漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 古い話で章 その36

2014年10月22日 02時11分37秒 | アシスタント

 ( この写真は、東京豊島区椎名町にある商店街です。 この商店街でお酒を飲んだり、パチンコをしたり、定食を食べ
  たり、Jプロスタッフの生活を支えてくれた商店街です。 ちなみに、ここから10分ほど歩くと有名な「トキワ荘」があり
  ます・・・・・・《 2012年、6月、撮影 》 )


  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 
                    その36


     《 漫画家アシスタントが・・・・・復活デビューする・・・・・!? 》


『 K談社で連載もらった方がイイぜ! 』

・・・・・・・そんな強気な( 妙な )自信に満ちあふれていた加川さん( ※参照 )・・・・・・・・・

 『 やっぱ、セコイ出版社より、デカい所で連載が・・・・! 』

加川さんは、やる気になっている編集員を上から目線で見つめながら考えます・・・・・・・

 『 一流出版社・・・・・連載・・・・・単行本・・・・・マンション購入・・・・・・
   海外旅行・・・・・・・軽井沢に別荘・・・・・・・ 』

そんな事まで考えたかどうか、分かりませんが・・・・・・・・・・

とにかく、担当編集員は熱心に語りかけます・・・・・・・

 「 これ良いですよォ~、来月からやりましょう! 」

・・・・・・・すると・・・・・・・

少し、冷静になった( 自分を取り戻した )加川さんは・・・・・・・

 『 やっぱり、すぐに金がもらえる方がイイかなァ~・・・・ 』

・・・・・・・と、編集員の「 来月から! 」の一言でN文芸社で連載する事に決定します。

もっとも、N文芸社といえば、S英社やK談社の様な超メジャー出版ではなくても、大人向けの漫画
雑誌を出版する老舗出版社です・・・・・・立派なものです。
 
 
1984年、J先生( ※参照 )の所から独立して丸6年が経っていました・・・・・・・・

連載契約は、4回。 
 
 
隔週漫画雑誌でしたから、2週間で1本の作品を掲載する事になります。

イイ加減な気持ちで調子よく連載をスタートした6年前とは違い、今回は真剣でした。

目先の欲望に走る事もなく、ただ一途に・・・・・・・・

 『 4回で終わりなんだ! 』

・・・・・・・・そう自分に言い聞かせて、緊張感と集中を絶やさなかったわけです。

4回だけが8回になり、16回になり・・・・・・・

1年、2年と連載が続き、単行本も1冊、2冊・・・・・・・

もう、思いつくままに描いていた昔とは違いました。

一度、挫折した経験と、どん底まで落ちた貧乏暮らし・・・・・・・数年間のすさんだ人生・・・
・・・・水商売に始まって、山谷の日雇い仕事まで・・・・・・・ポケットに100円玉一つしかな
い日々の暮らし・・・・・・・・
 
そこで出会った多くの人と、その人々との忘れられない思い出・・・・・・・
 
昔の様にチャラチャラした軽いタイトルやストーリーを描いていた頃とは違っていました・・・・

生きる事の苦しみや、それから逃げてしまう人間の弱さや哀しさを描く・・・・・・・人生と向か
い合う様に描いた漫画作品群だったのです・・・・・・・・・・・・
 
 「 あの時は、ひとつの作品に向かう姿勢が全然違っていたね 」
 
私が現在の加川さんに「 デビュー当時と、N文芸社で連載を取った時の違い 」を質問した時に、
「 姿勢が違っていた 」と答えてくれました。

 「 最初のデビューはイイ加減だったんだよ、本当に適当~だったんだよ! 」

タバコを吸いながら笑う64歳の加川さん。
 
 「 N文芸社で連載やってた時は、作品への取り組み方が真剣だったよ、全然違うよ! 」
 
私は、明るい表情の加川さんに質問を続けます・・・・・・ちょっと贅沢な質問を・・・・・・・

 「 加川さん、もし・・・・・・・・ 」

 「 ・・・・・・・・・・? 」

 「 もし、『 面白い作品を描くにはど~したら良いですか? 』と質問されたら、
   どう答えます? 」
 
加川さんは、ほとんど即座に答えてくれました・・・・・・・!
 
考える間もなく、当然だといった感じで!
 
