漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第5章 その35

2008年03月28日 05時08分55秒 | 漫画
( この写真は、タイ・チェンマイにある観光地化された山岳民族の村です。赤い自動車が乗
  り合いタクシー。チェンマイ市内から毎日、多くの外国人観光客が訪れます。《 1993年
  1月 撮影 》 )
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
  
   
               その35
 
 
タイへ旅行した事のある多くの男性が知っている場所に「 ひな壇 」と呼ば
れる娼館があります。さすがに高度成長を突き進むタイには、昔ほど、沢山
数はありませんが、その豪華さとグレードは進化している様です。
 
この風俗は日本の遊郭「 吉原 」の歴史にどこか似ている様な気がします・・
・・・。
 
私が20代の頃に行って見たバンコクのその「 ひな壇 」とは・・・・
 
ガラス張りの真っ赤な絨毯の大広間・・・その中でズラリと居並ぶ200人の
若い女性! その一人一人が美しいドレスを着て、「 ひな壇 」と呼ばれる
4,5段の階段に腰掛けている・・・
 
店に入って、その大きなガラス張りの「 ひな壇 」の前に一人で立つと、足
が震えてきます・・・
 
初めて来るお客さんは怖気ずいて「 ひな壇 」に近づけません。お客が女性
を見定めるというより、200人の女性から一斉に視線をあびるわけです。カ
ルチャーショックで立ちすくんでしまうのです。
 
この心境をどう表現したものか・・・・・例えば女性なら、両手にザラザラ
とダイヤモンドがそそがれる様な気分でしょうか・・・・・。

大きな体格の白人がホール係りの小柄なタイ人に「 もっと、近くで! 」と
背中を押されてオドオドしている姿を見かける事もありました。
 
 
1989年、1月。34歳の私は、佐々木氏( 調布市、会社代表取締役、50歳代後
半 )たちと夜食を共にした後、一人でチェンマイ市内のある娼館を訪ねまし
た。
 
中年オヤジのエロ談義に付きあっているよりも、一刻も早くタイ美人にご対
面したいもの・・・期待いっぱい、夢いっぱいで心臓はバクバクしていたわ
けです。
 
古都チェンマイにはバンコクの様な大きくて派手な娼館はありません。どこ
か田舎っぽい風情があります。(あたかも明治・大正の遊郭の様な)
 
夜の人通りの少ない、やたらと静かな田舎道にポツリポツリとピンク色の灯
篭が軒下にかかっています・・・そこが娼館です。( 日本の風俗街のネオン
とは全然世界が違います! )
 
日本の様なうるさいポン引きやわめき散らす不粋な酔客などはいません・・・
・・・。 本当に静かです。
 
店内には2つ3つのテーブル席。あとはガラ~ンと誰もいない20畳ほどのフ
ロアー。 私が店へ入るとフロント係りが一人で迎えてくれます。そして、テ
ーブル席に案内して、女性たちを連れて来るわけです。
 
 『 まあ、まあ・・・来るわ、来るわ! 』
 
ゾロゾロゾロゾロ・・・一つのドアから、テーブル席の私の目の前に30人、40
人・・・
 
そして・・・私は、その中でもとびっきりの美人を自分のホテルへ・・・・・・
 
一晩、つまり翌日の朝まで彼女と一緒に時を過ごして、その料金は・・・
・・・2000円(18年前)ほど・・・!
 
・・・と、ここまでは、ごく普通の、ありきたりな流れなのですが・・・・・
私が服を脱いだ時から深刻な事態に立ち至ります・・・・・・・
 
 
馬鹿なダイエットのせいで私の体には赤い発疹が・・・ブツブツブツ・・・・。
時代はエイズ騒動の真っ最中・・・・・
 
私が連れて来た女性は・・・長い黒髪に色白で西洋風の顔つき、瞳が大きく口
元の可愛らしい・・・女子アナタイプの美人でした。
 
私としては滅多に出会えない美人を前に緊張しているのですが・・・・相手の
やさしい雰囲気に打ち解け合い・・・・BGMにボサノヴァかクールジャズでも
かけたい気分・・・・・。 と、ここまでは天国。
 
しかし、彼女が私のアンダーウェアーから出ている腕と胸の赤い発疹に気付い
た時に・・・氷の様な沈黙が訪れました・・・・・・。
 
私は彼女をまともに見る事が出来ない・・・・。 目を伏せて枕元のライトを
消そうとした時・・・。 彼女をチラッと見たその時・・・・!
 
泣いている!
 
彼女の綺麗な瞳から涙がこぼれている・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 『ダメだ・・・こりゃ・・・・・・』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その36 」 へつづく・・・



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                『単行本制作状況』と『お知らせ』も併せてご覧下さい!
 
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 単行本制作状況 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ★ 印刷段階に入りました!
 
4月5日(土)発売に向けて、印刷段階に入りました!
 
単行本化のオファーをいただいた時から1年3ヶ月! やっと、本が完成い
たします!
 
