春学期にャsュラーカルチャー関連の授業を教えようと思っていることもあって、アメリカのアニメファンに関する初のドキュメンタリーだという、Otaku Unite! (Eric Bresler, 2005)という映画のDVDを購入。昨日観てみた。
私がアメリカにきた90年代初期は、日本のバブル経済の終わりの時期。当時は日本について学びたい、授業をとりたい、という学生は、ビジネスや経済への興味からくる学生たちが多かった。今は、その層はおそらく中国研究などに移動したのだろうか。ほかには、交換留学を経験したり、大学卒業後にJET programなどで日本に行き、日本研究にはいってくる人たちもいる。だが、今の学部生の世代で日本に興味をもつ学生は、アニメやマンガファンが急速に増えて来ている。以前教えた授業では、「原宿ファッション」に興味をもっている学生もいた。いづれにせよ、ャsュラーカルチャーに惹かれて、日本に興味をもつケースが圧涛Iに増えて来たわけだ。
考えてみれば、90年代に、近所のブロックバスタービデオに「まんが日本昔ばなし」がおいてあって驚いたりしたこともあった。当時は日本アニメ=エロ、というイメージがあったのか、「まんが日本昔ばなし」がいわゆるPG-18(「親といっしょに見ない限り18禁」)コーナーに置いてあったのに笑ったので覚えているのだ。それが、今や、普通の書店で英訳版マンガが並び、アニメグッズなどを売っている店もかなり増えている。そして、今の日本研究の授業なんかとりたがる学生たちは、日本のマンガ、アニメに関して、ひどく詳しい。
で、肝心のOtaku Unite!である。
http://www.amazon.com/gp/product/B000DZ7XXE/ref=pd_rvi_gw_2/002-2533954-4906447
このアマゾンでの、レビューアーによる酷評レビューと、激賞状態のカスタマーレビューの対比が、なんともいえず面白い。
私は、この映画をけっこう楽しんだ。最初の怪獣レスリングのノリはかなり謎だし、ちょっとコスプレ関係に時間さきすぎて、とくにコスプレコンテストで優勝できなかったのに本気でぶち切れて不満をぶつける男性の映像が妙に記憶に残ってしまい、そこから、アマゾンレビューアーのいう「へんな人たち」イメージが残ってしまうということは確かにありそうである。
だが、アメリカで、最初は日本のアニメが手にはいらず、地下組織のように誰かの家に集まって、知り合いの知り合いの知り合いくらいが日本から手にいれて、ダビングしまくって質もひどく悪いようなビデオを何十人かで食い入るようにみていた時代から、オタクコンベンションが各地で開かれ、参加者も増加している現在に至るまでのオタク文化シーンの歴史的変遷の描写は、とても興味深いものがあった。オルタナティブ文化の要素がある意味強かった、マンガやアニメが、ャPモンやドラゴンボールZのヒットで、アメリカ文化化していく中での複雑なハードコアなオタクたちの思いとか、アメリカにおいて「オタク」という言葉は、日本ほど通じないぶん、ネガティブな意味合いも低く、プライドもって使っているという人たちもいたりとか。
また、アメリカでのオタク文化が90年代に急激に広がり、主流化した背景にインターネットがあった、ネットを通じて今まで地下状態だった情報が爆発的に広がったのだという指摘には、なるほど、そうだよなーと思った。たぶん、90年代のとくに後半から現在までのどの社会現象を語るにも、ネットは外せないよね。
90年代はじめには、ミシガン大学でもアニメ上映会を一ヶ月に一度くらいやっている団体があって、わざわざオハイオとかから見に来ている学生たちもいたよなあ、その頃もコスプレとかやってる人たちがいて、びっくりしたのを覚えているが、たしかに素人くさかった気がする。しかし、今やレベルがひどくあがっているらしい。また、その頃教えた人類学のクラスで、自分の所属するアニメクラブのエスノグラフィーをかいてきた学生がいたが、"greater otaku" "lesser otaku" という格付けがあって、日本語ができたり知識が多いと、"greater otaku"として尊敬され、団体内での力も大きくなるとか書いてあったのを覚えている。
監督がわざわざうつした可能性もあるが、白人やアジア系のみならず、アフリカンアメリカンなどマイノリティの「オタク」もけっこう出て来ていて、なんとなく勝手に「アメリカ人オタク=白人」イメージをもってしまっていた私は、ちょっと反省した。アメリカでのオタク系コンベンション、一度くらい行ってみるともっと感じがわかるんだろかな。
そんなこんなで、この映画を授業で使って、学生たちと議論したら面白い映画かもなーと思ったのだった。
