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天皇賞(春)2023回顧

2023-05-01 08:26:45 | 大レース回顧集





約2年5カ月の整備工事を終え、センテニアル・パークとして生まれ変わった京都で最初のG1「第167回天皇賞・春」が30日、17頭で争われた。クリストフ・ルメール(43)騎乗のジャスティンパレスが差し切り、6度目のG1挑戦で初制覇。鞍上は19&20年フィエールマンの連覇以来、天皇賞・春3勝目。ディープインパクト産駒は11年から13年連続のJRA・G1Vを決めた。なお、1番人気タイトルホルダーは2周目の3コーナー付近で失速、競走中止となった。
 生まれ変わった京都に4万5580人のファンが駆けつけた。記念すべき最初のG1を制したのは淀が似合うディープインパクト産駒。ジャスティンパレスが初のG1タイトルを手に入れた。予想通り、序盤は先陣争いが激しくなった。中団で完璧に折り合う。最内枠ながら、向正面では外めへ誘導。スムーズに運ぶ。2周目の3コーナーで先頭を走るタイトルホルダーが馬群に沈む。場内がどよめく。波乱が起きた名物3コーナーの坂越えで、Vシナリオは書き上がっていた。直線は外から颯爽(さっそう)と、末脚を繰り出して差し切った。天皇賞・春3勝目となったルメールが興奮気味に口を開く。

 「競馬はショー。アトモスフィア(雰囲気)が必要ですね。新しい京都にたくさんのお客さんが来てくれた。ファンファーレの時に声が聞こえた。それが気持ち良かった。馬自体は凄くリラックスして走っていました。長い距離のレースは冷静さが必要。うまく外に出せたし(2周目の)3、4コーナーでは勝つ自信がありました。直線はずっとエンジョイしました」と語った。

 ヒーローインタビューでは「新しい京都競馬場、どうです?」とファンに問いかけるシーン。場内から拍手が聞かれると「僕にとっても凄くいいです!」と笑顔がはじけた。新生京都に歴史を刻んだジャスティンパレスは夏と冬の放牧を踏んで、確実に成長を遂げた。前走の阪神大賞典はプラス16キロと馬体重が増えた。パワーアップを感じて、前哨戦をV。血統背景からも長丁場が向く。そんな杉山晴師の見立てもはまった。

 「素晴らしいスタートを切ってくれましたね。折り合いもついていたので、安心して見ていました。終始、手応えは抜群でした。京都は調教助手の時に稽古をつけていたスリーロールスで菊花賞(09年)を勝たせてもらい、調教師としてデアリングタクトで3冠(20年)を達成できた場所。デアリングタクト以来のG1を、新しい京都で勝ててうれしいです」

 ディープインパクト産駒は父サンデーサイレンス産駒に並ぶJRA・G171勝目となった。同産駒は現3歳がラストクロップ。キタサンブラック産駒が隆盛を見せる中、まばゆい存在感をアピールする。今後は未定ながら、まだまだ明るい未来が詰まっている。日本近代競馬の結晶とも謳(うた)われた父を追ってスター街道を突き進んでいく。

 ジャスティンパレス 父ディープインパクト、母パレスルーマー(母の父ロイヤルアンセム)19年4月12日生まれ 牡4歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・三木正浩氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績10戦5勝(重賞3勝目)総獲得賞金4億3466万6000円 馬名は冠名+母名の一部。






◆第167回天皇賞・春・G1(4月30日、京都・芝3200メートル、稍重)

 3年ぶりの京都開催となった伝統の一戦は17頭立てで争われ、2番人気のジャスティンパレス(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎、父ディープインパクト)が、最後の直線で抜け出し、2馬身半差で快勝。G1・6度目の挑戦でG1初制覇を達成した。クリストフ・ルメール騎手は2019、20年のフィエールマンでの連覇以来の天皇賞・春3勝目。ディープインパクト産駒は21年ワールドプレミア以来の4勝目となった。勝ち時計は、3分16秒1。

