鈴木康広展「近所の地球」@水戸芸術館現代美術ギャラリー
今日(8月6日)は人類史上初めて原爆が広島に投下された。
それから69回目の「原爆の日」。
平和記念式典が開かれた広島市の平和公園は、早朝から強い雨が降り続いたにもかかわらず、原爆慰霊碑には祈りをささげる人が多く訪れている。と報じられた。
水戸は朝から雲一つない快晴、さらには連日の猛暑。
1日~3日までの「水戸黄門まつり」夢のごとき3日間が過ぎ去り、祭りの後・宴の後の虚脱感で街は再び静かになった。
1945年8月2日の水戸空襲、6日の広島原爆投下、9日の長崎への原爆投下、15日の終戦と続いた8月の出来事を記憶している人たちは少なくなった。
僕は4歳に満たない頃で、勝田の艦砲射撃の際に母に背負われ逃げたこと。
父の実家に疎開した事など、断片の記憶が有るのみ。
戦争体験ばかりでなく昨今の環境の急変に対しても、知らなかった。
というより、敢えて見ぬふり・知らぬふりをしているのではと反省する。
水戸芸術館の現代美術ギャラリーで8月2日から10月19日まで開催される鈴木康広展「近所の地球」は何気ない日常の自然現象から地球規模の問題まで考えさせられる展覧会。
科学者の観察ノート的な発想から、作品になるまでの工程等も分かる。
日本列島を模した方位磁石がコップの水面に浮かんでいる作品。
羽毛の1本が宙に浮かんであたかも天女が舞っているような作品。
氷が融けて滴り落ちる作品など、水や氷を使用した作品も多い。
ビデオによる映像作品も多いが、展示面が複雑であったり、立体だったりするので単調にならずに楽しめる。
モノによっては答えが提示されながら、何故この様になるのか、考えを巡らす作品も多い。
その様な点からいえば、中高生などの科学に対する好奇心や楽しさを知る絶好の機会だ。
ほぼ原寸大に復元したとされる作家のアトリエは科学者の研究室のよう
エントランスのパイプオルガンの前に設置された巨大で透明な人形。
9日のオープニングレセプションに出席した際、作者は「展示までは自分では出来そうになく、知り合いの空間デザイナーにお願いした」と説明がされた展示空間は、通路部分と展示室が∞に交差する、今まで見慣れた水戸芸術館とは思えなかった。
12日(火)14:00~15:30までの時間にギャラリートークが開催される。
鈴木康広と噺家の柳家花緑がキュウレターと展示室を廻りながら作品の秘密を探る。