考えるための道具箱

Thinking tool box

◎ディアスポリス。

2007-08-04 10:27:21 | ◎読
松田龍平はいよいよ親父に似てきたなと思う反面、それでも優作を超えることはできないだろうと思えるのは、やはり「工藤ちゃん」というキャラクターの存在だろう。それだけあの人物造形は完成度と独自性が高いということだ。だからといって、彼に同じ役柄を同じキャラクターで演じてもらっても意味はないので、ここはもっとも近いキャラクターということで、『ディアスポリス 異邦警察』の久保塚をやってもらったらどうだろう(もちろん映画化の話があるかどうかなんてこれっぽっちも知らない)。

以前にも少し書いたけれど、「個人的に」不況を感じている漫画界において『ディアスポリス 異邦警察』はかなり面白いところに位置していると思える。簡単にまとめると、密入国異邦人のための組織「裏都庁」の庇護のなかで、弱者であるがゆえに厳しい局面に立たされる密入国者に救いの手を差し伸べ、逆に不良に振舞う異邦人、極悪な同邦人たちを裁く、裏都庁公認の警察官・久保塚早紀の、やるときはやるという活躍を描いた物語である。

面白さの理由を、長崎尚志(=リチャード・ウー)だから、といった盲目的な尺度に求めていたのだけれど、遅ればせながら手に取った4巻を3度ほど読んでみたとき、あ、久保塚は、工藤ちゃんだな、だから面白いんだ、ということに気づいた。

やるときはやるっていっておきながら、いったいおまえのやるときはいつなんだよ、っていうようなんが多い世の中において、やる気?んなのいっさいねーよ、といってみて、まあ実際にやらないんだけど、最後の最後にちょっとだけど、正しくやってみる心意気をみるのはとても気持ちよい。もちろんその人物造形も長崎尚志が握っているのだろうけれど、それらしく表現できているすぎむらしんいちの絵との親和性の高さも注目したい。なんだか強そうにみえないし、実際に強くなく、口とか工夫とか運とかでなんとか生きています、みたいな人物を描かせるのなら、すぎむら、というのはひとつの妥当だろう。

てなこと考えれば、やる気のないダメダメ男の役は龍平には重いか。やっぱ浅野か。なんてったってアフロじゃなきゃダメだからな。

買った4巻はじつは5月くらいに出ていたようで、早くも5巻は今月に発売されるらしい。地下教会でのルサンチマンを抱え日本に渡ってきた極悪でかつ悲しい2人の中国人を描くダーティイエローボーイズの難題も悲しく解決し、間髪をおかず始まる新章「フェアウェル、マイチェリー」は久保塚のさえない部下・鈴木を軸に動きそうな物語。いっそのこと、スペリオールからモーニングに乗り換えようかね。

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