 5番人気のディープボンド(和田竜二騎手)が3年連続となる2着に続き、6番人気のシルヴァーソニック(ダミアン・レーン騎手)が差し脚を伸ばして3着に浮上した。

1番人気のタイトルホルダー(横山和生騎手)は2周目の4コーナーで馬群に沈んで、競走中止となった。

クリストフ・ルメール騎手(ジャスティンパレス=1着)「すごくうれしいです。お客さんが多いですし、新しい京都で最初の天皇賞。勝つことができて、本当にうれしい。(レースは)ずっと冷静に走ってくれて、ディープボンドの後ろでポジションを上げて、直線はすごくエンジョイしました。長距離でスーパーホースになりましたので、今後はどのレースでも、有馬記念の2500メートルでもいけると思います」



関連記事:2023年4/30 京都・第167回 天皇賞(春)(GI)


アンカツ(安藤勝己)






2023年4月30日(日曜) 1回京都4日 発走時刻:15時40分天候 曇芝 稍重11レースウインファイヴ 5レース目第167回天皇賞(春)GⅠ4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 コース:3,200メートル(芝・右 外)
本賞金(万円)1着22,000 2着8,800 3着5,500 4着3,300 5着2,200
付加賞(万円)1着357 2着102 3着51


1 枠1白 1 ジャスティンパレス 牡4 58.0 C.ルメール 3:16.1 8 7 7 4 34.9 472(0) 杉山 晴紀 2
2 枠4青 7 ディープボンド 牡6 58.0 和田 竜二 3:16.5 2 1/2 5 4 3 2 35.6 504(-10) 大久保 龍志 5
3 枠8桃 16 シルヴァーソニック 牡7 58.0 D.レーン 3:16.7 1 13 12 11 9 35.1 462(前計不) 池江 泰寿 6
4 枠6緑 12 ブレークアップ 牡5 58.0 松山 弘平 3:16.9 1 1/4 9 9 9 6 35.5 496(+2) 吉岡 辰弥 7
5 枠7橙 14 マテンロウレオ 牡4 58.0 横山 典弘 3:17.0 クビ 9 8 5 4 35.9 474(-2) 昆 貢 8
6 枠7橙 13 ボルドグフーシュ 牡4 58.0 川田 将雅 3:17.3 2 11 10 9 6 35.9 500(0) 宮本 博 3
7 枠8桃 15 エンドロール 牡4 58.0 永野 猛蔵 3:17.4 3/4 16 16 16 13 35.4 462(-4) 青木 孝文 12
8 枠5黄 10 サンレイポケット 牡8 58.0 M.デムーロ 3:17.5 1/2 17 17 13 11 35.6 480(+2) 高橋 義忠 15
9 枠6緑 11ディアスティマ ブリンカー着用 牡6 58.0 北村 友一 3:17.5 ハナ 5 6 8 10 35.9 496(+4) 高野 友和 11
10 枠5黄 9 ヒュミドール せん7 58.0 武 豊 3:17.6 3/4 12 10 11 13 35.9 468(0) 小手川 準 10
11 枠3赤 6 アスクビクターモア 牡4 58.0 横山 武史 3:18.0 2 1/2 2 3 5 6 36.7 482(0) 田村 康仁 4
12 枠2黒 4 メロディーレーン 牝7 56.0 幸 英明 3:18.0 クビ 13 14 13 11 36.3 354(-4) 森田 直行 14
13 枠3赤 5 アイアンバローズ 牡6 58.0 坂井 瑠星 3:18.3 1 1/2 2 2 1 1 37.5 508(-4) 上村 洋行 16
14 枠1白 2 ディープモンスター 牡5 58.0 浜中 俊 3:18.9 3 1/2 4 4 3 3 38.0 462(+2) 池江 泰寿 9
15 枠4青 8 トーセンカンビーナ 牡7 58.0 岩田 望来 3:26.7 大差 15 15 13 15 44.8 478(-8) 加藤 征弘 17
中止 枠2黒 3 タイトルホルダー 牡5 58.0 横山 和生 1 1 2 16 474(-4) 栗田 徹 1
中止 枠8桃 17アフリカンゴールド ブリンカー着用 せん8 58.0 国分 恭介 7 12 468(0) 西園 正都 13


