すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

新元号

2019-04-01 18:24:33 | 社会・現代
 新元号が決まった。
 少し、胸がざわついている。
 ニュースを見ると、「『和』の字が入って良かった。平和な世の中になってほしい・平和な世の中が続いてほしい」という好意的な感想を持つ人が多いように思う。でも、その前に「令」の字があることは指摘しておきたい。
 ぼくが自分の意見を書くよりも、辞書にあたるほうが良いだろう。

 「広辞苑」を引用する。
れい【令】
①命ずること。言いつけ。
②おきて。のり。
③長官。
④他人の家族などを尊敬して言う語。

 念のため、「新漢語林」も引用してみる。かなり長くめんどくさくなるが、大事なので、読んでほしい。
【令】字義
①命ずる。いいつける。法令などを発布する。
②みことのり。君主の命令。
③のり。おきて。法令。布告書「律令」
④いましめ。おしえ。教訓。
⑤おさ。長官。「県令」
⑥よい(よし)。りっぱな。すぐれた。「令名」
⑦他人の親族に対する敬称。「令兄」
⑧文体の名。皇后・太子・諸侯などの命。
解字
会意。人+卩。人は集めるの意味とも、頭上にいただく冠の象形ともいう。卩は、人のひざまずく形にかたどる。人がひざまずいて神意をきくさまから、いいつけるの意味を表す。令を音符に含む形声文字に、伶・冷・玲・嶺・羚・鈴・零・齢(…以下略)などがあり、これらの漢字は、「ひざまずき神意に耳を傾ける」の意味を共有し、そこから「すがすがしい」の語感を伴う玲・冷・怜などの漢字も派生した。

 いかがだろうか。
 万葉集巻第五、通し番号815から始まる梅花の歌の序の文、「初春の令月にして、気淑く風和らぐ」に使われている「令」は、この新漢語林の最後に書かれている派生的な意味の方だ。その前に本来の意味がある。
 このことを、新元号の選定に関わった人たち、総理大臣・官房長官ら決定した人たち、が知らなかったとはとても思えない。辞書を引けば簡単にわかることだし、あらかじめあらゆる方面から調べているはずだから。
 彼らは、この二重の意味の存在を良しとしたかもしれない。

 新しい時代が、上から与えられる、押し付けられる「和」の時代にならないよう、見守りましょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 胸くその悪い | トップ | 賢者 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会・現代」カテゴリの最新記事