副題,「人と蠅の関係を追う」
1973年から始まる著者の海外調査・海外滞在研究の思い出。
学術書ではなく概説書でもなく、著者のフィールド調査と旅行の話といってよい。
最初がハワイのビショップ博物館での標本整理。
公用旅券で渡航、健康診断は寄生虫検査も含む、外貨持ち出し限度額が200ドルの時代。
つまり、この時代、この世代の優秀な学者だけが可能な海外渡航なのだ。
優秀な学者と書いたが、自然科学畑の学者は、たいていアメリカ行きで、著者のようなニューギニアとインドネシアが憧れの地、というタイプは非常にすくない。
特に、著者と同じ医学分野では、この方面つまり太平洋から東南アジア、さらに西南アジアまで向かう人はすくない。
というわけで、貴重な医学関係の学者が歩いた南太平洋~東南アジア~西南アジアの記録が本書である。
人間の害虫である、ヒトの生活圏で分布するハエ、農業・牧畜環境に分布するハエの研究が、多くの場合のタテマエ、つまり研究補助金を申請する時の理由らしいのだが、ほんとうは、野生のハエ、つまり自然環境のなかのハエの採取と研究が、著者の関心であるようだ。
だから、海外にでかけ、保健衛生関係の役人と談判し、調査の許可を得、役人から解放され、山や川にでかけるのが、著者のよろこびであるらしい。
そんなめんどくさい手続きと交渉を全部自分でできるのが著者である。だからこそ、70年代から海外調査に行けたわけですね。
ウォーラス線とウェーバー線の交差するインドネシアを中心に、ニューギニア・ソロモン諸島・西サモア・ニューカレドニアと南東方面、フィリピン・タイ・マレー半島・ボルネオと北西方面へでかけ、さらにネパール・インド・パキスタン、ナイジェリア・マダガスカルまででかけている。
ハエ学的におもしろいのは意外にも、小笠原諸島・ハワイ諸島・マダガスカルなど、大陸から離れたところであるようだ。
しかし、う~ん、こういう昆虫学者というのは、常人の見えない世界を見ているもんである。
チョウや甲虫に夢中になる昆虫マニアより、さらに別の世界の住人というかんじ。
1973年から始まる著者の海外調査・海外滞在研究の思い出。
学術書ではなく概説書でもなく、著者のフィールド調査と旅行の話といってよい。
最初がハワイのビショップ博物館での標本整理。
公用旅券で渡航、健康診断は寄生虫検査も含む、外貨持ち出し限度額が200ドルの時代。
つまり、この時代、この世代の優秀な学者だけが可能な海外渡航なのだ。
優秀な学者と書いたが、自然科学畑の学者は、たいていアメリカ行きで、著者のようなニューギニアとインドネシアが憧れの地、というタイプは非常にすくない。
特に、著者と同じ医学分野では、この方面つまり太平洋から東南アジア、さらに西南アジアまで向かう人はすくない。
というわけで、貴重な医学関係の学者が歩いた南太平洋~東南アジア~西南アジアの記録が本書である。
人間の害虫である、ヒトの生活圏で分布するハエ、農業・牧畜環境に分布するハエの研究が、多くの場合のタテマエ、つまり研究補助金を申請する時の理由らしいのだが、ほんとうは、野生のハエ、つまり自然環境のなかのハエの採取と研究が、著者の関心であるようだ。
だから、海外にでかけ、保健衛生関係の役人と談判し、調査の許可を得、役人から解放され、山や川にでかけるのが、著者のよろこびであるらしい。
そんなめんどくさい手続きと交渉を全部自分でできるのが著者である。だからこそ、70年代から海外調査に行けたわけですね。
ウォーラス線とウェーバー線の交差するインドネシアを中心に、ニューギニア・ソロモン諸島・西サモア・ニューカレドニアと南東方面、フィリピン・タイ・マレー半島・ボルネオと北西方面へでかけ、さらにネパール・インド・パキスタン、ナイジェリア・マダガスカルまででかけている。
ハエ学的におもしろいのは意外にも、小笠原諸島・ハワイ諸島・マダガスカルなど、大陸から離れたところであるようだ。
しかし、う~ん、こういう昆虫学者というのは、常人の見えない世界を見ているもんである。
チョウや甲虫に夢中になる昆虫マニアより、さらに別の世界の住人というかんじ。