A 「7位は特殊法人等改革推進本部参与会議から消滅をつきつけられたオートレースが前々から思案が練られていた構造改革を4月から施行。6場一律の開催日数をやめ、開催場によって弾力的な開催日程、つまり全体的な開催削減、それに伴う選手の事実上の首切りをやったところ、場外発売を大幅に拡大させたこともあるが、4~9月の上半期で売り上げをアップさせた。」
B 「しかも他競技を見渡しても、上半期の売り上げをアップさせたのはオートレースだけしかないんだよね。全体で2.4%プラス。当然開催を削減させたことから、1日当たりの伸び率は何と23%。まるで昭和30年代を彷彿とさせるような伸び率だ。」
A 「このことは、いかに今、他の競技で無駄な開催がはびこっているかということが分かるというもの。そしてオートレースでこうした「成果」が出た以上、とりわけ選手数を一番多く抱えている競輪でも将来的にこうした試みが行なわれるのではないかという声もある。」
B 「それにオートレースは構造改革を行なった4月からトップクラスの戦いとなるSG・G1はかなり面白くなり、ベストレースだ!と唸るような内容のものが続出している。如何せん、オートレースはファン人口が少ないもんだから全体の注目度はいまだ低いが、この調子で来年も頑張って欲しいところ。しかし後に取り上げる浜松オートレースの存廃問題はいまだ揉めているね。」
A 「6位は岡部幸雄騎手の引退。JRA通算2943勝はいまだ同第一位、またJRAG1級レース制覇も36回、さらに欧州G1制覇も果たすなど内外に亘る活躍を果たした。」
B 「ま、何と言ってもシンボリルドルフの全16戦に騎乗した騎手ということで完全に名を上げたね。馬事公苑同期に「天才」福永洋一がいるんだけど、その福永が落馬事故で騎手生命を絶たれた後ぐらいから勝ち星も量産するようになった。やはり「期するもの」があったんだろうね。」
A 「武豊がG1勝利数で岡部に追いつくや、その翌週岡部が引き離すなんてことはよくあったからな。だから武豊も「いつになったら岡部さんを追い抜けるのか?」と、岡部の存在があまりにも高いことをこぼしていた頃もあったね。」
B 「それに海外の競馬を本格的に見据えたのは岡部が最初だろ。後になって武豊も倣うようになった。ということは武豊も岡部の存在がなければ今はなかったといえるのかもしれない。」
A 「それに、騎乗フォームもいいし、特に若い騎手は岡部のフォームをよく見て欲しい。いまだ模範的なジョッキー。こうした騎手ってそうそう現れるものではない。」
B 「そうだね。岡部のような騎手をいかにして育て上げていくかが今後の競馬界の課題でもあるな。」
A 「5位は5月に発生した福山競馬の調教師・厩務員名義貸し事件。この事件で福山競馬のリーディングトレーナー・番園一男容疑者が逮捕されたが、当然、番園容疑者が抱える管理馬は多くてしかも有力馬揃いということから開催不能となり、2週間ほど福山競馬の開催は行なわれなくなった。」
B 「実際には番園容疑者が馬主だが名義を他人に移していたということ。そして福山市から不正に補助金を受け取っていたということで御用になった。ま、地方競馬では昔からよくあった話なんだが、調教師が馬主にはなれないというのは当たり前の話であって、番園容疑者は「廃業」を余儀なくされた。」
A 「実は2月にもJRAから出されていたアラブの補助金を不正に搾取していたとかで馬主が逮捕され、事実を調べ上げていくうちに、「番園と厩務員の山内もやっている」ということになって御用となった次第だが、実際、番園容疑者はリーディングトレーナーとはいえ、年間の稼ぎはせいぜい700万円程度。こんな数字ならばサラリーマンやってたほうがいいというもの。」
B 「不正に補助金をもらった額ってたったの80万円程度だが、それでもないよりはマシってことなんだろうね。」
A 「番園容疑者は主に「ユノ」の冠名がついた馬を管理していて、幾度となく重賞制覇も成し遂げた。だからこんな事件が発生するとそりゃ競馬はできない。予想以上に大きな事件となったものだ。」
B 「そして福山競馬もこの事件を契機にアングロアラブの競馬とも半ば決別する様相だな。何せ、広島県の馬主会はアラブの仔馬に手をつけなかったとかいう話だからね。しかし生産者は大激怒し、もう福山には馬を売らないとまでいい始めている。一方では不正にカネを取り、また一方ではアラブを見捨てる。それにしても根の深い事件だな。ひいては福山競馬の今後にも影響を及ぼすかも。」