公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

統一教会に対する岸田文雄の本気度はどの程度なのか 「調査」でシロならお墨付き与える恐れも

2022-10-18 11:41:49 | 安倍晋三関連事件(森友・加計・桜・統一教会)
永岡文科相





 岸田文雄首相は17日、永岡桂子文部科学相に対し、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく「調査」を指示した。調査結果によっては、同教団の法人解散命令請求を裁判所に出すことにつながる。岸田氏は「解散」に慎重な立場だっただけに一見、前向き対応に転換したかのようにも見えるが、その本気度は疑わしい。調査には同法上の制約が多く、十分な調査ができるかは不明。仮に「シロ」となればかえって同教団に「お墨付き」を与える恐れもある。(特別報道部・大杉はるか、岸本拓也)

◆「私が責任をもって問題解決」
 岸田首相は17日朝、衆院予算委を前に、官邸に関係閣僚を集めて世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について協議した。永岡桂子文部科学相に、宗教法人法に基づく質問権の行使について検討するよう指示。永岡氏は「すぐに始めたい」と語った。
 続く予算委で岸田氏は、旧統一教会について「2016年、17年に法人自体の組織的な不法行為を認めた民事裁判例が見られる」などと指摘し、「宗教法人法にもとづき質問権行使に向けた手続きを進める必要があり、文科相に速やかに着手させる」と述べた。「旧統一教会と関係を持たない私が責任をもって問題解決していきたい」と、「私が」の部分を強調し、前向きに取り組む姿勢も示した。
 このタイミングで質問権行使の検討を打ち出した背景について、与党関係者は「予算委での野党の追及に備える必要があった。前例のないことで、首相は相当踏み込んだ」と解説する。同日には、河野太郎消費者担当相が設置した消費者庁の有識者検討会も「解散命令請求も視野に入れ、質問権を行使する必要がある」との報告書をまとめており、連携ぶりがうかがえる。
◆解散命令には一貫して慎重
 ただ、岸田首相はこの間、解散命令請求の検討自体には一貫して慎重な態度だった。6日の参院本会議では「法人格の剥奪はくだつという極めて重い対応だ。慎重に判断する必要がある」と答弁。14日に閣議決定した答弁書では「(解散命令に)該当する疑いがあると認めるときは質問権を行使すべきもの」と言及する一方で、「憲法の定める信教の自由の趣旨を踏まえれば、所轄庁の関与は抑制的であるべきで、請求は十分慎重に判断すべきである」との見解を示していた。
 今回の「首相指示」は、首相が一転して、解散命令請求に向けても、前進させようとしていることを意味するのか。実際はそうでもなさそうだ。
 自民党のある衆院議員は「もともと文化庁も伝家の宝刀のままでいいのか、何かしないといけないと思っていた。首相側も支持率対策が必要だったから、有識者検討会の報告書はきっかけになった。ただ実際に質問権行使までいくかどうかも分からないし、ましてや解散命令請求なんて考えられないのでは」と語る。「結論次第では世論の反発もありうる。だから結論の期限なんて設けない」と明かす。どうやら、世論の関心が薄れるまでの時間稼ぎの可能性が濃厚だ。
 閣僚経験者は「憲法で保障された信教の自由を守ることが大事で、解散命令請求ありきの質問権行使ではない」と強調。「支持率回復のために解散命令請求なんて考えていたら、大問題だよ」とけん制する。同党のベテラン秘書は「前進した感じがするけど、これで本当に解散命令請求につながると思っている与党議員は誰もいないのでは。審議会が解散命令請求に該当するとの理屈を考えてくれれば違うかもしれないが、もし請求という段階になれば、党内には反対論も当然出てくる」との見方を示した。

