漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その6

2019年07月06日 11時54分59秒 | タイ
               

       ( この写真は、チェンマイの借家のすぐ近くの電線を撮影したものです。ネットの配線がゴチャゴ
         チャともつれ合っていますが、この状態がタイでは普通なのです・・・・・《 2019年、5月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、写真奥の方にセブンイレブンがありますが、その近くの電線もかなり混線しています。
          ・・・・・《 2019年、5月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、タイでは珍しくない光景です。植物が寄生し始めた状態です。・・・・・《 2019年、5月、
          撮影 》 )


               

        ( ↑写真、さらに放置状態が続くとこうなります。私は巨大な緑色の十字架の様になった電柱を見た
          事がありますが、日本でその話をしても信じてはもらえません。・・・・・《 2019年、5月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、改築中のカミさんの実家です。現場に積みあがったレンガですが、なぜか不揃いでボロ
          ボロです・・・・・《 2019年、1月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、風呂場のバスタブが入る部分です。一見して『これで大丈夫なのか?』と不安になる代物
          です・・・・・・案の定、バスタブを入れる時に大きさやパイプの不備など多くの問題が発生しました・・・・・
          《 2019年、1月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、タイの建設現場は、どこでも「新築」なのか古い建物の「解体」なのかまったく分かりません。
         レンガが穴だらけで不揃いなのは中古品が混ざっているのです・・・・・《 2019年、1月、撮影 》 )



       【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 

                 その6


チェンマイの電線の話は、写真とその解説で充分お察しいただけるかと思います。

改めて詳しく書く事もないと思いますが・・・・・・・・

ただ、補足すると・・・・・・・・・電線は、これでも随分と整理( 高圧化 )されてきたのです。
ただ、ネット回線の方がどんどん増えだして、その整理にまったく追い付いていないわ
けです。

もっとも、日本の電線も似たようなところがあるかも知れません。


さて・・・・・・・・

前回お知らせしました様に、カミさんの実家の改築で問題が発生したために、拠点にし
ていたチェンマイ郊外にある借家でゆっくり過ごす事がまったく出来ず、改築現場近く
のホテルや友人宅に居候になったりと・・・・・・・・・・・

まったく落ち着く時間が持てませんでした。

そもそも、新しい家の見取り図を作る時に精一杯豪華な家を作ろうとした事が後々、問
題を大きくした原因になります。

一般に見取り図や完成予想図を描くのは、未経験者には難しいのですが、私の様に長年
住宅を遠近法で描く仕事をしている者にとっては、さして難しいものではありません。

ただ、高度に専門的な知識も必要ですので、厳密な設計図までは手が出ません。

それでも、何枚も平面図や立体図、さらにスチレンボード( 工作用紙 )を使って住宅
模型をいくつも作ったりしました。

タイの住宅建設費の相場も、建設会社の情報も全くなかったので、とりあえず見取り図
や住宅模型を作って、数社に見積もりを出してもらいました。

それから各会社の見積もり金額に照らして設計を変更したり、見積もりの総額で建設会
社の選別を図るつもりでした。

見取り図には和室や山荘風のオープンキッチンダイニング、石壁のタイルや多くの間接
照明、中庭や長いデッキテラスなど・・・・・・・理想的な図面を作り、それを建設会社の人
に見せて見積もりを出してもらい、問題に応じて変更する・・・・・・・・・・という流れでした。

値段が全く分からなかったので、かなりイ~加減な間取りでしたが、値段が高い様なら
すぐに大きさを小さくしたり、部屋数などを減らしたりするつもりでした。

家は平屋建てで、建坪は60~65坪( カミさんの受け継いだ遺産です、日本では広い方
ですが、タイの田舎では時価で200万円ほどです )

建設費で一番高い見積もりを出したのが、タイでは最大手のS社( タイの大手と日本の
積水ハイムの合弁企業 )は、ほぼ日本建築仕様で2400万円以上。

ちなみに、日本で建てたら3500万円( 坪単価約60万円 )位でしょうか・・・・・・・・

タイの一般的な建築会社( 零細、小企業 )だと1400~1600万円。

さて・・・・・・・・・・

私の描いた見取り図を見ながら一番安い価格を提示したのがD社。( 以降D氏 )

