東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

ダンドゥットの謎にせまる その1 現在のダンドゥット概観

2014-11-03 12:02:10 | 音楽 / ミュージック

 

ずっと前の記事で、リンク先が消えたり、内容が古くなっています。

ダンドゥットの記事なら以下のブログへどうぞ(怪しいサイトではございません)

 https://hap-pya-ku-bikini.hatenablog.com/

では、現在のダンドゥット(dangdut)を見てみよう。

ネットの扱いに慣れた方々には無用の注意であるが、Youtube を見る前に、キャッシュやクッキーを消したほうがいい。ユーチューブのアカウントを持っている方は、ログ・インしないほうがよい。過去の記録を消してから見ると、youtube 世界の最大公約数的なサジェストを自動生成してくれる。自分の過去の履歴があると、自分の許容範囲だけお勧めしてくれる結果になる。

 下のリンクは、Youtube の中のPro Media Productionという会社のビデオ一覧ページです。この会社はビデオの制作を請け負う会社らしく、自社で作ったものをアップしている。

https://www.youtube.com/user/promedialive/videos

 なぜ、こんなリンクから話をすすめるかというと、"dangdut" "dangdut koplo""dangdut terbaru" などといったキーワードで検索すると、初心者・門外漢にはとても処理しきれない画像・映像ばかりヒットするからである。VCDからコピーした映像も音もひどいものや、テレビからダビングしたものが山ほどヒットする。かと言って、知っている歌手名をキーワードにすると、その傾向のものばかり出てきて、ぐるぐる同じところを回るウェブの袋小路状態になるからである。

 この会社の宣伝目的だろうが、ほとんどの閲覧数が三桁ぐらいで、映像に写っている人以外見てないのではないか? という過疎化した映像がおおい。何を選んだらいいか迷う方は、名曲にして人気曲 Oplosan が聞けて、(1分50秒あたりから)演奏のようすが見られて、歌手の映像が多いこれをどうぞ。(曲名 - グループ名)

Oplosan - Singa Dangdut Lindasari (31-7-2014)

  このリンクの前後に、お神輿のようなものに子供をのせたお祭りのような映像がたくさんある。これは、割礼のお祝いである。そのバックの歌・音楽はライン録音で手持ちカメラで撮った映像にダビングしている。お神輿かついだ行列のあとに、人が引く車にPAシステムとバンドを乗せている。そのあとについて、発電機を引いている人たち大変ですね。

 楽器編成は野外ライブ・ショーの場合とほぼ同じだが、かけ声(ヘイヘイ! とか アー、ア、アというやつ)はシンセ(サンプリング・マシン)でやっていて、演奏メンバーがかけ声をかけていない。音声はヴォーカルを含めてライン録音だから、実際この場でどれくらいの音量なのか不明だが、お神輿をかついだ人たちは、このPAの音に合わせている。(だから、残念ながら、写っている人たちの声などは聞こえない)

 前後にアップされた映像を見ると、村の人の反応やお祝いのようすが面白い。曲に合わせて踊っている人もいるし、無関心な人もいる。お神輿の上のこどもは疲れている。歌手は普通の人と同じ服装である。つまり、日焼けしないようにスカーフを被って、Tシャツとズボンが多い。歌がうまいように聞こえるのは、ダンスをしないで歌に集中しているのが一つ、それと、何回も歌った持ち歌だけを歌っているためかもしれない。ちなみに、上の例の歌手、メロディーに「おっさん、おおきに」「おばちゃん、ありがと」などと言葉を乗せるのがうまい。

 お祭りにせよ、結婚式にせよ、村の実力者のなにかのお祝いにせよ、バンドと歌手がやっているのは、野外ライブ・ショーの会場でやっているナンバー、ヒット曲と同じである。テレビで流される最新ヒットも多い。バンド(オルケス・ムラユー、O.M.と略す)の編成に多少の違いはあるものの、リズム・セクションの要は同じです。

 野外ライブ・ショーの例として、上のOplosan をやっているもの。

Utami Dewi Fortuna & Ratna Antika (with O.M. Monata) - Oplosan (12-8-2014) 中部ジャワ北海岸のかなり大きな町の漁業組合(?)のお祭りのイベントらしい

 お断りしておくが、夜の撮影でこれくらい画質がいいのはめったにない。歌手/ダンサーも歌とダンスのバランスがとれていて、ちゃんと聞こえるのは珍しい。もっと派手なものが見たい方はyoutubeのサジェッションをどうぞ。Dangdut Koplo という。

 バンドの演奏はさすがにタイトである。ドラム・セットもあるが、リズムの要はクンダンとステージに向かって右にいるタンバリン・プレイヤーであるようだ。このタンバリンとシンバル担当の人、最初リーダーなのかと思ったが、そうでもないらしい。(なお、ロック・ビートで演奏する曲や、前奏だけロック調の曲では、ドラマーがスネアやバスドラでリズムをキープする場合も多い)