◆「調査」で何ができる?限界は?
 では、宗教法人法に基づく「調査」では一体何ができるのか。
 同法は1996年の改正で、宗教法人が法律に違反するなど、解散命令等に該当する疑いが出た場合、法人幹部や関係者に業務や管理運営について報告を求めたり、質問したりできる規定ができた。
 しかし、これまでに一度もこの権限が行使されたことはない。旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は「政府は信教の自由などを理由に解散命令請求や質問権の行使に慎重な姿勢に終始していたが、踏み込んだ対応だ」と話す。
 ただ、質問権行使は初となるだけに、文化庁の進め方は慎重だ。まずは25日に専門家を集めた会議を開き、どういう場合に質問権を行使できるのか、基準づくりを始める。基準案が固まったら、法律家や宗教団体関係者らでつくる国の宗教法人審議会で、基準案や、教団側への質問項目について意見を聞いて、ようやく具体的な調査に入る。
◆いつまで?「断定的に申し上げられない」
調査はいつ終わるのか。岸田首相は17日の国会で「少なくとも年内には(質問の)権限の行使はしたいが、いつまでに、とは断定的に申し上げられない」と明言しなかった。
 調査には限界が多い。施設の立ち入り調査をするには宗教法人側の同意が必要となり、強制力が働かない仕組みとなっている。宗教法人側が質問を拒否したり、うそをついたりしても、科されるのは10万円以下の過料にすぎない。
 文化庁の調査能力という点でも懸念が残る。実務を担う宗務課の本年度の定員は8人、予算はわずか4700万円だ。体制としては心もとない。
 しかも宗務課の調査・判断能力についてはすでに裁判所から疑問符が付けられている。2014年に鳥取地裁米子支部は、教団を巡る訴訟の和解調書に「従前の宗務行政の適法性・妥当性に疑問の余地がないわけではない」と国の対応を批判する文言を記した。その後、国が猛反発してこの部分は削除されたが、宗務課自身がこの訴訟の中で「宗教法人法上、宗務課は統一教会の行う伝道活動、霊感商法、献金献身の強要の実態について調査を行うことは困難」と自らの限界を吐露している。
◆調査している間に被害は拡大
 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)などは、調査能力に乏しい文化庁の判断を待つのではなく、すでに積み上がった数多くの判例などを基に実態把握をすれば、すぐに解散命令請求を出せるはず、という立場で、再三にわたって文化庁に申し入れてきた。
 いまさら調査を一から始めるとかえって手続きに時間がかかる。全国弁連は17日、「その間に被害が拡大する懸念も否定できない」との声明を出した。
 消費者庁に設けられた霊感商法などの対策検討会の委員で弁護士の菅野志桜里氏は「すでに弁護団やジャーナリストらが積み上げた教団の組織的な法令違反行為を裏付ける裁判資料や内部証言はあまたある。これを活用すれば、解散命令請求まで1年も2年もかかる事案ではない。宗務課の体制を強化し、民間の資料を生かして事実の分析をきちんと進めるのかどうかが、岸田政権の本気度を測る試金石となる」と指摘する。
 一方、上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は質問権の行使が、必ずしも解散命令請求に結び付かない点に懸念を示しつつ、こう語る。
 「質問権の行使は解散命令請求に進む唯一の道ではない。民事・刑事の違法事案の蓄積などから解散命令請求の要件が整うならば、遠回りせずスピード感をもって請求すべきだ。初の質問権行使の手続きや準備にもたつき、質問や調査が不首尾に終われば、かえって教団にお墨付きを与えることになりかねない。この点を非常に危惧している」
◆デスクメモ
 衆院「解散」といえば首相の伝家の宝刀だが、今や旧統一教会の「解散」も、それに匹敵する重大な政治決断を伴う。初の質問権行使はその前段かと思ったら、自民党議員の声を聞くとどうにも心もとない。もし、単なる時間稼ぎなら、世論に岸田内閣の「解散」を求められるだろう。(歩)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「信教の自由」や「判例」に... | トップ | 2022年10/18 商品先物価格情... »
最新の画像もっと見る

安倍晋三関連事件(森友・加計・桜・統一教会)」カテゴリの最新記事