その価格はなんと・・・・・・・・・・・1200万円。

 ( 以下の会話は全てタイ語と英語のチャンポンです )

これは、無理だろうな・・・・・・・・と思いつつ質問する私。

 「 本当に日本間が作れますか? 」

 「 大丈夫です 」

 「 床の間の設置や、雪見障子などの入手は難しいのでは? 」

 「 大丈夫でしょう、資材会社を何社も探せばきっと見つかりますよ 」

 「 オープンキッチンは壁も天井も大きな梁も、木造の山荘風に出来ますか? 」

 「 それは素晴らしいですね、大丈夫ですよ! 」

高価な石壁のタイルや間接照明の問題もクリアー出来て、さらに値引きしてくれるとい
う・・・・・・!

 「 1000万円で引き受けましょう! 」

私は、調子に乗ってさらに値引きを求めました。( 一生の買い物です、貧乏生活60年!
サラ金地獄30年! 最後に一発大逆転の汗がにじむ! )

 「 もう少し安くなりませんか!? 」

 「 900万円・・・・・これが限度です 」

あと少し・・・・・・あと少しで日本間やら大きなキッチンやら、間接照明や中庭まで、何で
も理想通りに「 邸宅 」が作れるのだ・・・・・・・!

私は、調子に乗って・・・・・・・・・・!

 「 もう一声! 」

 「 ・・・・・・・・・・ 」

 「 どうか・・・・・・・・もう一声! 」

 「 では、850万円 」

ここで、「 おかしいぞ? 」と・・・・・・・・・・思わなくてはいけないところなのです。

日本の建築相場はともかく、タイの一般的な建築費用( 耐震性0、防音、断熱工事無し、
基礎も土台もイ~加減 )でさえ1500万円前後はするのに、なぜ850万円で出来るのか?

しかし、この程度の予算がカミさんの貯金と私の退職金で払える限界でした・・・・・・・・・
・・・・・そのため、「 格安料金 」に完全に魅了されていたわけです。


その結果・・・・・・・・・・・

始まった建築は、ズルズルに遅く、資材は安物で、作業技術はおそまつ・・・・・・・もっとも、
資材が多少ボロでも「 格安 」なので我慢は出来るのですが・・・・・・・・・

作業が開始されてから3ヵ月ほどで、疑惑の日々が始まります・・・・・・・・・・・

時計が止まった様なノロノロ作業・・・・・・・・・・

水のしたたるシャブコン作り、中古の安い石材やレンガ、サビた鉄骨に規定に満たない
細い鉄筋・・・・・・・・・

基礎的な水平や垂直さえ、水準器を使用しているけど・・・・・・・・・・・正確に使用しているか
は不確実。

 『 だけど、そんな事は我慢できる! 格安なんだ! 仕方がないんだ! 』

・・・・・しかし・・・・・・・・・・

D氏の工事への疑念は、抑えがたいものになります・・・・・・・・・・下請け作業員に給料を払っ
ていない事が判明したのです。

カミさんに作業員の一人が・・・・・・・

 「 2ヵ月以上給料をもらっていないんです 」

・・・・・・・と、愚痴をこぼしたのです。

それと同時期に、資材の搬入が遅れているために、作業員が現場にいてもまったく工事
が進まない日があったりするのです。

進行の遅れや、現場の作業員への未払賃金など・・・・・・・・・・・これは、ちょっとただ事では
ないわけです。

しかし、その事を問い詰めると・・・・・・・・・・・

 「 来週中には、全ての費用を支払いますので大丈夫です! 」

・・・・・・・・・・・と、きっぱり笑顔で答えます。

日本人だったら平謝りに謝って、低頭するものですが・・・・・・・・・・タイでは、都合の悪い
事が起きると、ニコニコ笑顔で( 堂々と胸を張って )冗談でも話す様に・・・・・・・・・・・・

 「 大丈夫ですよ~ッ! アハハハハハハッ! 」

・・・・・・・・・・今から考えると、「 微笑みの国 」なんていっても、その裏側は熱帯の四角い
ジャングルだったというわけです・・・・・・・・・

嘘も苦しみも、「 微笑み 」で包んでしまうのです・・・・・・・・



         「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その7 」 へつづく・・・・


         ( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )


