久しぶりに、システム開発のお話。
アジャイルの開発方法論で、XPの中に、ペアプログラミングという方法がある。
2人のプログラマが共同で開発するというもの。。。
これが、効果的なのかどうか?という資料、たいてい、こういうふうにかかれていませんか?
2人組でやったところ、従来の生産性よりX倍上がった。。
でも、これって、変ですよね。
ペアプログラミングでなくても、2人でやれば、生産性は上がります。
単純に考えれば、2倍生産性が上がってもいいはず。
チェックにしても、1人がチェックするより2人がチェックしたほうが、より、品質が上がるはず。
だから、2倍以下の場合は、「悪化した」ことになるし、
2倍以上だとしても、後に示すように、従来のやり方は、デルフォイ法に近かったからで、単純に2人に割り当てれば、もっと生産性があがったかもかも?と反論されると、返す言葉がない気が。。。
さらに、問題なのは、従来の開発工数と比べていますが、従来の開発方法論というのは、SEとプログラマに分けていたわけです。
これは、2人で製作するという点では、ペアプログラミングと同じですが、
SEが、プログラミング可能なレベルまでおとしこみ、
プログラマが、その仕様書の書いてある妥当性まで考えている
とすると、この2人の作業は分業というより、同じ課題を、デルフォイ法によって、確認して解いているという形になります。
つまり、これは、デルフォイ法とブレストと比較してるみたいなもんで、これは対象課題によって、大きく差が出る。どっちがいいといえるものではない。
なので、本来同じ課題を与えて、2つを比較して、どうのこうのといわないといけないのに、十把一絡げに、従来の平均より何倍といわれても。。
つまり、ペアプログラミングが生産的であると主張するなら、
・どのように生産的であるのか?
ということに、まずわけて、それを、
・実験(心理学)的に証明しないといけない。
ことになりますわなあ。。。
で、ここで、どのように生産的かを考えると、こんなかんじになるんじゃないでしょーか
(1)生産量が上がる
(2)品質があがる
(3)1人では思いつかなかったことが思いつき、できるようになる
→3人よれば、文殊の知恵っていうやつ(ペアプログラミングは2人だけど)
(4)専門分野が違う人たちが協力して、1つのことができるようになる。
というわけ。
で、ここで、(1)や(2)については、共同作業だと、生産性や品質は下がるということは、社会心理学の時間に、もう、さんざん、耳たこ状態で教わったと思う。「社会的手抜き」というのだったよね。大声で声援しないといけないとき、全力を出さないとか言う話(え、初めて聞いたという心理学科関係の人。。。^^;)。
ただ、(3)と(4)については、むしろ、これが、コラボレーションというやつで、「必ず効果がある」みたいに思われていたと思う。で、これを支持する心理学研究として、構成的相互作用の研究、つまり、一人では生み出せない知識を、グループ活動によって、生み出されるという研究がなされ、これを行ったのが、波多野教授であることから、まあ、波多野先生は(認知あるいは教育心理学科の人でないと知らないかもしれないが、その分野では)権威なので、この点で、ペアプログラミングって、やっぱ、こうかありそうというのが、心理学的にみても、まあ、みとめてもいいんじゃないか、と思われていると思う。
つまり、社会的手抜きによる、プロセスの損失(=2人別々にやったら、200%の力が出せるのに、2人一緒にやると180%の力しか出ないとき、この20%の差をプロセスの損失という)はあったとしても、それを上回る可能性を持つ、文殊の知恵的な発想もうまれるかもしんないし、そもそも、お互いの専門分野が違うから、協調してやんないと無理だよ!
だから、ペアプログラミング的なことは、ひつようなのだよ。。。と
ただ、心理学的に見ると、はげしく、おかしく思いませんか?この結論。
なぜ、ペアなのか?
波多野先生の「構成的相互作用」の要件では、人数は3人以上。2人ではたして、そんな文殊の知恵がでるのか(ほら、ことわざだって、3人寄れば!といってるよねえ、2人寄ればじゃないよねえ。。)
それともうひとつ、果たして、構成的相互作用のようなプラス効果だけなのか?
(3)、(4)について、構成的相互作用という考え方もあるが、いわゆる、空気を読むという、「同調行動」という行為がある。つまり、エラーイ人とペアを組んだら、自分が正しいと思っても、間違ってるよといわれると、「はいまちがっているでやんす」と言ってしまうという話。
でも、波多野先生を持ち出された日にゃー、心理学やってる人間によっては、「まんせー」なのであります。まあ、これでOKでしょーということで&まわりのSEさんの空気も読んで(同調行動して)「ペアプロは、効果あると思いますよ」なーんて答えてしまったりするわけだ。。。
ところが。。
と、この先書こうと思ったけど、長くなるので、今度覚えていたら、また書きますね。
P.S ウィリアムのいたずらは、大学は、教育心理学関係。