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「外国人労働者が日本に流入していることによって、国内賃金を大きく下押ししているというような明確な証拠はない」

2025-07-17 12:27:51 | 安倍、菅、岸田、石破の関連記事
「外国人増加で治安が、賃金が…」広がる情報を検証 誤りも NHK 2025年7月16日 20時56分

参議院選挙の投開票日を前に、SNSで「外国人」に触れる投稿が増えています。

各党の訴えも激しさを増していますが、候補者の発言やSNSで広がる投稿の中には、誤った情報や誤解に基づいた情報もあります。

こうした情報の広がりが、排外主義をあおるとして懸念の声も。広がっている「治安」と「賃金」をめぐる情報について、検証しました。

「外国人優遇」根拠のない情報が…
いま、SNSではどのようなことに関心が集まっているのか?

NHKは、「参院選」や「選挙」ということばとともに、Xに投稿されている内容を、過去1か月分調べました。すると…。

投稿件数は「少子化」がおよそ4万1000件、「安全保障」が11万3000件、「関税」が11万8000件、コメ関連が14万2000件、「年金」が14万6000件、「物価高」が18万8000件、「消費税」が67万4000件、そして最も多かったのは「外国人」で、119万件でした。

同様の広がりはXだけでなく、スレッズやインスタグラム、YouTube、TikTokなどでもみられます。

世論調査などで見える関心との違いもみられますが、こうしたSNSでの関心の高まりにあわせて、各党も訴えの内容に「外国人」を含めてきています。

しかし、SNSで広がる投稿の中には、根拠のない情報などが。
候補者が街頭演説などで述べ、さらに広がるケースもありました。

「外国人優遇」についての検証記事はこちら
「外国人の増加で治安が悪化」は根拠なし
このうち、「外国人が増えて治安が悪くなっている」という主張は、Xなどで50万回以上、見られている投稿もあります。実際にはどうなのか。

こちらは、日本における外国人の人口と、刑法犯の検挙人数に関して、国立社会保障・人口問題研究所の是川夕 国際関係部長がまとめたデータです。

およそ30年の間に、外国人の人口はおよそ130万人から370万人と3倍近くに。

一方で、検挙された人数は2005年の1万4786人から減少傾向にあり、2023年は9726人でした。

是川さんは、「過去30年ぐらいのトレンドを見ても、外国人の数は増えているにも関わらず、外国人による刑法犯件数自体はむしろ減っています」と指摘します。

人口当たりの犯罪件数、犯罪率についても「外国人の方が日本人より高いとはいえない」と分析しています。

是川国際関係部長
「犯罪件数を人口で割ると外国人が日本人より高く出ます。ただ、外国人の人口は若い人が多く、日本人の人口には生まれたての赤ちゃんからもうご高齢のお年寄りの方まで入っています。単純に比較しても意味がありません」

「年齢構成が仮に同じであった場合の推定を行うと、外国人は、日本人全体の値からは若干高い数字になりますが、外国人全体の犯罪率は、やや高い地域の日本人の犯罪率よりは低く、誤差と言っていい差の中に入っているということになります」

「不法残留が増え続けている」は誤り
外国人と犯罪についての誤情報や不正確な情報はほかにも。

「不法滞在者が増え続けている」という主張も出ていますが、法務省のデータによると、不法残留者は20年前の4分の1に減少しています。ここ数年は、横ばいです。

「不起訴率高い」「凶悪犯が多い」も誤り
「外国人は不起訴率が高い(起訴率が低い)」という主張も誤りです。

2024年版の犯罪白書では、「来日外国人の起訴率は、日本人を含めた全終局処理人員と比較すると、刑法犯では4.2ポイント高い」としています。

過去15年分の刑法犯に関するデータを見ても、不起訴率が高い、起訴率が低いという事実はありません。

また、刑法犯以外でも、入管法違反を除いた特別法犯の起訴率はは0.1ポイント低く、日本人とほぼ同様の水準です。

さらに「凶悪犯が多い」という主張もありますが、日本人の犯罪と外国人による犯罪の傾向に大きな違いはありません。

是川国際関係部長
「ここ2、3年で見ると、日本人も含めた刑法犯全体の件数自体も増えていて、外国人の件数も連動して動いているところもあります。また、警察が重点的に取り締まりを行った結果増えるということもあります。その地域の治安が悪化したということではなく、むしろ治安が改善したということでもある。その辺は注意して見ていく必要があります」

「外国人の低賃金が日本人の賃金に影響」明確な根拠なし
治安の話以外にSNSで広がっているのが、賃金についての主張です。

「外国人労働者を安い賃金で雇うからいつまでも日本人の賃金があがらない」という主張です。データで検証すると…。

日本にいる外国人の労働者は、2024年10月末時点で過去最多のおよそ230万人です。

産業別にみると、製造業がおよそ60万人、サービス業がおよそ35万人、卸売業・小売業がおよそ30万人、宿泊・飲食サービス業がおよそ27万人などとなっています。

そして、外国人労働者の月額賃金は、2024年の賃金構造基本統計調査によると、平均すると24万2700円。平均年齢は32.8歳です。

日本人(33万400円、平均年齢44.1歳)よりも賃金は安く、年齢も低くなっています。

ただ、外国人労働者の賃金は、在留資格によって大きな差があります。

およそ72万人いる専門的・技術的分野の人は29万2000円、およそ63万人の永住者・日本人配偶者などは30万300円ですが、技能実習生はおよそ47万人で18万2700円です。

賃金への影響はどうなのか。

ニッセイ基礎研究所・総合政策研究部の鈴木智也・准主任研究員は、「外国人労働者が日本に流入していることによって、国内賃金を大きく下押ししているというような明確な証拠はない」と指摘します。

