ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

雪之丞変化2006開幕!!

2006-05-07 20:34:34 | 歌舞伎
スーパー歌舞伎でのメッセージは大丈夫だったのに、
この雪之丞、初演時、私は結構、引いてしまったのでした。
以前にも書いたような気がするのですが、
「御曹司はゴルフでもしていろよ」という台詞に
そこまで言わせる?と、ちょっとダメだったんですね。

思想とか理念の対立とか、そういうことで
ぶつかり合うということなら、いくらでもオッケーですが
なにか、これって、八つ当たり的というか、あてこすりというか
すごくフェアじゃない感じがしてダメでした。

雪之丞初演(90年)当時は、仕事が本当に忙しくて
お芝居もほとんど観に行けてなかった頃だし、
たぶん、1回くらいしか観てないかな?
(でも、今回の上演決定の際、過去のチラシとか
ファイルを探したとき、半券が2枚くらいあったような気もする)
今日、中日劇場で初日を観て、あれ?こんな筋だったっけ?
(今回のために書き換えられた部分は除く↑)と思うような処と、
断片的だけど、しっかり記憶に残っていた箇所がありました。

前回ダメだった(←私が)DJシーンは、
ネットの自殺サイト、となっています。
DJシーンも、90年代の芝居にしては、
70年代チックな設定だな~と思ったけれど、
ネットシーンも、なにか語る内容は70年代チック。
頑張ってネット用語な台詞廻しだけれど。
いや、もっと古く60年代ころ(加藤和彦さんの青春世代?)でも
オーバードラックやリストカットでの「自殺」は若者の間に
あったから、2006年の「今」でなく、
なにか、この自殺願望の若者たちとブンタ
(自殺を止めようとするトラック運転手)とのやりとりは
懐古的な印象を(私は)受けました。

ちょっと小劇場系のソレって感じのお芝居(演技という意味)
を、歌舞伎組(六人だけでなく、一門の役者さん含み)
がやる必然があまりよく分からないけど
シンプルな感想では、ユキヒコの段ちゃん、
フツーにカッコ良かったですけどね!!「自殺サイトの人」たちも。

離島の老看護士さん、老救急隊員(なの!?)も
すごい設定でびっくりしましたが、演じてる人たちが
みな楽しそうで、それが、役柄の
「年を取っても前向きに生きている」に通じてもいます。

個人的に落ち着くのは、やっぱり江戸時代に入ってから。
芝居も、すとんと腑に落ちてくる。
まあ、闇太郎の存在があることで、かなりSFファンタジー的な
甘い要素も入ってきますが、人間は「物語」を必要としている
というテーマも含まれているので、
このお芝居がリアリズムだけで描かれてないのは、
物語必要と語るそばから、それを提示しているという
ウィットを、ワタクシは密かに感じています(笑)
(脚本家という職業が必要とされる、横内さんの自己肯定とか・笑)

役者さんたち、演技そのものとしては
みなそれぞれキャラが立っていて良かったです!
段治郎さんの鷺娘は、ちょっと身体が女形になって
なかったかな。雪之丞ではなく、雪太郎(具体的役名は
プログラムに表記されてないけど、この字でオッケーかな?)
が踊ってたような…
あと、ラスト、自害した雪之丞を迎えにくる浪路
笑也さん、こういう象徴的な役は得意のはずだけど
表情が、すでに、タカミヤチックでした…
化粧同じまま替わらなくてはならないから、
難しいとは思いますが…

大変だな~と思ったのは、右近さんの宙乗り。
宙乗り史上、もっとも簡素な拵えだったのではないでしょうか?
あの、何も装飾されない、ほとんど素に近い扮装で
あの飛行距離を見せ場として持たせなければいけないのは
ホント、大変だと思います。
最初の頃、チラっとアナウンスされた、「3人宙乗り」
@闇太郎の星へ飛ぶ場面、でも、よかったのに~とも思いました。
いや、右近さん、すごくよく頑張って持たせてましたけど。

装置というか大道具、非常に良かったです!!
これは初演当時から、評判良かったんですよね。
私は、その時は、そんなに思わなかった(というか
芝居に入り込めていなかった)のだけど、
今回、つくづく、よく出来ているセットと感心!!
「橋」の使い方が、とても効果的。

脚本自体の感想としては、
シミジミとしてしまう科白もあり良かったのですが、
やっぱり説明過多な部分もアリ。
もっと削ぎ落とし(←主に科白の問題)た方が
逆に、深く届くような気もします。

