今年の締めくくりはこの1枚。大リーグ、ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手のサインだ。すでに大リーグで2シーズンをプレーし、アメリカで発売された「サイン・カード」の枚数や種類もかなり多くなってきたが、これはその中の1枚で、ルーキー・カードにサインがされているものである。製作枚数は良く判らない(おそらく発売元UPPER DECK社のHPを調べれば判るとは思うが)。彼のサインには、必ず自分の背番号「#18」が書かれている。これは、彼の「背番号18」に対する誇りや思い入れの強さを表しているのだろう。サインの形状も安定していて良いサインである。
2008年にこのブログで取り上げた本は138冊。読んだが取り上げられなかった本を含めれば、目標の150冊は超えているから、2007年の数字は下回ったものの、まずまずの数字だ。2008年に読んだ本のベスト10は以下の通りです。
①獣の奏者(上・下)(上橋菜穂子)講談社
叙情と冒険を併せ持った美しい異世界ファンタジーで、本当に寝るのを忘れて
読みふけってしまった。どこかで作者が、自らを「現在スランプ中」と言って
いた。本書のような傑作を書いてしまうと、次がなかなか踏み出せないのは判
るような気がする。
②ジョーカーゲーム(柳弘司)角川書店
不思議な雰囲気を持った作品で、まだまだ謎も多い。続編への期待度がとにか
く大きな作品だ。
③青年のための読書クラブ(桜庭一樹)新潮社
直木賞を受賞した作者の作品のなかで最も面白い作品だと思う。この作品と
「赤朽葉家…」の2作品については、昔のライトノベルの作風と、最近の純文
学的な作品の中間にある作品と位置づけられると思うが、そのバランスが好き
なのかもしれない。
④黄金の王・白銀の王(沢村凛)幻冬舎
異世界ファンタジーの幅の広さを認識させてくれた1冊。面白いこともさるこ
とながら、独特の世界に浸っていることの心地よさが際だっていた。
⑤映画篇(金城一紀)集英社
いろいろなバラエティを持った短編集でどれも良かったが、何と言っても最後
の短編のすばらしさには脱帽。深刻なテーマを読者に投げかけるような作品の
なかに納められたほのぼのとした本作品には心がジーンとくる。
⑥有頂天家族(森見登美彦)幻冬舎
とにかく面白くてこちらも続編が気になる作品である。ただしこのテンション
がずっと続くとしたら、どこまでいってしまうのか、それはそれで怖い。
⑦告白(湊かなえ)双葉社
当初は第1章だけの作品だったというのが信じられないくらい、第2章以下の
展開がすごい。いろいろ評価が分かれる作品かもしれないが、私としては高く
評価したい作品だ。
⑧ワンダフルライフ(スティーブン・ジェイ・グールド)早川書房
本年最も読み応えのあった作品。本書に出てくる生物たちの奇妙な姿がなかな
か頭から離れなかった。
⑨ハリーポッターと死の秘宝(J・K・ローリング)静山社
長いシリーズの最終章ということで、これまで楽しませてもらったことにとに
かく感謝したい。
⑩知らなかった!驚いた!日本全国県境の謎(浅井建爾)実業之日本社
いろいろ書かれている事実も面白かったが、私が最も印象に残ったのは、この
本に書かれた日本中で県境を巡る大騒動が勃発していたという事実を通じて判
った「明治時代初期の混乱」「明治政府の苦労」である。道州制の帰趨が気に
なるところである。
次に2008年読んだ文庫本から特に印象に残ったものを3冊。
①聖母の部隊(酒見賢一)ハルキ文庫
名作「エンダーのゲーム」を彷彿とさせる内容のSFだが、それ以上に救いの
ない世界に語るべき言葉がない。桜庭一樹の推薦本で、この本を推薦してくれ
たことで、私のなかでの彼女の評価はさらに高まった。
②イニシエーション・ラブ(乾くるみ)文春文庫
最後の結末の衝撃は、そうそう体験できるものではない。私にとって作者の本
はこの本が最初だった。それで特にそう思ったのかもしれない。乾くるみを未
読の方は、是非この作品から読まれることをおすすめします。
③マイナス・ゼロ(広瀬隆)集英社文庫
絶版になって久しい「幻の名作」ということで、かなりのプレミアムを払って
「初版本」を入手して読んだのだが、その直後に文庫で再び刊行され「幻の名
作」でなくなってしまった。でも期待に違わず面白かった。
①獣の奏者(上・下)(上橋菜穂子)講談社
