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教えて!ヨミドック 2024年10月7日 医療・健康・介護のニュース・解説 コレステロールは気になるけれど、卵は1日1個までと言われなくなった…何個食べても大丈夫なの?
Q 卵料理が大好き。昼食はオムライスにしようかな。
ヨミドック いいですね。でも食べ過ぎに気をつけて。
Q どうして?
ヨ 卵は体に必要なたんぱく質や必須アミノ酸が豊富な優れた食材です。ただ、卵黄にはコレステロールも多いのです。日本人が食事から取る1日のコレステロール量は男性で平均375ミリ・グラム、女性で323ミリ・グラムで、うち半分は卵由来とされています。
Q でも、卵は1日1個までと言われなくなったよね。
ヨ コレステロールは細胞膜を作るなど、生命維持に不可欠な成分でもあり、必要な量の8割は、実は肝臓など体内で作られます。食事でコレステロールを取り、血液中のコレステロール濃度が一時的に上昇すると、体は肝臓での合成を減らし、血中濃度を一定に保ちます。
このため、食事による摂取量に一律の目標を設定するのは難しく、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、2015年の改訂版から上限値は明記されていません。
コレステロールは気になるけれど、卵は1日1個までと言われなくなった…何個食べても大丈夫なの?
Q それはありがたい。
ヨ しかし摂取量の上限がないという意味ではありません。健康な人には設けないが、脂質異常症と、そのリスクが高い人は制限した方が良いと明示されています。日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、摂取量を1日200ミリ・グラム未満としています。
Q ふわふわのオムライスは卵1個じゃ作れないよ。
ヨ 今日オムライスを食べたら翌日控えるなど、1週間単位で考えるのも一法です。なお、血中コレステロールは、動物由来の脂に含まれる飽和脂肪酸や、ショートニングなどに多いトランス脂肪酸でも上昇します。まずは揚げ物や生クリームたっぷりのケーキを控えてはどうでしょう。
Q 卵は良質なたんぱく源だものね。
ヨ 生活習慣病が気になる中年期は、たしかに脂質の取り方に注意してほしいのですが、育ち盛りの子どもや、フレイルが心配な高齢者にとって、たんぱく質は重要です。
健康のためと、同じものばかり食べたり、極端に避けたりする偏った食事は勧められません。チーズや魚卵、小魚、レバーもコレステロールが多い食材ですが、必要な栄養素も含まれています。バランスの良い食事を心がけましょう。(東礼奈/取材協力=吉田博・東京慈恵会医科大柏病院長、片桐諒子・千葉大教授)