『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想212  蛇行する月

2017-04-01 20:01:30 | 小説(日本)

読書感想212  蛇行する月

著者      桜木紫乃

生年      1965年

出身地     北海道釧路市

 

☆☆感想☆☆☆

 北海道の釧路湿原の端にある道立湿原高校を卒業した女の子たちがそれぞれの今を語るなかで、順子という友達の存在が浮かび上がってくる。そして順子と関わりのある二人の女性も今を語りながら、順子のその後がわかってくる。順子自身に語らせてはいないが、この本の主人公は順子である。

目次で語り手がわかる。6章からなっている。

1章       1984 清美。

清美は高校卒業後、地元の割烹ホテルかぐらの営業社員として働いている。酔客に体を触られる日々。そんな頃、札幌にいる順子から東京に行くという電話があった。順子は高校時代、現代国語は百点、それ以外は赤点を採り続けるほど、現代国語の教師の谷川に入れ込んでいた。告白することを決意した順子は夏休みに谷川の教員住宅に押し掛け、大騒動が持ち上がった。そんな順子にたいして、清美には「いないよりはマシ」の恋人がいるが、相手も清美には関心がないと感じている。

2章       1990 桃子。

 釧路と東京を結ぶフェリー、シーラブ号の乗務員として桃子は働いている。同じ船の妻子持ちの乗務員と不倫関係にある。

3章       1993 弥生。

 札幌の創業80年になる老舗の和菓子屋の跡取り娘。婿養子だった夫が店の従業員だった若い順子と駆け落ちをした後も、店を守ってきた。夫の居所がわかり、失踪宣告の手続きをするか、離婚するかを決断するために、夫と順子の住む東京へ向かう。

4章       2000 美菜恵

 美菜恵は高校時代に淡い恋心を抱いていた谷川に同じ高校の教師として再会。そして結婚することになる。

5章 2005 静江 

 スーパーで水仕事をして一人の生計を立てて暮らす静江。娘の順子の居所がわかり、東京に会いに行く。

5章       2009 直子

 直子は釧路で看護婦として働いている。スキューバーダイビング仲間の若い看護婦の美野里が沖縄で働くことになり、独身の直子は順子に会いに東京へ行く。

 産業も衰退し、地元に残ってもいい就職先もなく、都会に出ても十分な力は持ち合わせていない。そんな若者の鬱屈した思いが伝わってくる。

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