goo blog サービス終了のお知らせ 

公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

1人に1台 AIロボット

2025-04-20 02:05:00 | 政治経済問題
“1人に1台 AIロボット” 開発最前線 NHK 2025年4月19日 17時02分

家に帰ったら人型ロボットがいて、家事を済ませておいてくれる。料理をしたり、洗濯物をたたんだり、掃除をしたり、手つきは人間そのもの…。

そんな未来を予感させる技術革新が、ロボット開発の現場で起き始めている。

鍵を握るのは、人間の動きをAIに“教え込む”こと。開発の現場を取材した。

(科学・文化部記者 加川直央)

洗濯物をたためるロボット
2024年10月、1本の動画がロボット業界に衝撃を与えた。
アメリカのベンチャー企業が開発した2本の腕を備えたロボット。

乾燥機の扉を開いて洗濯物を取り出し、机の上に運ぶ。そして、ズボンやTシャツなど服の種類に応じて器用にたたんでいる。
さらにボウルに入った卵を割れないようにそっとつかみ、パックに詰めていく。

いずれも私たち人間には難しくない作業だが、従来のロボットでは実現が難しいとされていた動きだ。

服をたたむ時のことを想像してほしい。布の形状がどのように変化するかは完全には予測できないため、その都度、臨機応変な対応が必要になる。

また卵を割らずにつかむには、指先の微妙な力加減が必要になる。これらを人間がプログラミングしたロボットで実現するのは極めて困難だった。
発想の転換 プログラミングからAIへ
その壁がいま、乗り越えられようとしている。

なぜなら生成AIの元となっている「ディープラーニング」と呼ばれる技術が、ロボット開発の発想を根本から転換させたからだ。

従来のロボット開発は、人間があらかじめプログラミングした通りにロボットを動かすという発想で行われてきた。

しかし「ディープラーニング」の登場によって、人間の動きをAIに“教え込む”ことで、自動的に動く「AIロボット」を開発しようと考える人たちが出てきた。

そしていま、まるで人間のような臨機応変で複雑な動きを作り出すことができるロボットが次々と発表されているのだ。
人間の動きを“教え込む”
では、人間の動きを“教え込む”とは、いったいどういうことなのか。「AIロボット」を開発している産業技術総合研究所を訪ねた。

研究室に入ると、ロボットアームが取り付けられた装置がずらりと8台並ぶ。

「ALOHA(アロハ)」と呼ばれるこちらのロボット。
人間がロボットアームを操作した際の動作データを取得するために、アメリカの研究者たちが開発した。

アームの手前にあるコントローラーを人間が操作すると、その動きに連動してロボットアームが動く。
先端にはものをつかむことができるはさみのような機構が備わっていて、人間がコントローラーを握ることで開閉する。

このロボットアームを使って、台の上に置いたものをつかんだり、移動させたりする作業を何度も繰り返し、その時の動作データを集めていく。

またアームの先端などにはカメラがついていて、映像としても動作を記録している。
取材の日は、オペレーターがロボットアームを操作して、タオルをたたむ作業を繰り返し行っていた。
元田智大研究員
「タオルはどこにあり、どこをつかめばいいのかなど、何回も繰り返して学んでいく必要があり、100回くらいはデータを集めないと自動化を実現することができない」
タオルをたたむ過程でロボットアームの1つ1つの関節がどのように動いたのか。タオルの形状や厚さがどのように変化したのか。

こうした動作データを蓄積していくことで、「タオルをたたむ」という行為がどういうものかをAIが学習し、自動でたためるようになっていくという。

さらにこの研究所では、同じ手法で「小さな工具をつかむ」「ひもを結ぶ」といった100種類を超える作業をロボットアームに学習させ、より汎用性の高いロボットの開発を目指している。
元田智大研究員
「いま生成AIに言葉を投げかけるとなんでも答えを返してくれるが、理想としては何か命令をすると、理想の動作や作業を自動でやってくれるロボットを開発したい。そうすると誰もがロボットを使えるようになるし、ちょっと人手が足りない時に役立ってくれる。どうしても人間にしか出来なかった繊細な作業も、ロボットが自分で考えて処理してくれる。そういうロボットを作ることがわれわれの使命だと思っている」
米中で開発競争激化 日本は?
こうした「AIロボット」のためのデータを収集する動きは世界的に進んでいる。