 パンツ(実はスパッツのようなもの)が見える歌手兼ダンサーのgoyangは、youtube に溢れている。最初見た時、わたしは、あまりの画質の悪さと、ヘタな歌に圧倒されて、これは一部の限られた層だけの音楽ではないかと思った。見続けるには忍耐力がいる。しかし、基本的な曲の構成、リズム、バンドの構成はテレビでヒットするダンドゥットも村のお祭りのダンドゥットも同じであるということがわかった。さらに歌手の歌い方・発声法、体の動きも、ほとんど変わらない。あ、一番共通しているのは、観客の体の動きやノリ方だ。まったく無表情でじっと座っている観客もいる。

Juwita Bahar - Goyang Oplosan 2013 ノリノリの観客がちょっとわざとらしいですね。

 これはテレビの録画。歌手Juwita Bahar の音源はiTunes store などでも入手可能。もっとにぎやかな映像がたくさんあるが、この種のダビングのアップロードはすぐに消えたり削除されるので、リンク先が消えていたら、各自検索してください。

Trio Macan - Oplosan Live Malang @ Karnaval Tolak Angin SCTV 2014 製薬会社提供のコンサートらしい

 このグループも超人気アイドル。それが、他の歌手のカヴァーをやるというのも普通であるようだ。だから、ある歌が誰がオリジナルか捜しづらいことがある。もちろん、昔のヒットのリバイバルもあるし、柳の下のどじょうを狙った紛らわしいタイトルがあるのでややこしい。

RATU GOYANK - OPLOSAN ? カラオケボックスで撮ったものらしい。この種のものはいっぱいころがっている。楽しそうですね。

以上、途中で見るのをやめた方が多いのではなかろうか。まず、長い。こんなもの見ていちゃ、人生終ってしまう。そう思う方も多いのではなかろうか。ダンドゥットと付き合うには、ゆったりした時間感覚が必要である。びんぼーな暇人向け。

 もっとアイドル・スターのものを観たい方は、参考として、テレビ公開録画番組から。バックはカラオケ、リズムは打ち込みも混ぜ、ヴォーカルは部分的に口パクと実際の録音を混ぜているようだ。観客に小中学生が多いのは、その層の人気者であることにもよるだろうが、テレビ局側で、絵になるように子供を選んで写しているのかもしれない。すべて大ヒット曲。(この種のアップロードはいっぱいあるが、やたらと広告がはいるのは我慢してください。それから、画面比率が合ってないものも多い)

歌手 - 曲名で

Ayu Ting-Ting - Alamat Palsu  ヒットが多いアイドル・スター

Zaskia Gotik - 1 Jam Saja この人も人気アイドル。観客とのリアクションがいいよ。3.00 ぐらいから可笑しい。

 クンダン(太鼓)やスリン(横笛)はシンセサイザーに置き換えられている。歌手の服装はひかえめ。このひとたちも、コンサートやスタジオ収録では、趣味の悪いギンギラのコスチュームでいやになるのだが。観客の体の動きはdangdut Koplo と同じでしょ?

 下はオフィシャルのPV(のコピー)。

Siti Badriah - Berondong Tua - Official Music Video

Juwita Bahar - Buka Dikit Joss [Official Music Video HD]

 Lynda MoyMoy - Bang Jali

 この種の全国的ヒット曲が、Dangdut Koplo(ライブバンド、ドサ回りというニュアンスもあるようだ) のレパートリーにもなり、インドネシア全土に普及しているわけだ。

以上、すでにyoutubeやCDなどで知っている方には無用のおせっかいだったでしょうが、現在のダンドゥットをざっと見たことにしょう。次項では、なぜ、同じように聞こえる曲、リズムがこれほど長く続いているのか、変化がないのか、という疑問を考える。変化しなくてかまわない、よけいなお世話だと反論が当然出てくるだろうが、ダンドゥットとは何か、何がダンドゥットとみなされるのかという疑問を追っていく。疑問を追っていくけれども、わたしが解決するわけではない。こんなヘンなおもしろいものが存在しているという紹介である。

 最後にオマケ。新大統領ジョコ・ウィドドの選挙応援ソング。どの程度オフィシャルなものか不明だが、集会で歌っている映像はある。完全なダンドゥットであります。現在のダンドゥットの平均的な要素を集めた作りで、ひじょうに判りやすい。対抗候補側がふざけて作ったものではありませんよ!

JOIN JOKOWI (JOJO 2014) Versi Jawa

  閲覧数が少ないが、これは、わざわざユーチューブで見る人が少ないためだろうか。ジャワ版、スンダ・ブタウィ版などあり、歌詞は少し違うようだ。



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