総ページ数は320ページを越えて、けっこう厚みが出ました。写真やイラス
トなどの画像は148点、その内未公開写真が19点、書き下ろしイラストが18
点あります。導入部は漫画になっています。
 
ブログ「漫画家アシスタント物語」には多くのコメントをいただきました。
その全てを掲載したかったのですが、紙数の都合上、わずかしか掲載できま
せんでした・・・・これは、今回の単行本化の過程で、最も残念だった事です・・
・・・・。
 
そして、最後に拙作「雨のドモ五郎」の全編も付録として収録されています。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 



 
【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




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6 コメント

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こんばんは (ぱるちゃん)
2008-03-29 22:56:11
単行本スゴイですね~。

下の部分の煽り文句(?)がこれまたスゴイです。(笑)
本屋さんに並ぶのが楽しみですね。
返信する
ぱるちゃん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2008-03-30 05:15:52
帯の「煽り文句」は竹熊氏のブログでの、拙サイト紹介の文句をその
まま、使わせていただきました。
 
竹熊氏は快く帯封への転載を許可してくたので、本当に嬉しかった
です!
 
とにかく、なんとか4月5日(土)に発売が間に合いそうで、ホッとして
おります。
 
次回の「漫画家アシスタント物語」は本編を一回分、お休みさせてい
ただき、「祝、単行本発刊記念」特別番組(?)をアップしたいと考え
ています。
 
コメントをくれた全ての人への感謝を込めて・・・!
 

 >本屋さんに並ぶのが楽しみですね。
 
私は正直な気持ち・・・恐ろしいです!
   
返信する
Unknown (雪田徹夜)
2008-04-01 20:33:45
印税ががっぽがっぽですね!

何かおごって下さいよwww
返信する
雪田徹夜さん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2008-04-02 00:54:37
A・O!
 
 >印税ががっぽがっぽですね!
 
・・・・・んな訳ぁ~ない! 出版業界の現実はキビシ~~~ッ!!
いや、ホント!
 
初版で数千部・・・印税から源泉税と住民税を引くと・・・いくらも残ら
ないのです! いや、ホント!
 
結論・・・
 
「印税ががっぽがっぽ」・・・ではなく・・・
 
 『 印税がすっかすっかですね! 』
  
でもね・・・でもね・・・・・もし、万が一にも・・・単行本がドッと売れたら、
すき焼きでも、しゃぶしゃぶでも、フグの会席料理でも・・・・・おごって
さしあげたいもんです! いや、ホント!
  
返信する
買わせて頂きました。 (毒山鳥)
2008-04-09 04:05:49
どうも毒山鳥(ドクヤマドリ)と申します。
最新日付の記事に書き込み出来ないので、こちらに書かせて頂きました。

元々は昨日発売だった漫画を買いに本屋に立ち寄ったのですが。
その時、漫画家アシスタント物語を見付け、冒頭をパラパラと読んで興味を持ち
巻末雨のドモ五郎を読んで胸に熱い物がこみあげるも
低所得者な物でスルーをして帰る予定だったのですが、
最後の針さんとドモ五郎の熱いやりとりに突き動かされ
結局買ってしまいましたw

本を読む速度が遅いのでまだ本編は三章までしか読んでませんが
章の合間のブログコメントを見てブログの存在を知り
矢も楯もたまらなくなって書き込みさせて頂いた所存であります。


僕自身地面をはいつくばるでもなく、かと言って高みにも登れない中途半端な存在なんで、
ドモ五郎の苦しみ哀しみにグッと来てしまいました。

ラストの『針さんありがとう』のコマが
おっさん二人が涙流してかっこわるいんだけど、
なのに凄くカッコ良くて、熱くて胸を打たれました。
(本の購入動機の7割がここ)

もう読んだそのままの感情だけで書き込んでいるので、
支離滅裂な文章になっていますが、どうしてもこの感動をくれた方に
何かお礼を言いたかったと言う事でご容赦下さい。


イエス先生、お身体に気をつけてブログ運営頑張って下さい。

では、失礼します。
返信する
毒山鳥さん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2008-04-10 00:29:03
 >最新日付の記事に書き込み出来ないので・・・
 
スイマセン! 単純なミスでコメントが書き込めない様にセッ
ティングしてしまいました!
 
先ほど、訂正しておきましたので、もう大丈夫だと思います。
本当に面倒かけてスイマセンでした!
 
単行本や「ドモ五郎」の感想など、もったいない程の評価をい
ただきまして恐縮です!
 
ドモ五郎は漫画の中の虚像ですが、もし、彼が実在していたら
・・・・きっと、毒山鳥さんの言葉に寝床の中でこっそりと嬉
し泣きしているかもしれません・・・・!
 
本当に嬉しい感想メールをどうもありがとう!
 
そして・・・これからも、どうかよろしくお願いいたします!
 
ブログ、まだまだ続けます! 地をはう様に続けてまいります!
   
返信する

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