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よるのばけもの 住野よる

著者の本はこれで3冊目だが、どれも本当にすごい作品だと思う。処女作も第2作目の作品も、じわじわと売れていてロングセラーになっているようだが、最新刊の本作もそれらに勝るとも劣らず心を打つ傑作だ。今回の作品のテーマは「いじめ」問題だが、「大人が介入しても事態は好転しない」「とにかく今を乗り切れ」といった一見まっとうにみえる大人の対応などは完全に遠景になってしまっていて、当事者と当事者の心のつながりとすれ違いが克明に描かれる。処女作同様かなりドキッとする題名だが、著者の知名度も上がっているので、今回はすんなり買うことができた。一人のファンとして、主だった国内の文学賞を総なめにする日も近いのではといった期待を抱くほどすごい作家だと改めて感じた。(「よるのばけもの」 住野よる、双葉社)

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