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南海トラフ地震臨時情報の対応なんてできるのか?:「対応をあらかじめ統一すべきだ」の問いに対し「アンケートの結果も見ながら議論せざるをえないと思う」との答えが精いっぱい

2024-09-10 13:25:05 | 安倍、菅、岸田、石破の関連記事
名古屋大学の福和伸夫名誉教授


自治体から “統一的な対応指針策定” “財政支援”の提言 NHK 2024年9月9日 23時17分

8月、初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」への対応について、自治体や企業、専門家から意見を聞くための会議が開かれ、自治体の代表からは、ライフライン企業や交通機関などを対象にした統一的な対応指針の策定や、避難所を開設した場合の財政支援への提言が出されました。

9日は、専門家や自治体の代表などで作る南海トラフ地震対策の国の作業部会が開かれ、8月8日に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」の対応について、意見が交わされました。

会議は非公開で行われましたが、事務局を務める内閣府によりますと、委員でもある高知県の浜田知事が、東海、近畿、四国、九州のうち、防災対策の推進地域が含まれる10県からの提言を報告したということです。

この中では、情報の意味の丁寧な周知に加え、複数の県にまたがる事業者もあることから、ライフライン企業や交通機関など、業種ごとに対応の指針を策定することを国に求めるとともに、自治体が避難所を開いたり運営したりする際の財政支援を受けられるよう、災害救助法の適用対象とすることが必要だとしています。

内閣府は、防災対策の推進地域にあたる29都府県と707市町村や事業者を対象にアンケート調査を実施し、防災計画の策定状況や受け止めについて調べ、必要な改善を進めるとしています。

アンケートのとりまとめは年内を目指すということで、内閣府の担当者は「アンケート結果を踏まえて作業部会で議論し、必要があればガイドラインに変更を反映していく」としています。

「対応あらかじめ統一すべき」の声も 専門家 “悩ましい”
南海トラフ地震対策の国の作業部会でとりまとめ役の「主査」を務める、名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、今回の一連の対応について「臨時情報についてほとんど周知がない中での情報発信だったので、社会はある程度うろたえた」と指摘したうえで、出席者から「対応をあらかじめ統一すべきだ」という声が複数出たと明らかにしました。

こうした意見について福和名誉教授は、「例えば、海水浴場を開けるべきか閉めるべきかは、ハザードの大きさなどによって対応のあり方が異なるものだ。これを行動指針として定めたり、『国に言われたから』となったりするのは望ましい方向ではないようにも思えて悩ましい。アンケートの結果も見ながら議論せざるをえないと思う」と述べました。


専門家「日頃からの地震の備え再確認」のメッセージ伝わらず
南海トラフ地震対策の国の作業部会の委員を務める災害情報の専門家は、アンケートの結果などから「日頃からの地震の備えを再確認する」というメッセージが伝わらなかったのが最大の問題だったとしたうえで、国は伝え方の改善に取り組むとともに自治体や事業者の側もあらかじめ対応を決めておくべきだと指摘しています。

アンケート “情報を見聞きしたが特に行動取らず”という人も
東京大学大学院 関谷直也教授の研究チームは「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された翌日の先月9日から11日にかけてインターネット上でアンケートを行いました。

9000人余りの全体の回答のうち、推進地域に指定されている市町村に住む4400人余りの回答を分析したところ発表前から「南海トラフ臨時情報」を知っていたかについては
▽「知らなかった」が最も多く53.2%
▽「見聞きしたことがあった」は37%
▽「具体的に知っていた」は9.8%にとどまりました。

情報を受けてどのような行動を取ったか複数回答で尋ねたところ
▽「水や食料などの備蓄を確認した」が21.3%
▽「家族との連絡方法を確認した」が9.8%
▽「家具の転倒防止を確認した」が8.6%
▽「避難生活を送るための避難所を確認した」が6.3%などと
国が呼びかけた防災行動を取った人は限られていたことが分かりました。

情報を見聞きしても「特に何も行動は取らなかった」と答えた人は20.2%に上りました。

また、この情報は地震を予知するものではありませんが、自分の住む地域で「大きな地震が起こる」と思った人が32.8%、「大きくはないが」地震が起こると思った人が43.6%と、7割以上の人が今回の情報を見聞きして「地震が起きる」と考えたことも分かりました。

専門家「情報は出ることが分かっているので事前議論や準備必要」
呼びかけた行動につながらなかったことなどを踏まえて、関谷教授は「『日頃からの地震への備えを再確認する』というメッセージが伝わらなかったことが最大の問題だと思う。『日常生活を行いつつ日頃からの地震への備えを再確認する』というのか、『日頃からの地震への備えを再確認する』と言いながら『日常生活を行ってください』というのか、その順番や微妙なニュアンスで人によって受け取る印象も変わる。行政や自治体の首長がパニックを恐れてどうすればよいか分からず混乱してしまった状況も見られた」と指摘しました。

そのうえで、「政府はガイドラインで多くの自治体や企業にどういう行動を取ってほしいのかきちんとまとめるべきだし、自治体や企業側もどう対応するかを改めて考える必要がある。この情報はいつか出ることが分かっているので、事前の議論や準備が必要だ」と述べました。
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