ハロンタイム 12.3 - 10.8 - 11.9 - 12.1 - 12.6 - 12.0 - 12.0 - 12.6 - 12.8 - 12.9 - 13.3 - 13.2 - 12.3 - 11.9 - 11.5 - 11.9
上り 4F 47.6 - 3F 35.3
コーナー通過順位
1コーナー 3(6,5)2(11,7)17,1(14,12)13,9(4,16)-8-15-10
2コーナー 3,5,6(2,7)11,1-14,12(9,13)(17,16)4,8,15-10
3コーナー(2周目) (3,*5)(2,7)(6,14)1,11(12,13)(9,16)(8,4,10)-15
4コーナー(2周目) (*5,7)2(14,1)(6,12,13)16,11(4,10)(9,15)-8-3
払戻金
単勝
1 430円 2番人気
複勝
1 160円 2番人気
7 370円 5番人気
16 400円 6番人気
枠連
1-4 3,610円 12番人気
ワイド
1-7 1,040円 10番人気
1-16 1,000円 9番人気
7-16 3,110円 22番人気
馬連
1-7 4,000円 11番人気
馬単
1-7 5,990円 17番人気
3連複
1-7-16 13,570円 33番人気
3連単
1-7-16 65,060円 150番人気


・1 ジャスティンパレス・・・道中は中団につけ、2周目の3~4角あたりから漸進。直線でスパートをかけると、後続を一気に突き放し、ディープボンドに2馬身半の差をつけ圧勝。初のGI制覇とあいまった。

新馬、黄菊賞と連勝し、ホープフルSでも2着。この流れからいって、クラシックの有力候補の一頭と見られたが、皐月賞、日本ダービーでは着順掲示板にすら載れなかった。しかし、秋初戦の神戸新聞杯で覚醒し初の重賞勝ち。続く菊花賞でも、アスクビクターモア、ボルドグフーシュと大接戦を演じて3着に入った。有馬記念7着のあと、今年は阪神大賞典から始動。人気を集めたボルドグフーシュを突き放し2度目の重賞勝ちを収めた。

デビュー時から2000m以上の距離しか経験していないが、流れを見て、一瞬の脚を使って相手を仕留める走法はまさしく、典型的なステイヤータイプ。今回は、タイトルホルダーとアフリカンゴールドが、3200mとは思えない、初手から押して押しての先行争いを演じたことで、何と2頭とも「パンク」。こういう「荒れた競走」になると、流れを見て競馬ができる当馬のおあつらえ向きの展開になる。

今後の動向が気になるが、海外の競走に色気が出るかもしれない。とりわけ、日本の2400mとは似て非なる、凱旋門賞は、3200mの天皇賞と展開自体は似ているし、面白い選択肢かもしれない。

・7 ディープボンド・・・いつも通り、前々での競馬。4角で先頭をうかがった時点では、悲願の盾&GI制覇か、と思われたが、直線で一気にスパートをかけたジャスティンパレスの脚色にはかなわず、3年連続の「準優勝」に終わった。それでも、長距離は本当によく走る。GIを手中にできれば、「ステイヤー」の称号を得られる一頭。

・16 シルヴァーソニック・・・直線で見せた豪快な追い込みは、レッドシーターフHを勝った余勢を感じさせるものだった。この馬も長距離はよく走る。

・12 ブレークアップ・・・前年のアルゼンチン共和国杯で初重賞勝ち。前走の阪神大賞典では3着に入るなど、着実に力をつけての出走。上位陣とは決め手に差があるが、今後が楽しみな一頭。

・14 マテンロウレオ・・・京都記念2着、大阪杯4着と、近走好調で挑んだ今回。3~4角からの追い上げはよかった。あとは地力をつけるのみ。

・3 タイトルホルダー・・・1.7倍の圧倒的支持を得て、史上6頭目の春の天皇賞連覇に挑んだ。しかし、初手からおっつけてハナを奪いに行ったのは明らかに無謀。競りにいったアフリカンゴールドを先に行かせて、自らは番手で折り合ったことから、これで落ち着いたかと思われたが、先に向正面で大きく遅れ始めたアフリカンゴールドの「後追い」と言わんばかりに、3角付近で手ごたえが怪しくなり、4角手前で隊列から大きく離脱。4角付近で下馬というまさかの事態となってしまった。幸い、馬の生命に異常はなさそう、とのことだが、気性的な面で何か異常があったのだろうか?検査の結果の報を待ちたい。
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