音楽がね~これが、ヤマタケ&パート3!
使ってますよね?(笑)
いや、すでに、加藤さんの楽曲「合方」ですからいいけど。

今日、同じく遠征だった子たちのツッコミ&レスが
面白いので一部紹介。みなベースには「愛」があっての発言なので
怒らないように(←誰に向かってのエクスキューズ?>自分)
帰郷の新幹線車中から、皆様みそカツ弁当食べたり
ビール飲んだりしながらのメールです(爆)
(私は明日まで名古屋です。)

※離島の無線LAN接続についてはどうなのよ?
※無線LANじゃなく、AirH(←でしたっけ?)とかの
 モバイル用カード使用してたんじゃない?
 携帯の中継局は、たぶん、夏に釣り客がくるから設置されてるんだよ。
 今は、沢に下りなきゃたいていの山で携帯通じるから 海でも同じなんだよ。

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女形の夕べ

2006-05-07 03:04:45 | 歌舞伎
◆中村芝雀丈、中村福助丈、市川亀治郎丈の三人によるトークショー◆

5月6日(土)、5月12日(金) 21~22時。
新橋演舞場地下2階「ラウンジ東」

会員2500円 同伴・一般3500円
定員150名、各後援会50名まで。お問い合わせ:各後援会

ということで、一般3500円也~で参加。
メチャクチャ面白かったです。司会の(なのか?)福助さん(爆)
いや、予測はしてましたけど、喋る喋る喋りまくる~!!
意図しないボケっぷりの(←失礼!!)芝雀さん。
いや、ボケているのではなく、おっとりとしたご性格なのか。
或いは、単に福助さんとはテンポ違うだけかもしれませんが。
ほっとけば、たぶん、やっぱり喋り倒すタイプの亀ちゃんは
本日は先輩お二人に挟まれ、お行儀よくちんまりと(笑)
(あ、別に普段が行儀悪いってことではないですが)

すでに、眠くて記憶があやふやですが、明日から中日遠征なので
只今のうちにアップ。怪しいところは参加の皆さま、ご指摘を~。

まだ、演舞場観てないのですが(って観れるかしら今月。
自分のスケジュール的に、歌舞伎座も演舞場も今月無理かも…)
亀ちゃんが切りギリギリまで出演なのかな?
まずは、芝雀さんと福助さんお二人での登場でした。

自由席だったので、同行者と雛壇上の椅子三脚を眺め、
澤瀉ファン的には、亀ちゃんがどこに座るかによって
自分たちの席も決めよう…と言っていたのですが、
やっぱり一番先輩の芝雀さんが下手(←食堂入り口より一番遠い)
真ん中が福助さん、亀ちゃん上手じゃない?と。
では、自分らは亀ちゃんの様子が見やすい、下手に席を取ろう!
と、一応、こういう事をチマチマ(笑)考えるんですね。

ところが、芝雀さんが下手に席を取ったのは想定内(←まだOK?)
なのですが(何気にやっぱり福助さんが、どうぞ、と勧めていた)
福助さんは「亀治郎座らせよう~」と真ん中を空けて
上手の席へ。お陰で私は、福助さんのお顔がよ~く見える
ポジションとなりました。(いや、いいのですが(~_~;))

芝雀さんは、きっちりスーツにネクタイ。
福助さんは白いジャケットにラフな黒いシャツ。
ご自身で、服装見ても分かるように、この統制のなさ、
自分ホストみたい~と自主ツッコミされてました。
その話術で「接客業」十分イケます。
も~お兄さんはきちんとしてるのに~とかなんとか
洋服ネタで引っ張る福助さん。
「僕は、これ(スーツ)でなければ、ユニクロしかないですから。」
との説明をする芝雀さんに、すかさず、
「“しか”って、それじゃ、ユニクロ悪いみたいじゃないですか~」
と返す福助さん。
「いや、悪いということではなく、ユニクロってカジュアルでしょ?
こういう場に着てこれるような、中間の服がない(からスーツになる)」
と、真面目に返す芝雀さん。いじり甲斐のありそうなキャラです(笑)

そして、そこから唐突に、芝雀さんを新婚さんとご紹介。
奥様は和装小物のプロデュースをなさる方で、
お教室も開いているとのこと。
「お兄さん、なにかあっても左団扇でいいですね~」と
(奥様がビジネスを展開されているという意味で)
「女形の夕べ」最初のテーマ(!?)は、
福助さんによる芝雀さんのヨメ紹介トーク!!
いきなり、新婚・奥様ネタで、予測してなかったのか
ウッ!と詰まっていた芝雀さんも、福助さんが弾丸トーク
している間に態勢を立て直したのか(笑)
「(福助さんが妻を)気に入って頂けた様で嬉しいです。」
と切り返したところで、場内爆笑。