特にアメリカと中国では多額の予算と時間をかけて開発が行われ、競争が激化している。
アメリカ企業の採用ページ
「私たちのミッションでデータ収集は鍵であり、ロボットのオペレーターはミッションの実現に不可欠な存在だ」
こちらは記事の冒頭で紹介した洗濯物をたたむロボットを開発するアメリカ企業の採用ページ。

24時間、3交代制でデータを収集するため、オペレーターを募集している。

一方、中国の上海ではさまざまな環境で人型ロボットを動かし、データを集めるための専用の施設が設立されている。

現在100台以上のロボットが学習データを取得するために稼働。2027年までに1000台のロボットを同時に稼働させることを目指すとしている。
3月27日
こうしたなか日本でも2025年3月、一般社団法人「AIロボット協会」の設立が発表された。

大手の自動車メーカーや電機メーカーが会員として参画し、ロボットの動作データを収集し共有していくという。

理事長に就任した早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授は、協会設立の意義をこう強調した。
早稲田大学理工学術院 尾形哲也教授
「アメリカや中国では開発競争が盛んで素晴らしい研究成果が出ているが、ロボットの作り方や学習データはオープンになっていない。一方で日本はロボット開発の経験が豊富で重要なデータを集められる可能性がある。データをみんなで共有する仕組みを作り、容易にロボット業界に参入できるような土台を築きたい。これまで夢見ていたが実現できないとされていた汎用的なロボットを実現しようという取り組みだ」
協会では今後も国内外を問わず会員企業を増やす方針で、5年後の2030年までにAIロボットの社会実装を目指すという。
ロボットは“ヒューマノイド”に
これまで実用化されてきたロボットの多くは、特定の作業を行うため、その機能に特化した形状をしている。

一方、尾形教授によると「AIロボット」の登場が人型のロボット“ヒューマノイド”の開発を大きく進展させるという。
尾形教授
「人がロボットを操作して学習させるときに、人と近い格好の方が直感的に操縦できて教えやすいというのが理由の1つだ。もう1つは私たちの身の回りは人間に向けて準備された環境なので、人間と同じ作業ができるロボットなら、できるだけ人に近い体の方が作業しやすい」
1973年に世界初の人型ロボット「WABOT-1」を開発した早稲田大学。

その一角にある尾形研究室には、キッチンや浴室、寝室などの生活空間が広がっている。

ここで進められているのが、尾形教授らが開発した「AIREC(アイレック)」と呼ばれるヒューマノイドの研究だ。
顔の目にあたる部分にはカメラを搭載。

やわらかいシリコン素材で出来た手のひらには触覚センサーが備わっている。

尾形教授はこのロボットを人手不足が指摘される介護の現場で役立てたいという。
例えばベッドで寝ている人間の起き上がりを支援するこちらの動作。

人形の膝を片手で支え、もう片方の手はベッドの表面をなぞるように人形の背中にすべりこませ、ゆっくりと上体を起こしている。
この動きは人間の腕の関節や手首にセンサーをつけて実際に上体を起こす作業を実演する「モーションキャプチャー」という技術を使って学習させた。
靴下をはかせる
また腰痛などで前かがみになるのがつらい人などに、靴下をはかせることもできる。

こうしたロボットが直接人間の体に触れる作業は高い安全性が求められるため、より繊細で精密な動作データが必要になる。

尾形教授によると、家事や介護などの作業は非常に複雑で、まさに“経験”がものをいう分野だという。
尾形教授
「例えば料理でスクランブルエッグを作るときに、卵をかき混ぜているうちにだんだん卵の特性が変わってしまう。それは言葉では説明しきれないけれども、経験から学習することができる。そして経験から学習できることは非常にAI向きだといえる。きつい仕事を一部でもAIロボットが助けてあげられるようになると、人間の気持ちに余裕が出て、より人と人との繋がりが持てるようになるのではないか」
尾形教授は、科学技術の挑戦的な課題に取り組む「ムーンショット型研究開発制度」という国のプロジェクトの一環として、2050年までに1人1台の人型ロボットと共生する時代を目指して研究を進めている。
尾形教授
「まずは福祉施設やホテルなどの公共の場に導入されるイメージを考えている。データでロボットを動かすという考え方は新しく、今はまだみんながやり始めた段階に近いが、最初に産業用のロボットが広まった日本はロボットの経験値が非常に高い。そうした経験を新しいロボットの動かし方と組み合わせることに期待したいと思っている」
(4月20日 「おはよう日本」放送予定)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2025年4/19のニュース | トップ | 20万件の意見 96%が「コピペ... »
最新の画像もっと見る

政治経済問題」カテゴリの最新記事