叙情と冒険を併せ持った美しい異世界ファンタジーで、本当に寝るのを忘れて
読みふけってしまった。どこかで作者が、自らを「現在スランプ中」と言って
いた。本書のような傑作を書いてしまうと、次がなかなか踏み出せないのは判
るような気がする。
②ジョーカーゲーム(柳弘司)角川書店
不思議な雰囲気を持った作品で、まだまだ謎も多い。続編への期待度がとにか
く大きな作品だ。
③青年のための読書クラブ(桜庭一樹)新潮社
直木賞を受賞した作者の作品のなかで最も面白い作品だと思う。この作品と
「赤朽葉家…」の2作品については、昔のライトノベルの作風と、最近の純文
学的な作品の中間にある作品と位置づけられると思うが、そのバランスが好き
なのかもしれない。
④黄金の王・白銀の王(沢村凛)幻冬舎
異世界ファンタジーの幅の広さを認識させてくれた1冊。面白いこともさるこ
とながら、独特の世界に浸っていることの心地よさが際だっていた。
⑤映画篇(金城一紀)集英社
いろいろなバラエティを持った短編集でどれも良かったが、何と言っても最後
の短編のすばらしさには脱帽。深刻なテーマを読者に投げかけるような作品の
なかに納められたほのぼのとした本作品には心がジーンとくる。
⑥有頂天家族(森見登美彦)幻冬舎
とにかく面白くてこちらも続編が気になる作品である。ただしこのテンション
がずっと続くとしたら、どこまでいってしまうのか、それはそれで怖い。
⑦告白(湊かなえ)双葉社
当初は第1章だけの作品だったというのが信じられないくらい、第2章以下の
展開がすごい。いろいろ評価が分かれる作品かもしれないが、私としては高く
評価したい作品だ。
⑧ワンダフルライフ(スティーブン・ジェイ・グールド)早川書房
本年最も読み応えのあった作品。本書に出てくる生物たちの奇妙な姿がなかな
か頭から離れなかった。
⑨ハリーポッターと死の秘宝(J・K・ローリング)静山社
長いシリーズの最終章ということで、これまで楽しませてもらったことにとに
かく感謝したい。
⑩知らなかった!驚いた!日本全国県境の謎(浅井建爾)実業之日本社
いろいろ書かれている事実も面白かったが、私が最も印象に残ったのは、この
本に書かれた日本中で県境を巡る大騒動が勃発していたという事実を通じて判
った「明治時代初期の混乱」「明治政府の苦労」である。道州制の帰趨が気に
なるところである。
次に2008年読んだ文庫本から特に印象に残ったものを3冊。
①聖母の部隊(酒見賢一)ハルキ文庫
名作「エンダーのゲーム」を彷彿とさせる内容のSFだが、それ以上に救いの
ない世界に語るべき言葉がない。桜庭一樹の推薦本で、この本を推薦してくれ
たことで、私のなかでの彼女の評価はさらに高まった。
②イニシエーション・ラブ(乾くるみ)文春文庫
最後の結末の衝撃は、そうそう体験できるものではない。私にとって作者の本
はこの本が最初だった。それで特にそう思ったのかもしれない。乾くるみを未
読の方は、是非この作品から読まれることをおすすめします。
③マイナス・ゼロ(広瀬隆)集英社文庫
絶版になって久しい「幻の名作」ということで、かなりのプレミアムを払って
「初版本」を入手して読んだのだが、その直後に文庫で再び刊行され「幻の名
作」でなくなってしまった。でも期待に違わず面白かった。
映画「ハリー・ポッター」の写真にハリー・ポッターの魔法世界で使われているコインを埋め込んだコレクティブル。2種類あるがいずれも映画のなかで使われたいわゆる「プロップ(小道具)」ではなく、ただこのコレクティブルを製作するために作られた模造品と思われる。従って、これ自体に記念品的な価値があるわけではなく、単なる「ハリー・ポッター」グッズのようなものと考えた方がよいだろう。よく見ると、このコイン、造りもかなり雑である。なお、ハリー・ポッターの世界では、ガリオン・シックル・クヌートと3つの通貨単位があるようだが、このコインがどの単位の通貨で、いくらにあたるかも判然としない。ポッター・マニアの分析によると、ハリー・ポッターの本編には、魔法界のこうした通貨と現実社会の通貨の交換比率を示す記述は1つもないそうだが、周辺本に交換比率に関する記述があるそうで、それによると1ガリオン=550円、1シックル=300円、1クヌート=1円程度になるとのことである。
