中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

続・25年目

2015-01-17 23:35:00 | 映画・ドラマ
 映画「25年目の弦楽四重奏」の続き。


 いつの世も、争いは女をめぐって起こるもの。

 カルテットは、「個人」とも「集団」とも言いにくい、4人という微妙な人数のチームです。「家族」に近い人数とも言える。それが実際、長いリハーサルの時間、演奏旅行の時間を通じて、本当の家族よりも多くの時間を共有するわけです。異性がいれば、その距離感には気を遣わなくてはなりません。魅力的な「紅一点」でもいればなおさらです。

 …このあたりは、我が山形Qも注意が必要ですね☆

 それはさておき、この映画の四重奏団「フーガ・カルテット」も、男三人に女性一人。その女性はヴィオラで、2ndヴァイオリンの妻。

 そしてここからがややこしい。1stヴァイオリンは昔の恋人で、最年長のチェロは育ての親。…こんなに複雑な関係を各種取り揃えて、25年も続いたことの方が奇跡です。


 カルテットは、もちろん気が合わないメンバーとはやれない。しかし、ここで勘違いしてはいけないのが、もともと親密な人とやればうまく行くわけではない。映画の中でも、1stが若い恋人(これがまたややこしいのですが)を手放したくないばかりに「僕と新しいカルテットを組もう」と口走るシーンがあります。

 恋人同士で室内楽がやれたら、どんなに楽しいだろう…。

…という気持ちはよくわかるが、15年カルテットをやってきた者として言わせてもらえば、それは千パーセント「妄想」です。絶対に続かない。四重奏団はもちろん、その男女関係も。

 
 一緒にカルテットを共にするメンバーに求めるものとは何なのか…自分なりにも考えてみました。月並みですが、それは「信頼感」です。親密さではない。

 喩えるなら、ゴルゴ13のようなスナイパーが、「この前頼んだアレ、できてるか?」と、荒廃した雑居ビルの奥の部屋を訪ねて出てくる、薬物中毒で歯が抜け、廃人のような男。「こいつは自信作だよ~」みたいに出してくる特注ライフル。

 人間的には何の親しみも感じないが、こちらが望むものをわかってくれている信頼感。一切の馴れ合い無しの「確かさ」。そういうものを提供し合いたいものです。

 山形Qはまだまだですが。それでも昔より少しずつ、時々そんな瞬間はあるのです。…山形Qは人間的にも親しいですけどね(念のため)。


 ということで、なかなか面白い映画でした。2ndの人が「俺だって1stを弾いてみたいんだ!」と言い出すシーンは、プロの世界にはありえないので興ざめでしたが、きちんと自分の楽器をケースにしまってから1stに殴りかかるのはリアルで楽しめました。


 山形Qも、健康に25年目を迎えられるように、今後も頑張ります。
コメント (2)
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