ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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新橋演舞場五月大歌舞伎:千穐楽観劇!

2006-05-26 01:02:08 | 歌舞伎
…というワケで多方面に不義理をし?一日演舞場に引き篭もり~。
なにか、すっごい久々に「歌舞伎を観た」気分になりました!

5月25日(木)

【昼の部】

『ひと夜』

昭和39年歌舞伎座以来の上演だそう。
前回はおとよを雀右衛門さんが襲名興行で演じられ、今回は芝雀さん。
福助さんが、昭和39年の…というお話をされていたのは
このお芝居の事だったのかしら?(ちょっと詳細まで記憶になし)

朝遅刻してしまい、最初の20分くらい観れなかったのですが、
気楽に見られる小品で面白かったです。

たぶん、殆どの方が未見の演目だと思うので、チラシから粗筋抜粋。

◆大正半ば。浅草に住む日蓮宗の行者田口(歌昇)の家に
おとよ(芝雀)がやってきました。おとよは活動(映画館)の下座
松太郎(信二郎)の女房ですが、夫の嫉妬に苦労し家を飛び出して
きたのでした。東京下町の長屋で繰り広げられる一晩の出来事を通し
庶民の哀歓を描き出します。

おとよは行者の田口をくどかんばかりに、自分の悲運を嘆き一緒に
出奔しよう、くらいの勢いで迫るのですが、夫が迎えにくると
あっさり豹変。そのあたりをコメディチックに描いていきます。
トークで福助さんが「信二郎ヘンだよね~」と言っていた意味、
この演目を見て了解!(笑)

役作りがヘンなのか、彼自身がヘンなのか、そのトークでは
何に対しての「ヘン」かが不明だったのですが、
この「松太郎」のキャラが変!!なのでした(爆)
信二郎さんはその「変なヒト」を忠実に演じているだけです。
ヘンな信二郎さんを見れただけでも収穫!!

『寿式三番叟』

千歳の種太郎くんが、なかなか丁寧に踊っていて好感。
亀ちゃんは本領発揮!と云ったところで、正直
染五郎さん、亀ちゃんと踊ることで損してるかもしれません。

今月、演舞場に通い詰めている友人@播磨屋贔屓からの話では
亀ちゃんの三番叟は評価が分かれてるみたいね、
振りが大きすぎて儀式性から逸脱してるのでは?
という意見もあるみたい…との話も聞いていたのだけれど、
実際大きく動いているのは染五郎さんの方。
亀ちゃんの方が振りは小さい。
でも、動いてない亀ちゃんの方が、空間を大きく捉え迫力がある。
染五郎さんの方が、物理的には身体も大きいし所作も大きいのに
小さくまとまってしまってる。

私は、春秋座杮落しですごいことになっていた舞台が
亀治郎三番叟スタンダードなので、
所作板さん、25日間ご苦労様(~_~;)…と言いたくなるほどの
(ホント、割れるかと思いましたよ。てか、割ってないですか?今月)
ダイナミズムに逆に、プリミティブな祝祭性を感じます。

ちょっと凄いものを観ちゃったな!という感じで、
客席の拍手も大きかった!!
本来は昼夜とも三階席だったのですが友人の好意で
この演目は桟敷で観劇。
間近で、素晴らしいエネルギーの放出を目撃し感動。
内面からも、どんどん溢れ出てくるものがありましたねちゃん。

ちょっとアレ?と思ったのが、傅左衛門社中の鼓。
冒頭、しばらくの間、三人の音が合ってなかった
というか、鼓があまり鳴ってなかったような気がする。

…と書いてるうちに眠くなってきた~続きは後日。

あ、あと、亀ちゃんのお七@人形振りについて簡単報告。
これはですね~意外と出来てませんでした。
器用なところもあるから、無難になんでもこなせるヒトだろう~
と思っていたのだけど。
自分から動いちゃってるんですね。
ほとんどの部分で「遣われて」ない(笑)

ま~私も、直近の(人形振りの舞台の)記憶が、
玉三郎さん、勘三郎さんの妹背山や日高川だったりするので
比べてしまっては酷ですが。

*        *        *         *      
 
実は、この三番叟観ながらボロボロ涙が零れてきてしまって困った。
西桟敷だったので、(ん?演舞場は西とか言わないんだっけ?)
最初の出端では、亀ちゃん(染五郎さんもですが)顔が殆ど見えなくて
そのまましばらく客席を背にしてしまうでしょう?
拵えをしてもらって、ぱっと客席側に向いた時の顔が
あまりにも猿之助さんそっくりで。
パルコのときは、そのそっくりさに笑ってツッコミいれたのだけど
踊っている姿を観ているうちに、やっぱり表出の仕方とか
踊りや演技の質のありかや、何か根源的な部分で似ているのだな~とか
これは、ホント、個人的感傷で泣けてきた。

もう、猿之助さんの不在にはだいぶ慣らされてきたかな~と
思っていたけれど、リアルに切ない想いが甦ってきてしまった。

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