『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想192  子盗り やまんば

2016-02-25 23:32:22 | 小説(日本)

 

著者      大宮千草

絵       多屋光孫

出版年月日   2015年9月15日

出版社     (株)文芸社

 

☆感想☆☆☆

童話の絵本。山姥の伝承をもとに、子どもを失って狂って探し回るうちに山姥になった母が、天災で親を失い飢餓に苦しむ子供たちを救って、山奥で楽しく暮らす物語。子どもを失った母が親を失った子どもたちによって悲しみを忘れ、新しい生きがいを見つけて立ち直る。山のかなたに歩いていく山姥と子どもたちには「山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう」の詩が浮かんでくる幕切れで、いつまでもお幸せにと声をかけたくなる。

絵も可愛いし、山の描写が美しい。例えばプロローグ。

 

  「クエーン」

 雉子が、するどくひと声叫んでとびたちました。すると、ひんやりした山の空気がざあっと動いて、秋草の匂いがたちました。ざざっざざっと、草々、枝々をかき分ける音がします。何かけものがやってきたのでしょうか。尾花がたおれ、紅の水引草がふるえました。

 それは、神す山の巨大でなんとも醜いやまんばでありました。

 

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