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凶器は壊れた黒の叫び 河野裕
シリーズ第4作目。第一作目から巻が進むにつれて、本シリーズの特異な状況設定について、現実と空想の中間のような世界を舞台にしたある種の「思考実験」のようなものではないかと感じていたが、本書を読み進めていてますますそうだと思うようになった。前作からその延々と続くその「思考実験」は、若者の迷いのように終わりのないもので、若者特有の理屈っぽさとか、理想との妥協を余儀なくされる現実社会への反抗といったものに裏打ちされている。こういう言い方は悪いかもしれないが、こうした青臭さが本シリーズの最大の魅力なのだろう。前作を読んだのが約半年前。前作ではその題名の甘ったるさに苦言を呈してしまったが、なんだか自分が他人の家に上がり込んで文句を言っている老人のようだったなぁと反省した。(「凶器は壊れた黒の叫び」 河野裕、新潮文庫)
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