原書第六版1939(昭和14年)の全訳。
原書の初版は1890年(明治23年)。
第六版の大きな追加項目は
「武士道――新宗教の発明」である。この項目は全体を通しても重要な項目であり、戦前の日本国内では削除されていた部分。
ええと、削除されていたといっても英語版が削除されて販売されていたのであって、日本語訳は本書までない。つまり、海外版を入手する以外は削除部分を読むことはできなかったわけである。
ほかに削除されていたのは、〈退位〉〈歴史と神話〉〈帝(みかど)〉。
第六版で追加された項目は、ほかに〈ラフカディオ・ハーン〉〈国歌〉〈大本教〉であるそうだ。ちなみに、〈国歌〉などの皮肉な記述は削除されなかったというわけだ。〈大本教〉の記述はつまんない。
百科事典的な構成で、日本のことを何にも知らないガイジンに向けて、一見親切そうに解説している本であるが、そうとうに皮肉で辛辣な文章である。
皮肉で辛辣な舌鋒は、日本人にも向けられるし、日本を神秘の国と憧れる外来者にも向けられている。
最初にあげた〈武士道〉の項目も、日本人を皮肉るというよりも、なんにも知らない外来者に対して、そんなもん、日本人だって知らなかったし、知っていても信じているわけではないですよ、と言っているわけである。
もちろん、〈新宗教〉を国民に吹き込もうとする政府にとっても都合の悪い記述ではあるのだが。
ほかに皮肉な項目としては、
日本語化された英語~よくあるヘンテコ英語看板や案内書き
世界漫遊家~在留者にとってやっかいな同郷からの旅行者
食物~イギリス人からみた日本の食事、それに洋食と称するもの
礼儀~現在まで続く、うんざりするワンパターン質問とおせっかい。
ややマジメな項目で、外国からみた日本文化として参考になるのは、
歴史と神話
日本関係書
文学(古典から当時の小説まで、翻訳など)
伝道(キリスト教の)
名前
時
日本文字(漢字と仮名、両方について)
たぶん、当時の旅行者や一時滞在者にとって関心の的であったと思われる、芸者・人力車・入浴・針治療・モグサ・刺青……などは、あんまりおもしろくない。同じような話は飽きるほど喧伝しているから。
原書の初版は1890年(明治23年)。
第六版の大きな追加項目は
「武士道――新宗教の発明」である。この項目は全体を通しても重要な項目であり、戦前の日本国内では削除されていた部分。
ええと、削除されていたといっても英語版が削除されて販売されていたのであって、日本語訳は本書までない。つまり、海外版を入手する以外は削除部分を読むことはできなかったわけである。
ほかに削除されていたのは、〈退位〉〈歴史と神話〉〈帝(みかど)〉。
第六版で追加された項目は、ほかに〈ラフカディオ・ハーン〉〈国歌〉〈大本教〉であるそうだ。ちなみに、〈国歌〉などの皮肉な記述は削除されなかったというわけだ。〈大本教〉の記述はつまんない。
百科事典的な構成で、日本のことを何にも知らないガイジンに向けて、一見親切そうに解説している本であるが、そうとうに皮肉で辛辣な文章である。
皮肉で辛辣な舌鋒は、日本人にも向けられるし、日本を神秘の国と憧れる外来者にも向けられている。
最初にあげた〈武士道〉の項目も、日本人を皮肉るというよりも、なんにも知らない外来者に対して、そんなもん、日本人だって知らなかったし、知っていても信じているわけではないですよ、と言っているわけである。
もちろん、〈新宗教〉を国民に吹き込もうとする政府にとっても都合の悪い記述ではあるのだが。
ほかに皮肉な項目としては、
日本語化された英語~よくあるヘンテコ英語看板や案内書き
世界漫遊家~在留者にとってやっかいな同郷からの旅行者
食物~イギリス人からみた日本の食事、それに洋食と称するもの
礼儀~現在まで続く、うんざりするワンパターン質問とおせっかい。
ややマジメな項目で、外国からみた日本文化として参考になるのは、
歴史と神話
日本関係書
文学(古典から当時の小説まで、翻訳など)
伝道(キリスト教の)
名前
時
日本文字(漢字と仮名、両方について)
たぶん、当時の旅行者や一時滞在者にとって関心の的であったと思われる、芸者・人力車・入浴・針治療・モグサ・刺青……などは、あんまりおもしろくない。同じような話は飽きるほど喧伝しているから。