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【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」





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48 コメント

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工事進行基準? (あんのん)
2019-07-07 03:29:07
「この程度の予算がカミさんの貯金と私の退職金で払える限界」ならば、その予算にあったサイズ〔家の規模〕とグレードの家を発注する必要がありましたね。
古い古屋を取り壊す前に、その小屋に住みつつ、その隣に新しい家を建てて、現場で見張った方がよかったですね。
支払いは、何分割で工事進行基準で小分けにして払っていたのでしょうか。
返信する
あんのんさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2019-07-08 17:10:11

 >予算にあったサイズ〔家の規模〕とグレードの家を発注する必要が
 >ありましたね。

まったく、その通りなんですね。

建築費用の常識的な相場よりも「格安」に目がくらんでいました。

まず、価格が分からないので最初の目安として、部屋数も多めに設計し、
大きさも大きめ、設備も取り合えず理想的な形を設定しました。

当然、高いものになるだろうとは予想していましたが・・・・・・・・・・・それ
が、予想以上に安くできるという業者(本文参照)を信じて、工事に入っ
てしまった事が取り返しのつかない結果を生んでしまいました。

高い見積もりを出す業者の方が「まとも」な業者なのだという事を、その
時にはまったく考えていませんでした。

問題のD氏は、見積もりを出してくれた会社の中では、一番積極的で丁
寧で、説明や設計変更などでもすぐに遠くから私の自宅まで飛んできて
くれていました。

大手の会社なんかだと、大柄だし、私の自宅へ説明に来てくれる事も
ありません。「会社まで来てください」とか。「説明会に参加して下さい」
とか。

一回、営業に来てくれただけで後は何の連絡もない会社もありました。

ちなみに、問題のD社は最初から「格安」だったわけではないのです。

最初の見積もりは他社よりもほんの少し安いくらいでした。

その値段が、他社との競り合いや私との交渉で、どんどん価格が下が
っていったのです。

最初から詐欺をはたらく積りだったのではなく、どうしても目先の現金
が必要だったんだと思います。

後で分かった事ですが、この時点ですでにD氏は借金だらけの博打狂
いだったのです。

 >支払いは、何分割で・・・・

着手金を含めてだいだい4分割です・・・・・・・・・・が、業者さんの資材調
達のために早めに支払う事が多いので、完成予定日よりも早く全額を
支払う事になります。

本当に悪質な業者は、着手金や初期工事費でゴッソリ金を受け取って
ドロンするのですが・・・・・・・・私の場合は、分割金を全額支払うまで工
事(完成度60%)は進んでいました。

詳しくは、次回、本編で書いてみたいと思っていますので、しばらくお待
ち下さい。

返信する
Unknown (B・INABA)
2019-07-12 20:50:46
家に限らず小さい物から大きい物まで、値段の高い部分は「安心料」と聞いたことがありますが、海外だと高くてもどうだろうかと気になってしまいますね...。(^^;
返信する
B・INABAさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2019-07-13 20:28:39

高い価格は、「安心料」というのは面白いですね。

価格なんて所詮、絶対的な価値ではないですよね。

つまり、何十億円という絵画でも買ってすぐに飽きてしまう大金持ち
もいますし、一枚数千円の絵でも生涯大切にする人がいます。

私の場合は、格安の料金なんですから、粗悪で進行は遅いだろう事
は覚悟していました。(『安心料』はゼロって事です)

・・・・・・・しかし、まさか、工事途中で投げ出されるとは予想していま
せんでした。

では・・・・・・・・

より高い業者に依頼したから上手くいっていたのか・・・・・・・・そんな
保証は何処にもないんですね。(まさに『安心料』!)

