1979年に若くして亡くなられた水野浩一の論文を前田成文・坪内良博が編集したもの。
京大東南アジア研究センターが集中的に調査した東北タイのドーンデーン村の実証的社会調査記録である。
序章で述べられているように、タイの農村社会については、アメリカ人のエンブリー(John F. Embree) が日本社会と比較して、ルーズな社会と名づけたエッセイが大きな衝撃を与えた。
ヨーロッパと中国ぐらいしか参照したり比較する視点がなかった時代に、いきなり日本とタイを比較する論文があらわれた、というわけである。
衝撃も大きかったが、批判・反論も大きく、ルーズ、ルーズというけど、何がルーズなんだ、農村の組織か?構造か?ひとりひとりの人間の行動か?性格?、だいたい、社会組織に人間の行動が決定されるのか?
そもそも「農村」てなんだ?日本の農村とタイの農村が比較できるのか?
などなど議論を巻き起こしたようだ。
そうした中で、日本の研究者としてもっとも深く社会調査をしたのが水野浩一であった。
農村の経済、農地所有、家族、親族、階層構造、村落自治、宗教儀礼などについて実証的な調査結果がまとめられている。
特に「屋敷地共住」という概念を提出し、タイの農村は核家族であるがイングランドやヨーロッパの核家族とは異なるし、都市の核家族とも異なるという点を描きだしたのが大きな業績である。(そうですよね……)
とはいうものの、本書を、わざわざ現在読む人だったら、付論の「フィールドからの報告」と「工業化と村落の変貌 中部タイのオム・ノーイ村」のほうが、おもしろいのではないでしょうか。
1960年代前半の調査、ちょうどわたしが小学校高学年の時代、東京オリンピック前後である。
読んでいくと、別世界のようでもあるし、日本に近いような場面もあるし、なかなかおもしろい。
京大東南アジア研究センターが集中的に調査した東北タイのドーンデーン村の実証的社会調査記録である。
序章で述べられているように、タイの農村社会については、アメリカ人のエンブリー(John F. Embree) が日本社会と比較して、ルーズな社会と名づけたエッセイが大きな衝撃を与えた。
ヨーロッパと中国ぐらいしか参照したり比較する視点がなかった時代に、いきなり日本とタイを比較する論文があらわれた、というわけである。
衝撃も大きかったが、批判・反論も大きく、ルーズ、ルーズというけど、何がルーズなんだ、農村の組織か?構造か?ひとりひとりの人間の行動か?性格?、だいたい、社会組織に人間の行動が決定されるのか?
そもそも「農村」てなんだ?日本の農村とタイの農村が比較できるのか?
などなど議論を巻き起こしたようだ。
そうした中で、日本の研究者としてもっとも深く社会調査をしたのが水野浩一であった。
農村の経済、農地所有、家族、親族、階層構造、村落自治、宗教儀礼などについて実証的な調査結果がまとめられている。
特に「屋敷地共住」という概念を提出し、タイの農村は核家族であるがイングランドやヨーロッパの核家族とは異なるし、都市の核家族とも異なるという点を描きだしたのが大きな業績である。(そうですよね……)
とはいうものの、本書を、わざわざ現在読む人だったら、付論の「フィールドからの報告」と「工業化と村落の変貌 中部タイのオム・ノーイ村」のほうが、おもしろいのではないでしょうか。
1960年代前半の調査、ちょうどわたしが小学校高学年の時代、東京オリンピック前後である。
読んでいくと、別世界のようでもあるし、日本に近いような場面もあるし、なかなかおもしろい。