「授業でマンガをリーディングとして課す」というのもやってみたいと思っているが、どれがいいか悩むところだ。。
私がアメリカにきた90年代初期は、日本のバブル経済の終わりの時期。当時は日本について学びたい、授業をとりたい、という学生は、ビジネスや経済への興味からくる学生たちが多かった。今は、その層はおそらく中国研究などに移動したのだろうか。ほかには、交換留学を経験したり、大学卒業後にJET programなどで日本に行き、日本研究にはいってくる人たちもいる。だが、今の学部生の世代で日本に興味をもつ学生は、アニメやマンガファンが急速に増えて来ている。以前教えた授業では、「原宿ファッション」に興味をもっている学生もいた。いづれにせよ、ャsュラーカルチャーに惹かれて、日本に興味をもつケースが圧涛Iに増えて来たわけだ。
考えてみれば、90年代に、近所のブロックバスタービデオに「まんが日本昔ばなし」がおいてあって驚いたりしたこともあった。当時は日本アニメ=エロ、というイメージがあったのか、「まんが日本昔ばなし」がいわゆるPG-18(「親といっしょに見ない限り18禁」)コーナーに置いてあったのに笑ったので覚えているのだ。それが、今や、普通の書店で英訳版マンガが並び、アニメグッズなどを売っている店もかなり増えている。そして、今の日本研究の授業なんかとりたがる学生たちは、日本のマンガ、アニメに関して、ひどく詳しい。
で、肝心のOtaku Unite!である。
http://www.amazon.com/gp/product/B000DZ7XXE/ref=pd_rvi_gw_2/002-2533954-4906447
このアマゾンでの、レビューアーによる酷評レビューと、激賞状態のカスタマーレビューの対比が、なんともいえず面白い。
私は、この映画をけっこう楽しんだ。最初の怪獣レスリングのノリはかなり謎だし、ちょっとコスプレ関係に時間さきすぎて、とくにコスプレコンテストで優勝できなかったのに本気でぶち切れて不満をぶつける男性の映像が妙に記憶に残ってしまい、そこから、アマゾンレビューアーのいう「へんな人たち」イメージが残ってしまうということは確かにありそうである。
だが、アメリカで、最初は日本のアニメが手にはいらず、地下組織のように誰かの家に集まって、知り合いの知り合いの知り合いくらいが日本から手にいれて、ダビングしまくって質もひどく悪いようなビデオを何十人かで食い入るようにみていた時代から、オタクコンベンションが各地で開かれ、参加者も増加している現在に至るまでのオタク文化シーンの歴史的変遷の描写は、とても興味深いものがあった。オルタナティブ文化の要素がある意味強かった、マンガやアニメが、ャPモンやドラゴンボールZのヒットで、アメリカ文化化していく中での複雑なハードコアなオタクたちの思いとか、アメリカにおいて「オタク」という言葉は、日本ほど通じないぶん、ネガティブな意味合いも低く、プライドもって使っているという人たちもいたりとか。
また、アメリカでのオタク文化が90年代に急激に広がり、主流化した背景にインターネットがあった、ネットを通じて今まで地下状態だった情報が爆発的に広がったのだという指摘には、なるほど、そうだよなーと思った。たぶん、90年代のとくに後半から現在までのどの社会現象を語るにも、ネットは外せないよね。
90年代はじめには、ミシガン大学でもアニメ上映会を一ヶ月に一度くらいやっている団体があって、わざわざオハイオとかから見に来ている学生たちもいたよなあ、その頃もコスプレとかやってる人たちがいて、びっくりしたのを覚えているが、たしかに素人くさかった気がする。しかし、今やレベルがひどくあがっているらしい。また、その頃教えた人類学のクラスで、自分の所属するアニメクラブのエスノグラフィーをかいてきた学生がいたが、"greater otaku" "lesser otaku" という格付けがあって、日本語ができたり知識が多いと、"greater otaku"として尊敬され、団体内での力も大きくなるとか書いてあったのを覚えている。
監督がわざわざうつした可能性もあるが、白人やアジア系のみならず、アフリカンアメリカンなどマイノリティの「オタク」もけっこう出て来ていて、なんとなく勝手に「アメリカ人オタク=白人」イメージをもってしまっていた私は、ちょっと反省した。アメリカでのオタク系コンベンション、一度くらい行ってみるともっと感じがわかるんだろかな。
そんなこんなで、この映画を授業で使って、学生たちと議論したら面白い映画かもなーと思ったのだった。
「授業でマンガをリーディングとして課す」というのもやってみたいと思っているが、どれがいいか悩むところだ。。