ちなみに・・・・・・・

私の様な失敗を防ぐには、業者さんの厳選と、素材価格や手数料の
明朗化に注意する必要がありますね。

外国へ行ったらこれが困難ですから、金持ち外人が美味しいカモに
なっちゃうんですが・・・・・・・その話はいずれ本編にて。

返信する
Unknown (ふじもん)
2019-07-14 22:18:49
日本では参議院議員選挙の真っ最中です。
タイでは軍事政権による民主派への弾圧が続いていると国際ニュースで知りましたが、yesさんと奥様は日本大使館で在外投票されるんでしょうか?
投票の手続きはどのように行われるんでしょうか。

年金の支給額が減らされるというのも既定路線だそうですし、年金が100年安心など言ったことがないと開き直っている人たちが消費税増税もするそうです。
返信する
ふじもんさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2019-07-15 21:03:40

 >日本大使館で在外投票されるんでしょうか?

タイで投票するためには、大使館か領事館へ行かなくてはなりませんし、
前もって連絡を入れておかなくてはいけません。

私が暮らしているチェンマイ市のメーアイという所は領事館のあるチェン
マイ市街へは車で片道4時間かかります。

そのため、投票に行きたくてもなかなか行くことが出来ません。

もっとも、日本を離れてしまうと投票へ行きたいという気持ちが薄まってし
まいますね・・・・・・・・日本の選挙が他の国の選挙の様に遠くに感じてし
まうのです。

それはともかく・・・・・・・・日本は年金の減額や消費税増税など、これから
先も険しい経済状況が続きそうですね。

特に嫌なのが、金持ちの貴族化、中産階級の衰退、低所得者の肥大とそ
の奴隷化・・・・・・・・未来への希望がボロボロです。

返信する
伏見でテロ (ねこねこ)
2019-07-18 23:52:20
京都アニメーションが放火されて、30人ほど焼け死んだようです。
webもアクセス多数で開きません。
3階から屋上に出る階段のドアもロックされていて、20人ぐらい死にました。
階段が一か所しかなく、避難用のはしごもなく、41歳の関東から来たらしい男に「自分のアイディアをバクられた」と叫ばれて、ガソリン放火されました。
返信する
まる焼け (ねこねこ)
2019-07-19 07:37:34
京都アニメーション放火事件

ようやくサイトが開くようになりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E6%94%BE%E7%81%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6

入り口は普段ロックされて、カードがないと開かないはずが、この日は来客が予定されていたので、ドアが開けっぱなしになっていたということ。

前から「殺す」などと脅迫を受けていた中で、警備会社を雇っていれば、ここまでの被害は受けなかったでしょうし、埼玉からやってきた生活保護らしい家賃3万円男の妄想の前にまる焼けとなってしまったようです。
返信する
ねこねこさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2019-07-20 12:27:56

アニメファンは元より、業界関係者にとってはショッキングな事件が
起きたものですね・・・・・・・・・。(タイでもニュースになっています)

犯人の動機とされている「盗作」への恨み・・・・・・・でも、やる事が滅
茶苦茶です・・・・・・・・「盗作」というよりも完全な「倒錯」です。

この業界、「パクリ」の一つや二つで錯乱してたんじゃ・・・・・・・・いく
ら脳ミソがあっても足りません。

それにしても、このアニメ会社・・・・・・・建物が棺桶の様に壁に四方
を閉じられた構造で逃げ出しにくくなっていてます、不気味です・・・
・・・・・・。

ニュースで見たのですが、部屋の中央に螺旋階段があるのですが、
これは火災時に煙突効果を生んでしまう危険な構造で、よく建築基
準をクリアーしたものだと思います。

この事件も秋葉原の事件以上に心に傷を残す事件になりそうです。

返信する
安全はタダではない (ねこねこ)
2019-07-20 21:47:28
建物が棺桶的な他、矢田社長が極端に無能だったとおもいます。
ここ2日間、病的に危ないクレーマーが何度も会社へ攻撃を仕掛けていたのだから、ただの警察だけでなく、警備会社に数か月警備依頼をするべきだったのでしょう。
もともと京アニで有能だったのは、奥さんのほうで、30台でやさ男の英明氏と結婚し、社長をやらせていたが、無能な人物は何をやらせても無能でtv会見でもその能力のなさがあふれていました。

https://mainichi.jp/articles/20190718/k00/00m/040/345000c

人でも会社でも成功して有能になると、あらゆる危険人物に狙われるものですね。

返信する

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