鈴木准主任研究員
「日本で働く外国人労働者は、日本人の人口構成に比べると若者にかなり偏っていて低賃金になりやすい。ほかにも勤続年数や学歴、産業、それから地域といった要素があります」

「こうしたものを調整して比較していくと、(日本人の賃金には)ほぼ影響がないとも言われています。日本でもここ数年はデータの蓄積が進んでいますが、外国人の流入による賃金への影響あるいは雇用への影響というのはそれほど見えていません」

鈴木さんは、外国人への依存度が高くなっている宿泊業や飲食サービス業などでは日本人の賃金を押し下げる影響がある可能性は否定できないとしています。

ただ、その一方で「外国人は日本人がやらない仕事を受け持っていて競合しないため、国内全体の賃金には影響しにくいともいえます」と述べました。

厚生労働省の「外国人雇用実態調査」(2023年)によると、外国人労働者を雇用する理由で最も多かったのは「労働力不足の解消・緩和のため」(64.8%)で、日本国内の人手不足を反映した結果になっています。

鈴木准主任研究員
「すでに日本では余裕がある労働力は発掘され尽くしつつあります。今後20年先の社会を考えた時には、大体1000万人ぐらい労働需給の中で労働力が不足するというようなシミュレーションもあり、日本人だけで供給できるかというとなかなか難しいのではないかという風に思います」

専門家「選挙の際の拡散、日本では初めて」
今回の参議院選挙に際して、どうして外国人に関する主張がSNSや政治の場で広がっているのか。

国際基督教大学の橋本直子准教授は、「インバウンドが増加し、外国人労働者の受け入れも拡大し、コロナ禍もあったなかで、突然外国人が増えたという感覚になっている方が多いのではないでしょうか。一方で、一般市民の生活はこの2、3年厳しくなっています。ギャップを感じられる方もいるのかもしれません」と指摘しました。

橋本准教授は、欧米諸国では選挙の際、外国人に関する誤情報や一部を誇張した主張を広めることはこれまでも見られてきたとしたうえで、今回の参議院選挙は、日本でも初めて同様の動きが見られているのではないかとしています。

橋本准教授
「内政に問題があるときに、外国人や他国といった外的要因が悪いとすることで中の結束を強めようとする傾向は以前からあることですが、必ずしも事実に基づかない過激な発言をして、『あなたたちの生活が苦しいのは外国人のせいだ』とか『追い出せば生活が良くなる』というニュアンスの発言をする政治家が増えている」

「日本は少子高齢化で人手不足ですから、一定程度の日本の経済社会、社会保障、産業を維持するのであれば、一定程度の外国人労働者、外国人住民の方を受け入れるのは不可避です。いまはどれだけ外国人に厳しい政策を出すかを競争するような傾向が見られていますが、極端な言説に引っ張られ、歪んだ形で政策ができてしまうことが本当に良いことなのかというのは大きな疑問です」

NGOが緊急声明「外国ルーツの人たちが…」
こうしたなかで、7月8日、外国人の人権保護に関わる複数のNGOは、「参議院選挙にあたり排外主義の扇動に反対するNGO緊急共同声明」と題する声明を出しました。

記者会見した、外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士は「今回の選挙は本当に多くの選挙演説の場で外国人に対するヘイトや排外主義があおられていて、外国ルーツの人たちが恐ろしい思いをしている」と述べました。

そのうえで、いま広がる主張について強く否定しました。

師岡弁護士
「外国人が優遇されているというのは全く根拠のないデマです。医療、年金、国民健康保険、奨学金制度などで外国人が優遇されているという主張は事実ではありません」

「また、物価が高くなり、賃金が上がらず生活に困っているのは外国人のせいではありません。これまでの政府の政策が原因です。外国人を攻撃して排除しても、私たちの生活が良くなるわけではないのに、外国人がそのような不満のスケープゴートとされてしまっています」

懸念の声は、各地からも。

東京都の小池百合子知事は7月11日、記者会見で「ヘイトスピーチの問題や、これが競い合って排他主義につながることは非常に危険だと思っています。どのような形で共生できるのか、議論してほしい」などと述べました。

また、島根県の丸山達也知事も7月15日の会見で「(選挙期間に広がる)外国人排除という主張については憂慮している。『外国人』として排除を認める社会は、外国人以外の社会的弱者への差別や排除を許すことにもつながりかねない」と述べました。

広がる情報 どうすれば
外国人に関して広がる情報を、どう受け止めればいいのか。専門家に聞きました。

是川国際関係部長「犯罪ひとつをとってみても、(データを見る)集団の規模が小さくなれば、数字がはね上がることもありますが、ふだん、○○市の○○町会の人の犯罪率が高いとは言いませんよね。それが『○○人』と書くと、急にすとんとはまって、全てのことがそれに起因するように思えてしまう。こうした認知のクセに意識的になることが大事ではないでしょうか」

鈴木准主任研究員「SNSでは面白くて、メッセージとして単純に受けられるものが拡散されやすい特徴があります。エンターテインメントであれば良いですが、私たちの日常や生活に関係するようなことについては、少し慎重に見る必要があるのではないでしょうか。SNSで言っていることが本当に全体のことを言ってるのか、一部を抜き出していっているのか、多角的に考えることも重要だと思っています」

橋本准教授「SNSでは、自分がいいねしたものに近い言説ばかりが流れてくるようになり、違う意見や見方に触れる機会が少なくなってしまう。誰が、どの出典、どの公的なデータに基づいて言っているか、まず最初に確認していただきたいです。また、1つのケースが全てを代表するわけではないということ。一度基本に立ち返っていただくことが大切と思います」

(機動展開プロジェクト・籏智広太、大阪局ディレクター・清水綾乃、山岸聖也)
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