映画「ハリーポッター」シリーズでベアトリクス役を演じているヘレナ・ボナム・カーターのサイン。主な出演作は「ファイト・クラブ」「眺めのいい部屋」「ハワーズ・エンド」「猿の惑星」「鳩の翼」等。各種の映画賞を数多く受賞している名女優である。ハリーポッター・シリーズでは、メイクのすさまじさもあり、主人公の敵役の中で際だった存在感を見せている。ハリーポッターの最終章の原作でもベアトリクスは重要な役割を演じており、同シリーズでの彼女の活躍はまだ続くように思われる。オスカーはまだ手にしていないが、最近の活躍振りを見ているとそれも時間の問題だろう。サインは、ミドルネームまでしっかり書かれたフルスペルという、全く手を抜いていない大変素晴らしいサインである。彼女のサインは、このハリーポッターのものとチャーリーの母親役で出演した映画「チャーリーとチョコレート工場」の写真のものと2種類が存在するが、どちらもかなり入手は困難である。
2005年にデビューしたNHLコロラドアバランチの若きゴールテンダー、ピター・ブダイのユニフォームをあしらったコレクティブルである。NHLでの成績は3シーズンで120試合に出場、アバランチという強豪チームであることもあり、61勝31敗と立派な数字である。Save率もコンスタントに.900を超えている。今シーズンから第一キーパーとしてプレーしており、今後の活躍が大いに期待される。
作者の最新作である本書は、第一部「ファミリーポートレート」第2部「セルフポートレート」という2部構成になっている。内容も時間軸も連続しているのだが、後半を読み進めるうちに別の作品のようになっていく。第一部は直木賞受賞の「私の男」と類似性の高い内容だ。前作が「男女の親子」本作が「同性の親子」という違いはあるものの、極めて特殊な親子関係が描かれている。そして後半の第2部では、内容が徐々に内省的になっていき、終盤になるとほとんど自伝か日記のようになっていく。ただし、第一部と連続したフィクションであり、その点で「私小説」とは全く趣は違う。少しずつ作風・想定読者を変化させ続けている作者だが、本作のなかでまた変化しているように見えるし、直木賞を受賞した路線に止まらずさらにどのように進化していこうかと試行錯誤しているようにも見える。個人的には、「赤朽葉家…」とか「青年のための…」あたりのライト・ノベル的な要素を残した作品に近いところ逆戻りして欲しいとも思うのだが、そうした期待とこの作家の思いは全く別のようだ。陳腐な言い方だが、作者は現代人の心の中の「荒野」を彷徨っている。だから作者にとってはどんな内容でも作風でもかまわないのかも知れない。以前作者の作品を読んで「大きなリスクを背負って書いている」と感じたことを思い出したが、この作品は、その点からもそのリスクの内容、リスクの大きさが良く判る。大変危ない領域に踏み込んでしまっているようにも思えるのが気になる。これまでの軌跡は良く判った。これからどこに向かって動き出すのか期待と不安を持って見守りたい。(「ファミリー・ポートレート」桜庭一樹、講談社)
戦前、ターザン役で一世を風靡したジョニー・ワイズミューラーの衣装をあしらったコレクティブル。但しここにはさみ込まれた衣装はターザンの腰巻きではなく、ジャケットか何かの一部のように見える。オリンピック2大会で金メダルを獲得後俳優業に転身したが、俳優としての彼はターザン役以外ではほとんど見るべきものはなかったようだ。晩年は痴呆症を患うなどで不遇のうちになくなったとのことである。
NHLのダレン・マッカーティーのユニフォームをあしらったコレクティブル。デトロイトで11年間プレーした後、カルガリーに移籍し、いったんNHLを退いたが、再び昨シーズンの途中に古巣のレッドウィングスに復帰した。名選手がキャリアの最後を思い出のチームでプレーするというのはNHLでは特に多いように思われる。彼もまた、レッドウィングスの黄金時代を支えたプレーヤーの1人であり、プレーオフなどで、意外なところで意外な活躍をみせる選手という印象が強い。
60年代から70年代の実写版TVドラマ「バットマン」でロビン役を演じていたバート・ウォードのコレクティブル。実際どのような俳優が演じていて、素の顔がどんなだったのかあまり記憶にはないのだが、使われている写真は当時のもののようで、何となくわかるような気もする。IMDBで彼のことを調べると現在63歳とのこと。「バットマンのロビン」以外の出演作もいくつかあるようだが、いずれもB級映画のようである。当たり役の印象が強すぎて、大成しなかった俳優の典型例である。