そんな、フランクな雰囲気のスタートに和みまくりました。

10分くらい?遅れて、亀ちゃん登場。
お二人も(っていうか福助さんが)聴衆も
亀ちゃんがどんな服装で来るか期待大。
(フェイントで浴衣だったりして~!と、自分予測)
白のラフなジャケット(スーツタイプではない)に
淡いイエローグリーンのシャツ。ネクタイなし。
真ん中に着席するよう言われても、特に躊躇もせず(笑)

っていうか、やっぱり歌舞伎の役者さん見てて
いつも思うことですが、上下の関係って
年齢で明確にはっきりしてますよね。
それが、お仕着せのキツキツな感じでなく、自然体で
先輩に言われたことは、すっと受け入れる、みたいな。

何故か先輩より後輩二人がラフな服装であることに
拘泥する(笑)福助さんは、女形は意外とその辺り適当。
立役さんの方がきっちりしてると、
化粧前の状態なども持ち出して力説。
玉三郎のお兄さんは、きちんとしてらっしゃるけど、
結構、化粧前は女形の方が乱雑(とは言ってないか(~_~;))
なケースが多いと。
今、一座している播磨屋のお兄さんも整頓されてるし、
松嶋屋のお兄さんとかもそう。

ウチ(福助さんち!)も弟(橋之助さん←べっしー&私と誕生日一緒♪)
の方がきちんとしてて、なにか、喋りながらも拭いてる
(手で化粧前を拭く仕草で)と。
だから、(ズバリ言うわよ!で?)「5年以内に離婚する」とか
言われちゃうんだよ~厚子ちゃんのせいじゃないよ
(って寛子さんの本名?↑)弟のせい(細かいから)だ~と。
福助さん自虐ネタから、家族ネタからサービス精神満載すぎ。

―このあたりからすでに記憶が怪しいので話題は順不同!―

家族ネタと言えば、お互い家で親とはどうか?みたいなフリを
(やっぱり福助さんがして)
芝雀さんちは、あまり、芝居のことは話さないそう。
たとえば、毛谷村みたいに、雀右衛門さんの当り役を
する時などは、細かく指導してもらうのではないか?との
福助さんの更なるツッコミにも、
いや、父自身は当り役とは思ってないみたいです~!
との予期せぬ回答が!!
ということで、あんまり父子の対話はないみたい。

亀ちゃんも、父と役どころが全く違うので、あまり
アドバイスとか、そういう話はない、とクールに回答。
澤瀉屋のお兄さん(猿之助さん)は?と重ねての問いがあり
「言わないですね~。よっぽどマズイと言われるけど」
やはり、あまりアレコレ話さないという亀ちゃんの答えに
福助さんが児太郎時代、一座していたときには
「よく芝居の話した。もう、朝まで話してたよ~」
だったそうですが。

で、芝翫さんとはどうか?という回答はナンでしたっけ??
福助さん、自分で話題を次々振っておきながら
ひとつの話題が締結(爆)する前に、更に違う話に飛んでいる
ことが多々あったので、ちょっと忘れてしまいました。
(あ、でも聴衆を飽きさせない、面白い司会っぷりでしたけどね
ってだから、司会?←これは福助さん自身も突っ込んでました。
なんで、僕、聞き手になってるんでしょう~と。)

決闘!高田馬場は、福助さんもかなり気に入った(気になった?)
みたいで、この話題にも相当ツッコンでましたね。
(芝雀さんはご覧になってないようで、この間しばし沈黙)
三谷さんは、亀ちゃんの事知らなかったので
(勘太郎くんや染五郎さんとはすでに仕事してた。ので
アテ書き可能状態だった。)
亀ちゃんを知るために児雷也観にいったとか、
萬次郎さんの事、気に入っちゃったんだよね~お梅婆さん♪とか、
袖に3人一緒の楽屋があった(染、勘、亀)とか、
(↑早替りのため、ホントの楽屋に戻る時間がなかったのでしょう)
まあ、よくご存知で(笑)
勘太郎くんが着用していた法被で、今度三社担ぎにいくと
張り切っていた、バカだね~とも。

