ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

1987年 ニューディレクション

2010-03-22 22:09:04 | 歌舞伎
私が、スーパー歌舞伎10作に満たないから、苦肉の策(?)で、『新・水滸伝』を入れて、
【新作・スーパー歌舞伎十番】としたのかな~というような事を書いたおり
古くからの猿之助さんの御贔屓の方からメールを頂いたのですが
ニュー・ディレクションに言及されていらして、
舞台のスケールという点では、私も、こちらの方が、
何か猿之助さんの新しい試みとして、特筆されるべきもののような気がしました。
ただ、これは「ニュー・ディレクションシリーズ」として継続されることはなかった。
この87年の一度きり。

当時は、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」に続く実験歌舞伎第二弾として
ニュー・ディレクション(新演出)歌舞伎の企画を考えた、と紹介されていましたが。
ニュー・ディレクションのあえて、パートワンに古典中の古典『義経千本桜』の
二段目『碇知盛』と四段目の道行『吉野山』に挑戦とも筋書に書かれているので
ゆくゆくは、こちらも継続される心づもりでいらっしゃったのでしょう。
この時、ニュー・ディレクションの題材としては、南北物が文句なく一番やり易いとも記述されていて
(けれど、先に記載したように、あえて、古典中の古典を選択)
のちに、コクーン歌舞伎の第一作目が、東海道四谷怪談だったのも納得です。
ニュー・ディレクションも(私の個人的な印象ですが)コクーンも、歌舞伎のベースを押さえつつも
一番、大きく違うというか、実験しているのは照明の使い方と感じた。
正直、碇知盛の舞台構成を、あまりはっきりとは覚えていないのですが、
吉野山の舞台が非常に幻想的で美しく「美しく咲き誇る桜の許には、死体が眠っている」
という言葉(ちょっと文言違うかも)を想い浮かべたのを強く記憶しています。

「新作」という意味では、新・水滸伝は、スーパー歌舞伎に近かったのかもしれませんが
その時の実験の精神とか、手法の創造という点においては、ニュー・ディレクションの方が
より、スーパー歌舞伎の類型に入るような気もします。

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