラン中部フォルドゥの地下にあるウラン濃縮施設への攻撃を決めた場合、GBU-57と呼ばれる大型のバンカーバスターが使われるだろうとしたうえで、「地図から推測される地下の広大な施設を考えるとすべてを破壊するにはおそらく2発、4発、6発、あるいはそれ以上の爆弾が必要になるかもしれない」と述べました。
また、そのバンカーバスターを運ぶことができるアメリカ軍のB2ステルス戦略爆撃機の運用について、インド洋のディエゴガルシア島のアメリカ軍基地から向かう場合は、島がイギリス領のため、攻撃の際はイギリスの了解が必要になる可能性があるとして、アメリカ中西部のミズーリ州の空軍基地から直接イランに向かうのが「最善だ」と指摘しました。
そして「複数のB2爆撃機が必要とされ、一日ではなく一連の攻撃になるだろう」という見方を示しました。
一方、外交交渉については、「トランプ大統領が『無条件降伏』を求めたことで交渉のハードルが大幅に引き上げられた」として、交渉による解決の余地は少ないと分析しています。
また、アメリカが軍事介入した場合に考えられるイラン側からの反撃については「サウジアラビアやカタールなどにあるアメリカ軍の基地はほとんどが飛行場で、大きく、ねらうのが簡単な標的だ。イランは中距離や短距離のミサイルを多数持っており、こうした国に向け発射可能だ」と指摘しました。
さらにイランは、自国の経済に打撃となることも覚悟のうえで、原油の海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖に踏み切る可能性があるという見方を示しました。
具体的には、イランには海峡に機雷を設置する能力があり、イランの革命防衛隊が運用する小型の高速艇は、アメリカ軍の艦船にとっても対処が難しいとしたうえで「海峡の封鎖は保険会社が海峡を通過する船舶の保険を引き受けないよう不安にさせればそれで十分だ」としています。
そして、アメリカがすでに中東からの石油に依存していないことに留意すべきだとして、ホルムズ海峡が封鎖されてもトランプ大統領が「これは私の問題ではないヨーロッパやアジアが対処すべき問題だ」という対応をとる事態も、日本は想定すべきだと警鐘を鳴らしました。
攻撃受けたイラン国営放送 内部を公開
イランの首都テヘランでは16日夜、生放送中に国営放送局がイスラエル軍の攻撃を受け、職員3人が死亡しました。
被害を受けた国営放送局の建物の内部が19日、メディアに公開され、このうちAFP通信が撮影した映像からは、焼け焦げたテレビや撮影機材とみられるものが散乱している様子が確認できます。
また、建物の窓の大部分が割れているほか、柱やはりなどがむき出しになった様子が写っていて、攻撃の激しさがうかがえます。
イランにある大使館の業務 一時停止する国も
一部の国で、イランにある大使館の業務を一時的に停止する動きが出ています。
オーストラリアのウォン外相は20日声明を発表し、イランの治安環境が悪化しているとして、テヘランにある大使館の業務を一時停止し、大使館員とその家族に退避を指示したと発表しました。
一方、大使は現地に残ってオーストラリア政府の対応を支援するとしています。
ウォン外相は声明のなかで、「イランから出国可能なオーストラリア国民は、安全が確保できれば、今すぐ出国してほしい」としています。
このほか、ニュージーランドが19日、イランにある大使館の業務を一時停止したと発表したほか、スイスも業務を一時停止しています。
また、ロイター通信によりますと、ポルトガルは大使館を一時的に閉鎖し、ブルガリアは隣国アゼルバイジャンの首都バクーに大使館の機能を一時的に移したということです。
一方、外務省によりますと日本の大使館はテヘランでの業務を継続しているということです。
イスラエル 観光や留学などにも影響
双方の攻撃の応酬が続く中、イスラエルでは全土に非常事態宣言が出されたままとなっています。
ふだんは多くの観光客などでにぎわうエルサレム市内の繁華街に観光客の姿はほとんど見られません。
エルサレムにある旧市街への入り口の1つ「ダマスカス門」ではイスラエルの治安部隊がバリケードを設置して往来を制限していて、観光客などはイスラム教の聖地にある名所の「アルアクサ・モスク」や、「岩のドーム」へ行くことができなくなっています。
空港の閉鎖が続く中、外国人の間では、陸路での出国を急いだり、帰国を早めたりする動きが出ています。
イスラエル北部で遺跡などの研究を行っていたというアメリカ人男性は「イランとの戦闘が激化したことで、航空機での出国ができなくなってしまった。すでに仲間の一部は陸路でエジプトに出国したので、私もそのルートで出国する予定だ」と話していました。
また、エルサレムに留学中だという別のアメリカ人男性は、「来月末まで留学の予定だったが、情勢を受けて留学期間が短くなってしまった。いろいろと混乱している状況だが、来週末には帰国する。人々のためにも早く平和になってほしい」と話していました。
岩屋外相 イスラエル外相と電話会談
岩屋外務大臣はイスラエルのサール外相と午後7時すぎからおよそ25分間、電話で会談しました。
この中で、岩屋外務大臣は「報復の応酬と甚大な被害を深く懸念している」と述べたうえで、イランの核開発は許されず、協議を通じた解決の努力が重要だという考えを示しました。
そのうえで「これ以上、事態をエスカレートさせるいかなる行動も慎むべきで、事態の沈静化が何よりも重要だ」と伝えました。
また、岩屋大臣がイスラエル国内にいる、およそ1000人の日本人の保護に協力を要請したのに対し、サール外相は「協力する」と応じました。
そして、両外相は今後も意思疎通を継続していくことで一致しました。