政府が掲げる国の出先機関改革がなかなか進みません。
今国会に関連法案を提出する方針ですが、地方への移管業務を巡って関係省庁が強く抵抗しています。一方、自治体にも「軽減委譲が骨抜き」との不満が満載です。
政府はすでに法案骨子を地方に提出済みであり、受け皿は自治体の広域連合として、国土交通省の地方整備局、経済産業省の経済産業局、環境省の地方環境事務所の事務・権限の一部を移管するものです。政府は今国会中に法案提出と移管業務の決定を目指しています。
ただ、国土交通省は道路などの整備、管理業務の移管に反発しています。組織の弱体化を懸念し、災害対応を広域連合に移管すると「指揮命令系統が曖昧になり、各地で対応に差が出る」と反論しています。
6月21日に今国会期末が迫り、このままでは改革が先送りになりそうです。民主党は2009年衆議院のマニュフェストで地域主権改革を掲げ、目玉政策として「国の出先機関の原則廃止」を明記しました。政権交代から2年半たっても、出先機関改革はまったく進んでいません。
国は、権限委譲すると各地の格差が生じると主張しますが、全国一律の画一的な基準等のほうが地方の実情に合わないことの問題を生じさせそのほうが問題ではないでしょうか。確かに危機管理については、差がでては困る問題ですが、昨年の原発問題を振り返ると、国のスピード感のなさはどうしょうもなかったのではないでしょうか。地方に権限を委譲すれば、迅速に実施できた施策もあったのではないでしょうか。