 
 
     「 漫画家アシスタント 古い話で章 その37 」( 11月1日以降公開 ) へつづく・・・・
 

           ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その35」へ戻る 】

 
 
 
 
  【 ※参照 】
 ・加川さん・・・・・・・・・・・(仮名)中学卒業後、職業を転々としながら漫画家アシスタントに成る。
  1969年19歳で、J先生に師事。1978年に少年キングで連載を得て独立。1984年別冊漫画ゴラク連載。
 ・Jプロ・・・・・・・・漫画家J先生の仕事場。東京目白にあり、バブル期には6~7人のスタッフが
  在籍。しかし今年2014年にはスタッフ2名。連載は1誌。ちょっと淋しい今日この頃です。





 
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 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
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 ★ 「漫画家アシスタント物語 4章の31~」に書かせてもらったガンさん
   (ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
   中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん

 ★ 拙ブログのうぶ主が1987年にヤングジャンプ新人賞で準入選デビュー
   した作品・・・ 「 雨のドモ五郎 」

 ★ 「漫画家アシスタント物語 第6章の10~」に書かせていただいた
   リョウさんが描いたイラストを公開中です・・・ 「 龍馬さんとボク 」

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7 コメント

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Unknown (ラティ)
2014-10-23 21:43:36
>「 もし、『 面白い作品を描くにはど~したら良いですか? 』と質問されたら、どう答えます? 」

加川さんは、ほとんど即座に答えてくれました・・・・・・・!

考える間もなく、当然だといった感じで!


すごい・・気になる><いい引きですね><!
最近、私もうっすらわかってきたような気がするの
ですが、今の感覚があってるのかどうか、
確認するためにもすごく気になります><

返信する
講談社『月刊アフタヌーン』回収騒ぎ (オレンジB)
2014-10-26 14:45:33
マンガ業界ニュース

●講談社のマンガ雑誌『月刊アフタヌーン』(毎月25日ごろ発売)
の今月号(12月号)にて、

“付録に不備があった”とのことで回収騒ぎになっています
どこの本屋に行っても、売っていません!

http://afternoon.moae.jp/news/1644

今月の31日に、改めて発売し直すそうですが、
“付録はつかない”とのこと。

付録なしでも、お値段そのままなんでせうか?(笑)

しょーもない付録なんかつけんで、エエから
雑誌を安くしてほしイイっす。

前回の続きが早く読みたいっッス
返信する
ラティさん、オレンジBさん、コメントありがとうございました! (yes)
2014-10-27 00:21:41

 >ラティさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

嬉しい感想をどうもありがとうございました。(ただし、次回をあまり
期待し過ぎるとガッカリしますので、注意して下さいねラティさん!)

『 面白い作品を描くにはど~したら良いですか? 』って質問は、な
かなか言いにくい質問で、うっかり口に出来ないですよね。

「そんな事も知らずに漫画描いてるのかよ!?」とか、「自分で考えろ
よ!」とか意地悪な事言われそうで・・・・・・・

でも、これって、最も根本的な、最も重大な問題なのですよね・・・・・・・

学校で漫画背景を教え始めてから5年以上になりますが、いまだにこ
の質問を受けた事がありません。

もっとも、背景画専門の私に質問しても答えはないだろうと諦められ
ているのかも知れませんが。

そんなわけで・・・・・・若い(18~20歳)学生さんたちには、「是非、有名な
漫画家や、先生に質問するとイイよ」と奨めています。(きっと面白い
から!)

普通なら、教えたくないんじゃないでしょうか・・・・・・・・・・・・・・(やっぱ
り企業秘密ってやつで!)

うちの師匠なら絶対こう答えると思います。

 「てめィ~~で考えやがれッ!」


 >オレンジBさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「付録の不備」って意味がよく分かりませんが、別に怪我したり、呪
われたりするわけじゃないんでしょうし・・・・・・・出版社も大変ですね。

漫画雑誌なんだし、何万円もするものじゃないし、「ゴメンネ!」で済
ませちゃくれないんでしょうか・・・・・・・・・・・。

私が子供の頃の漫画付録なんて、沢山あったけど・・・・・・・・どれもこれ
も期待させる宣伝だけは大げさで、中身はゴミくずみたいなもんでし
たよ!

