シジュウカラを主として鳥の生態に関するフィールド調査を行なっている研究者がこれまでの研究成果を綴った一冊。著者自身初の単著とのことで、今世界的に注目されている研究者の大学生時代から現在に至るまでの研究成果を楽しく知ることができる内容だ。学部生時代から修士課程にかけてのテーマである「鳥が見つけた時の鳴き声の法則性」を調べているうちに、それぞれ違った鳴き声には違った意味があり、その鳴き声は単純な「感情表現」ではなくある対象物と一対一の関係にある言葉であること、さらに鳴き声(=言葉)の組み合わせに簡単な文法が存在することなどを次々と突き止めていく。最初の世界的発見の経緯がとても衝撃的で、ヒナのいる巣にカラスが近づくと親鳥は「ピィーッピ」と鳴き、ヘビが近づくと「ジャージャー」と鳴く。その声を聞いたヒナは「ピィーッピ」ならば巣の中で息をひそめ、「ジャージャー」だと渾身の力で巣を飛び出すという。カラスには巣の奥まで嘴が届かないことを知っていて存在を気づかれないようにしてやり過ごすが、ヘビに見つかると確実に食べられるので巣立ち前でも無理をして巣を飛び出すということらしい。さらに一番驚いたのは、別の種の鳥同士(例えばシジュウカラとコガラ)でお互いに鳴き声の意味を理解し合っているという話。これをルー語(藪からスティック、寝耳にウォーター)に例えて改札していてめちゃくちゃ面白かった。その他にも、自宅の巣箱の話、船の中のヒナの救出作戦、動物研究者の顔つきや仕草がその研究対象に似てくる話、など楽しい話が満載。鳥類研究者の本は、研究が忍耐を必要とするので研究対象である鳥を擬人化したりしていて読んでいて楽しいことが多いと以前書いたことがあった。本書でも何気なく「10分ほどで」とか「2週間観察を続けると」とか書いてあって、その忍耐強さに驚かされるが、本書の面白さはそれに加えて発見される事実そのものが面白い。本書はこれまでに読んだ科学分野のノンフィクションの中でもピカイチに面白かった。(「僕には鳥の言葉がわかる」 鈴木俊貴、小学館)
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