人形はどうしたの~と、染五郎人形には青髭があったのに
何故、亀ちゃんのにはないのか?とか
(結構、彼も濃いよね←澤瀉遺伝子)
あの犬(庄左衛門が連れていた)は趣味?とか質問責め。
ちなみに犬は三谷さんの趣味。
亀治郎人形は髭はないけど、顔が丸く創ってある
(ことで、亀ちゃんの特徴を出している)と、そつなく返答。
福助さんが、「あの男の子(右京のことでしょう)は
ホント伯父さんに似てるよね~」と、私たちが思ったのと
ソックリな感想を。(↑思いっきり頷いてしまいました。)
福助さんの口から、何度か「澤瀉屋のお兄さん」と発せられたのが
なにか、とっても嬉しかったですね~!!
私が、観始めの頃は、福助さん、猿之助さんの相手役でしたし。

コクーンは気にならなかった?という問いもあり、
亀ちゃんは、別に気にならなかった、と回答。
逆に気になっていたのは勘三郎さんの方ではないかしら?
(↑これは、ワタシの私見です。)
パルコに乱入したことも、当然、福助さんはご存知で、
勘三郎のお兄さん来たでしょ?
でも、染五郎も(コクーンに)来たしね、と
パルコについても語りまくる、福助さんでした。

あ、染ちゃんについては、本名で呼びかけていたけど失念。
亀ちゃんが「染五郎のお兄さん」と呼んだことに
福助さん、仰け反ってました。
福助さんの中では、19歳で水天宮の姉娘をやったときに、
妹役が7歳の染五郎さんだったそうで、
あ~ひとまわりも違うのか~と思っていた子が、
「お兄さん」と亀ちゃんに(!)
呼ばれていることが、ショックだったみたい。

芝雀さんとは、歌舞伎鑑賞教室の話題も。
6、7月と鑑賞教室にご出演されるそうです。
如何に飽きさせず、学生たちを引き付けるか?
ということについても言及されていたようですが、
昨年の大盛り上がりの鑑賞教室を体験している身としては
それは、やっぱり創意工夫に拠ると思います!!
と心の中で、勝手にトークに参加してました。
以前、あまりにも煩い生徒を見かねて注意した役者さんが
いたそうですが、その月の投書の3分の2くらいが、
その「注意したこと」に対する(批判)内容だったそうです。

これについて福助さんは、やっぱり「注意する」事は
控えたいと言ってました。たとえ、学生に非があろうとも、
せっかく歌舞伎を観に来た思い出の記憶に
「怒られた」ことが残るのは残念という主旨のようです。

今月の舞台については、芝雀さんが福助さんの道成寺について
「子供さんたち引き連れて」と仰ったところで
「全部自分のコじゃないですからね!!」と。
亀ちゃんの二人三番叟については、澤瀉の家の芸だよね
確か、おじい様が…と福助さんが解説を始めたところで、
「初演はひいおじいさんと、おじいさんです」と
亀ちゃんが引き取り、なかなか大変、踊り競べと言われてるけど
まだまだ、覚え競べのレベルですと俯瞰した発言。
芝雀さんは、ご自身のお役に(昼の序幕のひと夜だったかな?)
納得いかない部分があり、でも、
今日くらいで初日が出たかな~とも仰ってました。

吉右衛門劇団とは言わないけれど、
吉右衛門さんを中心に、若手も一生懸命勉強して
演舞場の5月の歌舞伎を盛り上げたいというようなお話も
(福助さんが)されてました。
このトークショーについても、吉右衛門さん、
とても良い企画と凄く乗り気で、
「出たい!!」と仰っていたそうですが、
「女形の会なので、お兄さんが女形に転向されたときにして下さい」
と丁重に、お引取り願ったそう(笑)

まだまだ、書ききれてないのですが
そろそろ、夜が明ける前に(笑)
遠征準備。何もパッキングしてないので。
J社の「出張応援歌」プランをチョイスしたら、
無駄に早い時間帯の新幹線しか選べなかったので、
東京駅に向かうために、明日、てか今日、5時には家出します…
(初日開演13時なのに(ーー;))

でも、福助さんのお話聞いてから(過去の舞台のこと、細かく
記憶してらっしゃる!!ご自身のことだけでなく、
先輩、同輩、後輩のもろもろの舞台のことも!!)
かなり、歌舞伎モード復活。やっぱりいろいろな舞台観たいなぁ~と。

―え~忘れてなければ、遠征終了後、続く―

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