ちゃちな紙の「光線銃」とか「宇宙船」とか・・・・・・・動力は、いつも

輪ゴムだったし!

返信する
Unknown (ラティ)
2014-10-28 12:56:14
> 面白い作品を描くにはど~したら良いですか? 』って質問は、なかなか言いにくい質問で、うっかり口に出来ないですよね。

そうですね。ただ、この面白いマンガを描くという、質問が
できるのは、ある程度マンガ描いて編集さんとかに、
没食らったりとかしてみないと思いつかない質問の
ような気がします。だから、生徒さんも聞くことが
ないのではないでしょうか?

マンガを描き始めたころは、「上手なマンガ」を
描きたい、上達するにはどうしたらいいですか?
という風なことで頭がいっぱいだと思うんですけど。
一番大切なのは、上手ではなく、面白いマンガなの
ですよね。これ上手と面白いは、ちょっと違うということがわかるのは、書きまくった後にわかることではないのかな?と思います。

面白いマンガの描く方法。。私も知りたいですねぇ。

私も生徒には、面白いマンガを書くのが大事だよ!
とは言ってるのですが、、私もはっきりは、
よくわからないので、一緒に生徒と模索してます。

返信する
ラティさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2014-10-31 02:27:25

 >一番大切なのは、上手ではなく、面白いマンガなのですよね。

まったく、その通りだと思います。

ただ・・・・・・・・・・・・

面白い漫画を描こうとしても、なかなか描けるものではありませ
ん。

何度も失敗しながら、少しづつつかんでいくのかも知れませんし、
また、そうではないのかも知れません。

「こうすれば面白くなる!」そんな魔法の呪文の様なものがある
のかどうか・・・・・・

きっと、多くの作家がそれぞれに自負するものがあるのだと思い
ます。

たぶん、秘伝中の秘伝みたいに・・・・・

世阿弥の「風姿花伝」にある「秘すれば華、秘さざれば華ならざ
るなりけり」・・・・・みたいな・・・・・・・・

・・・・・・・・いや、漫画はもっと単純かも知れませんね!(笑)

 >一緒に生徒と模索してます。

私は、経験から何十年かけても「面白い漫画」なんて描けないか
ら(欲張ってもダメだから)、「面白い漫画を描く」のではなく、
つまらないくても「面白くする工夫に励む」様に授業で話してい
ます。

でも、この事(面白くする方法)は、ホントに人それぞれな様です
ね。

その人なりの、独自の「手法」を見つけた人(諸先生)は強いんじ
ゃないでしょうか・・・・・・・・・・たぶん。

返信する
夜中に目をさましたら・・ (あんのん)
2014-11-02 02:15:35
夜中〔1時半〕に目を覚ましたら、2CHで舞台公演のビデオを放映していました。
yahoo番組表を見ると、〔放送休止の時間〕となっているのに、2時間も放送しています。

主役の女優に黒木メイサらしき人物が映っていて、中国から来た女スパイらしい。

『何日君再来』が表題のようで、テレサテンのストーリーを舞台化〔日生劇場〕したもののようでした。

http://www.rup.co.jp/backnumber/itsunohikakimikaeru.html

テレビで舞台そのものを放映するのも、最近は見かけないですが、前はCMによく登場した黒木メイサも久しぶりでした。2007年公演なので、7年前の黒木メイサだったんですね。
返信する
あんのんさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2014-11-03 12:44:30

私は、映画はよく観るのですが・・・・・・・・・お芝居は、さっぱりで
す。

昔、黒テントや暗黒舞踏を観に行ってからは、まったくお芝居を
観ていません。

お客さんと役者さんの慣れあった様な意味不明の同期感覚や、難
解な記号的表現など・・・・・・・すっかりシラケてしまいました。

世の中には、本当に面白い演劇がいっぱいあるのだと思いますが
・・・・・・・・

お芝居もそうですが、歌舞伎も能もやたらと入場料が高いし・・・・
・・・・・・・・・やっぱり、自宅で「80円」のレンタルDVDの観てしまう
のですが・・・・・・・・・

テレビで観るという方法もありますね・・・・・・・・!

蜷川監督をはじめ、いくつもテレビでは楽しんでいます。

でも、やっぱり・・・・・・お芝居はライブで観る方が圧倒的に面白い
のでしょうね・・・・・・・・・

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