TVドラマ「ヴェロニカ・マーズ」でギア・グッドマン役を演じていたクリスティン・リッターのサイン。私が知っている作品への出演は「ヴェロニカ・マーズ」だけだが、その他のTVドラマにはちょくちょく出演しているようだ。「ヴェロニカ・マーズ」以前の出演は1回だけの端役ばかりだったが、「ヴェロニカ」以後は複数回出演の作品もいくつか見られるようになっており、徐々に売れ始めていることを窺わせる。
007最新作のジェームズ・ボンド役、ダニエル・クレイグの衣装をあしらったコレクティブルである。このコレクティブルは彼が映画のなかで使用したシャツ、ズボン、ジャケットという3種類の衣装が埋め込まれた豪華版だが、以前紹介した初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーのコレクティブル(2007年12月8日紹介)などに比べて、人気は今ひとつのようである。彼が新しいボンド役に決まった際の騒動、かれの風貌がイアン・フレミングの原作やこれまでのボンド役の俳優のイメージと全くかけ離れており「ボンド役にふさわしくない」というものすごいバッシングが起きたことに関係しているのかもしれない。あの騒動が結局どう終息したのかはよく知らないが、そうした事件がこうしたコレクティブルの人気にも大きな影響を与えることが良くわかる。
表題作と「ヘルター・スケルター」の中編2編を収録した本書。作者の本は何冊か読んだことがあるはずなのだが、題名などがあまり記憶にない。あまり特徴のないミステリーだったからか、それとも決定的な代表作のようなものがないからかは判らないが、題名と作者を結びつける記憶があまりないのだ。また最近では、日本の「本格ミステリー」の教祖的存在ということの方が有名になってしまっているようにも思われる。本書を読むと、そうした印象が何かの間違いのような気がしてくる。作者の作風が変わったのだろうか。ここに収められた中編2編はいずれも、本格ミステリーではなく、ペダンチックな語り口が際だつSFだ。その濃厚さに教祖的な要素が十分に表れているようで面白い。また、「ヘルター…」でシャロン・テート暗殺や集団自殺で有名な新興宗教の教祖チャールズ・マンソンを扱っているのも、自分が教祖的な存在になっていることを意識しているようで面白い。(「エデンの命題」島田荘治、光文社文庫)
TVシリーズ「スターゲート・アトランティス」でメレーナ役として出演したキアラ・ザニのサイン。出演作60本を超える売れっ子である。声優としても活躍しており、日本のアニメ「犬夜叉」の由良役の声を担当していたりしている。珍しいところではアニメ「とっとこ・ハム太郎」英語版のハム太郎の声が彼女である。
MLBサンディエゴ・パドレスの投手、マーク・プライアーのサイン。2001年のドラフトでシカゴ・カブス第1巡指名(全米2番指名)、「ネクスト・ロジャー・クレメンス」というあだ名で鳴り物入りの2002年メジャー・デビュー、2003年には18勝でサイヤング賞得票第3位の活躍と、ここまでは大変順調だったのだが、2004年以降は怪我等のために満足に出場できないという不幸が続いている。不幸の始まりは2003年のプレーオフの時、ファールフライを観客がキャッチするアクシデントで試合の流れが変わり、リードしていたシカゴ・カブスが大逆転されたという有名な話があるが、その時カブスで投げていたのが彼であった。それ以来、不幸の連続というから、スポーツというのは恐ろしいものだ。松坂投手なども、くれぐれも怪我には気をつけてもらいたいと。彼をみているとそう思う。
最近読んだ「就活のバカヤロー」が面白かったので、著者の本をもう1冊と思い、本書を読んでみた。こちらは、「就活‥」ほどインパクトはないが、「就活‥」以上に数字や事例に基づいた地道な分析や著述が面白かった。特に「就職情報サイトの登録情報が転職情報に流用されている疑いがある」との指摘は、今の就職を巡る問題の本質を突いたような指摘で大変興味深かった。もし本当であれば、企業にしてみれば「就職サイトでお金をとられた上に(情報の流用で)人材流出に悩まされる」という許しがたい状況ということになる。この着眼点はよく知られた話なのかもしれないが、私には初耳だったので大変面白かった。(「転職は1億円損をする」石渡領司、角川oneテーマ21)